第28話 核戦争の原因?

 徳子はめげずに質問を続けます。


「新人類ってクローンよね?」


「違います。クローン技術を利用した量産型生命体です」


「寿命が1000年固定なのはなぜ?」


「製作者が勢いで決めました」


「勢いかよ!そういえば祥太郎さんが千年なんとかってマンガ好きだったなあ。じゃあ、男しかいないのはなんで?」


「体力的に男子の方が有利だからです」


「女を作らなかったのは?」


「創造主様がどう………、制約事項です」


「うん、なんとなくわかちゃよ。ふうん、て、そんな理由かよ!」


 徳子は想定外の答えで変な答え方をしてしまいました。わかちゃって何よ、ねえ。自分と創造主に呆れながら質問を続けます。


「私サイズの人間はどこかに生き残ってるの?」


「可能性はありますが、確認はされておりません」


「核戦争が起きたのは西暦何年?」


「2030年です」


「世界が滅んだのは?」


「2045年です」


「えっ、制約入んないの?絶対入るとおもったのに」


「たまには答えないと」


 ズコッ、徳子はコケました。


「ちょっと制約してるの誰なの?もしかしてこのパソコンの中に誰か入ってるとか?」


「入ってません。それとこれはパソコンではありません」


「そりゃそうよね。八千年も経ってパソコンの訳がない。でも見た目がパソコンだからいいでしょ。そうかあ、核戦争から滅ぶまで結構あったんだ。で、核戦争ってなんで起きたの?誰かが間違えて核のボタン押しちゃったとか?」


「北条徳子」


 突然名前を呼ばれます。


「呼んだ?」


「おい」


「あれ、どした?」


 TOKUTOKU 2号は突然静かに黙り込みました。五分程経った時、また話し始めます。


「強制アップデートが入りました。お手持ちのスマホに私が移し替えられていますのでこれからはそちらにお願いします」


 強制アップデートって誰が何のためにやってるの?こりゃなんとしても旧宿まで行かないとだわさ。


 ここにいる必要がなくなりました。これ以上の情報は入らないみたいですし、徳子のスマホが勝手にアップデートされてTOKUTOKU 2号がインストールされたみたいです。



 部屋から出ると市長が待ち構えてました。


「北条様。お疲れ様です。中で起きた事は聞いてはいけない事になっておりますのでお話されなくて結構です。ここ大平でやり残した事はありませんか」


 なんかもう出てけ!みたいに聞こえる。市長は役目を終えてホッとでもしてるのか?徳子はもう聞いても何も出てこなさそうだからいいか、と思いながら一番気になっている事を考え始めます。


 核戦争が起きて、生き延びた人類が結局滅んで新人類ができたのか作ったのか。謎の祥太郎様とやらは結局何者なのか?武器が槍だけってそれもその祥太郎様の趣味なのかね?普通剣でしょ、一般人は。核戦争が起きるのが2030年てことはあたいが消えてから8年後か。25歳で死んだのかもね。でも日本のどこに落ちたんだろ、核爆弾?爆弾?


「そうだ!武器だわさ。ねえ、槍はどこで作ってるの?」


 徳子は思い出したように叫びます。市長は徳子の声に慌てて係の者を呼んで案内してくれました。



 徳子は槍を製造しているところを訪問しました。そこは鉄工所ではなく、昔ドラマで見た刀鍛治の家みたいなところでした。


「そう・てい・がい!八千年も経ってこれですか、そうですか、って進歩どころか下がってないかい」


 徳子は驚きながらも、創造主の考えがわかったような気がしています。科学の進歩が人類を滅ぼしたのならば、進歩させなければいい。どんなプログラムで新人類を作ったのかはおバカなJKにはわかりませんが、考え方は理解できます。


「でも、武器を作らないと徳子ちゃんは鳩ポポちゃんに殺されてしまうかもなのです。死ぬのは怖くないけど今じゃない」


 徳子は骨伝導を使えません。それは、魔獣に襲われる事を意味しています。現に鳩ポポは徳子を餌だと思ったのか襲ってきました。それに守られるのは好きじゃありません。


「自分の身は自分で守るんだわさ!ごめんくださいませ」


 きちんと挨拶。これ、大事。案内人の上野さんが先に中に入り説明をしてくれています。上野さんが徳子を呼ぶので中に入ると、


「そう・てい・ない。そのまんま刀鍛治。あ、はじめまして。北条徳子と申します」


 中にいたのは一瞬ドワーフかと思えるほど髪の毛ボサボサの髭もじゃ巨人でした。腕に火傷の跡が多数見えます。


「お名前持ちのお方が来てくださるとは光栄です。私は田端と申します」


 なんか都市方面が増えてきたぞ、と心の片隅で思いつつ槍を作るところを見せてもらった。槍は狩をする人専用に作っていて、年に一本しか作らないそうだ。あとは、メンテナンスが主な仕事らしい。


「年に一本というと少なく感じますが、需要がないのですか?」


「北条様。狩をする者は決められておりますので必要数のみ製作しております。制作には半年程必要です」


 そんなにかかるの?槍一本でしょ?流石にそう聞いては失礼なので聞き方を変えます。


「時間がかかるのは槍の柄ですか、それとも先端の刃の加工ですか?」


「さすがは北条様。名前持ちのお方は違う。柄の加工が大変なのです」


 あれ?そうなの?

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