第15話 プリン

「冷蔵庫にプリンがあるで」


 と、母が言ってくれたので、喜んだ。


 ただ、家の冷蔵庫は、いつもぎゅうぎゅうにつめこんである。


 探すのは大変だ。


「冷蔵庫のどのへんにあんの?」


「冷蔵庫あけた、右のほうや」


 冷蔵庫の右の方を探すも、ない。


「ないで」


「おまえの探し方が悪いんや、絶対ある。さっき入れたばっかしやしな」


 もう一度、探してみたが、ない。


「やっぱり、ないで」


「もうっ、そんなもんすら、よう探さんのか。しゃーないやっちゃな」


 母がやって来て、冷蔵庫の左から、プリンをひょいと出した。


「ほら、あるやんか」


「そっちは左や。


 お母さん、右や、てゆうたやん」


「右になかったら、左を見たらいいんやっ。それが常識や!」


「……」


 私の母は、クセモノ! である。

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