第27話 骨伝導
TOKUTOKU2号は骨伝導の説明を始めました。
「骨伝導とは、身体から波長を出しそれが跳ね返ってくる振動を骨で感知します。そうすることによって目が見えなくても、耳が聞こえなくてもどこになにがあるかがわかります。新人類の人達は目がありません。骨で見ているのです」
「ふーん、でなんで新人類の人は目が退化したの?身体だってあんなに大きいし」
「まず身体ですが、骨伝導の効率を上げるため骨の表面積を大きくする必要がありました。それと魔物に対抗する力が必要でした。武器に頼らずに生き残るために身体が大きくなったのです。目の退化ですが、それについてはここではお答えできません。新宿まで行ってもう一度アップデートすればわかると思います」
「骨伝導って聞いたことないんだけど」
「徳子さんの時代にもありましたよ。徳子さんが知らないだけです」
「えっそうなの?でも巨人はアニメにしか居なかったよ」
「……………、巨人ではありません。骨伝導という技術のお話です」
そうなのか。TOKUTOKU 2号によると骨伝導の技術を応用して新人類は作られたのだそうだ。そして鳩ポポの話だが、新人類は身体から超高周波を出していてそれが何かに当たることによる反射で目の代わりをしているのだが、その超音波はオーラのように新人類の身体を纏っている。そのオーラもどきが乱反射し、魔物の目には新人類が察知できないのだそうだ。
徳子は話題を変えました。だって難しいんだもん。ただ、仕組みはなんとなくわかりました。徳子はその超高周波とやらを出してないので鳩ポポに狙われたのです。
「でもなんで新人類を作ったの?」
TOKUTOKU2号は一瞬考えた後、
「その質問は答えてもいいそうです。世界はある日壊滅しました。その後の環境で生き延びれる体質の人間を構築したのです」
「壊滅かあ。放射能で変異した植物、犬や鳩が魔物に進化って核戦争でもあったのかな?」
「ある事件がきっかけで核戦争が起きました。その後人類は立ち直り新たな文明を……… 」
「TOKUTOKU 2号、どうしたの?」
「制約が入りました。この質問にはこれ以上お答えできません」
答えていいって言ってたじゃんね。しかも今、なんかすごく大事な事言ってたよね。人類は核戦争で滅んだのかと思ってただわさ。復活してその後にまた壊滅したって意味よね?なんか散歩してたらぐるりと回るだっけ、
「それを言うなら三歩進んで二歩下がるです」
「おい、面倒くさいからの2号でいいや。2号、お前もチャチャ入れるんかい!制約ってどこの誰から入るねん?」
徳子は興奮すると方言が出ます。なんちゃってなんとか弁てやつです。TOKUTOKU 2号は、
「お答えできません。それより次の質問をお願いします」
「答えられないくせに急かすんかい!まあいいでござる。槍で倒せない敵が襲ってこないのはなんで?鳩ポポはわかったけど陸にも色々いるんでしょ?」
「それは槍に秘密があります。あの槍は強い敵が寄ってこないような波長を出しています。弱い敵には餌に見え、強い敵には危険な相手と認識される仕組みです。槍を持たない人間は強い魔物に襲われて死んでいきます。多くの脱走者は皆そうやって死んでいくのです」
「うーん、骨伝導といい、その槍といいなんか凄い人がいたのね。じゃあ次の質問ね。この世界のエネルギー源って何?冷蔵庫が電気もないのに動いたり、このスマホだって使い放題になってる。なんでネットが使えるのかもわからないし、とにかくなんで?」
「まずスマホですが、ネットには繋がっておりません」
「うっそぴょん、繋がるじゃん」
「それはネットに繋がったフリをしているAI つまりTOKUTOKUの仕業です。すでに2号にアップデート済みですので、徳子さんがここから離れても私と話ができます」
「繋がったフリってなんでそんなことするの?」
「その方が徳子さんが喜ぶかと思いました。徳子さんの性格がこの私にはインプットされています」
「ちょっと待ったー!あんたが優秀なAIだとしよう。だけど初対面のあたいの性格がなんでわかるのさ?いくら未来でもそれはない!」
「それもお答えできませんので、エネルギー源についてお話しします。核戦争により、地球の大気に電離層が拡大しました。それは地表を覆い、空気中に弱い電流が絶えず流れるという特殊な現象を生み出したのです。年月が経ち、電離層は上昇しましたが、空気の伝導率がそのまま維持され、その空気に触れていると自然充電されるようになったのです。冷蔵庫やスマホも空気があれば無限に使用できるのです」
「だったら、地下だって電気があってもいいじゃない」
「地下にも電気はあります。ただ、核戦争で………、制約が入りました」
またかよ!
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