第11話 柿

 私の中学の通学路に、大きな柿の木のある家があった。


 秋になると、大きくて見事な柿がなった。


 しかも枝が道路の方に伸びていて、そこにも点々と 柿がなるのである。


 さあどうぞ、遠慮なくお取りください、と誘惑されている気がした。


 もう時効だから告白するが、私はある日、ひとつ柿をった。


 言い訳にはならないが、あんまり見事な柿だったからだ。


 家に持って帰って、テーブルに置くと、母が尋ねた。


「なんや、その柿?」


 私は正直に、通学路の家から道路に柿の枝が伸びていて、ついってしまったと話した。


 母は怒った。


人様ひとさまの家のもんってくるやなんて! なんちゅうことを……」


 小一時間、説教された。


 私も悪いことをしたとは思ったので、説教を素直に聞き、もうやらないと誓った。 


 翌日、学校から帰ってくると、母は私に怒って言った。


「あの柿、シブがきやんか!」


 あんだけ説教しといて、食べたんかーい!


 私と母は、クセモノ! であった。



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 作者は喜んで、シブ柿をって……いや、買ってくるでしょう。

 読者さまはシブ柿を食べてシブい顔になり、私の母の気分にひたれます。


 どうぞよろしくお願いいたします。 m(__)m

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