第3話 箸

 私の母は、便秘がちであった。


 ある日、トイレから私を呼ぶ声。


「どしたん? お母さん」(関西弁)


「出口の近くで、固まって、どうしても出ぇへんのや。


 ちょっと、つついてみたいから、割りばし、持ってきて」


「ええっ、割りばして、それはやめといたほうが……


 もっと他に、なんか方法があるんちゃう?」


 トイレの前でもめていると、そこに父かやってきた。


「どした?」


 と、父。


 事情を説明すると、父はしばらく考え。


「割りばしはやめとけ、ケガする」


 そして


「せめて、ばしにしとけ!」


 私の父母は、クセモノ! である。

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