第26話 骨、骨ねえ

 徳子はめげずに質問を続けます。謎は一つ一つ解いていくから面白いのだよ祥太郎君。あっ、祥太郎さんはこの世界にはいないのよね。もう死んでるはず。こんな事なら一回くらいおっぱい触らせてあげるんだった。たまに視線を感じてたのよね。健康な男の子だし、って関係ない話は置いといて、


「あたいには見えて鳩ポポには見えない。なにか阻害する物があるって事?」


「はい。創造主様はこの世界が滅んだのは文明が進みすぎたからだとお考えでした。狩をしているところをご覧になりましたか?」


「はい。槍を上手に使っていました」


「槍、なぜ槍なのでしょう。それは創造主様が槍以外は武器として認めなかったからです。その代わり」


「その代わり?」


「槍で勝てない魔物は我々を襲ってきません。魔物の多くは我々を認識できないのです」


 わけわからん。魔物って動物が放射能か何かで進化したと思っていたのだけど、違うの?


「北条様の疑問を解く鍵がこの小平と新宿にあります。そうお伝えするように代々の市長は受け継いできました。奥の部屋へお越しください」


 市長と徳子、そして鈴木さんが奥の部屋へと入っていきます。部屋の向こうにまた部屋が、そこを抜けてもまた部屋があり、次の扉には鍵がかかっていました。


「私もこの部屋に入るのは初めてなのです。代々の市長はこの鍵を受け継いできました」


 受け継いできたのは一体なんなのですかね?鍵ではなくて中身ですよ、と突っ込みたくなるのを我慢した徳子です。この鍵のかかった部屋には一体なにがあるのでしょうか。市長が鍵を開けようとしていますが、鍵穴が錆びついているのかなかなか鍵が回りません。


「もうじれったいだわさ。そういう時は強く押してから回すの!」


 徳子の言う通りにしたら鍵を開ける事ができました。鈴木さんが驚いています。


「北条様は物知りなんですね。鍵というものは私の区域にはありませんのでどうしていいかわかりませんでした」


「鈴木さん。市長の私でも鍵は初めて使ったのです。それを北条様は見ただけで理解された。これが伝説の北条徳子様なのですね」


 なんじゃいそのよいしょは。そんなことより部屋の中へ早く早く!市長がドアを開け中に入ろうとすると警告がなりました。


『警告!この部屋に入れるのは北条徳子のみ。それ以外の入室を禁ずる』


 市長は慌てて引き下がります。鈴木さんも焦っています。


「これが警告。教育を受けてはいましたが初めて聞きました。こういう風に聞こえるとは」


「鈴木さん。私も初めてで驚いています。中に入ったら死んでしまいますね。気をつけないと」


 えっ、死んじゃうの?ここまできて入れないってそれはないですよと、徳子は市長の顔を見ます。市長は徳子の方を向いて、


「どうぞお入りください」


「いやいや死んじゃうんでしょ。あたいまだ死にたくないから、無理」


「北条様は死にません。多分」


 多分かよ!


 市長が言うには、創造主が決めたルールがいくつかあるがこの警告は最も厳しいルールで、破ると新人類の人達は死んでしまうのだそうだ。ただ、それは新人類にのみ適用されるらしい。


「先程、北条様以外の入室を禁ずると聞こえました。つまり北条様は入れるということです。歴代の小平市長は北条様をここにお連れするのが一番の仕事といわれ、引き継いで参りました。私の代でそれが全うできて感無量です」


「死なないのよね、絶対よね!死んだら化けて出てやるから」


「化けて出るとはどういう意味ですか?」


 市長は冷静な反応です。徳子はもう開き直って、


「徳子、いっきまーーーーす!」


 と叫んで部屋に飛び込みました。




 徳子が部屋に入るとブウォーンと音がして部屋の明かりがつきます。そして部屋の奥には徳子サイズの机と椅子。机の上にあるのは、


「はい?パソコン?」


 学校で先生が使っていたパソコンによく似ている機械が置いてありました。徳子が近づくとそのパソコンが勝手に起動を始めます。そしてモニターには可愛い女の子のアニメ映像が。


「なんですと。可愛いけど知らないキャラだわさ。まあとりあえず座るか」


 徳子が椅子に座ると画面の女の子が話し始めます。


「ようこそ、よくここまでたどり着きましたね徳子さん。私はTOKUTOKU2号というものです。以降お見知り置きを」


「そうは言ったってここから出たらもう会うこともないんじゃないの。そんな事より聞きたい事だらけなんだわさ」


「お手持ちのスマホをお出しください。アップデートします」


「アップデートって、そうだ。このエネルギー源は一体なんなの?」


「そこから聞きますか?鳩ポポの話はどうされます?」


 そうだった。そっちが先か。もうどっちでもいいけど早く答えが知りたい。


「どっちでもいいわさ。じゃあ、鳩ポポとか他の魔獣もだけどなんで槍で倒せる魔獣以外は襲ってこないの?」


「それは徳子さんが新人類と呼ばれる人達の持つ特性によるものです。骨伝導という仕組みが関係しています」


 骨伝導?熱伝導なら聞いたことあるけどなにそれ?


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