第25話 小平市長との会談
小平市に入ると、徳子は市内を探検したいと申し出ましたが却下され市役所へ直行しました。東村山と小平の間の距離は昔と変わっていません。そのまんまの状態で市になっているのは普通ではないのですが、徳子は気にしてません。ただ、市と市の間には何もありませんでした。たまに魔獣が出ただけです。結局空飛ぶ魔獣 鳩ポポはあの時のみで、あの後現れた魔獣は別の鬼犬と角兎です。角兎はすばしっこく槍ではどうしようもありませんでした。ただ、角兎の攻撃力が低いのか角で突進してきた時以外は怖くないそうです。徳子には十分脅威でしたけど。あと、槍だけで空飛ぶ魔獣には対処できないと思うんだけど大丈夫なのですかね?
またまた長い階段を降りていきます。ここの階段も徳子サイズの人間に合わせて作られています。新人類の人は疑問に思わないのかね?作り直そうとか考えそうな物だけど。
「鈴木さん。階段の幅について疑問に思った事はないの?」
「北条様に合わないのでしょうか?」
「いえ、あたいにはピッタリだわさ。みんなの歩幅には合わないでしょう。大きい人しか住んでないのにおかしくない?」
「そういうものと教わっております。ですのでそれが当たり前なのです」
「頻繁に使うのでしょう?不便じゃないの?」
「我々は段飛ばしで昇降できますから不便ではありません」
段飛ばしって。段飛ばしは危険って教わらないのかしら。まあこの人達、体の構造違いそうだし落ちても死なないのかもだけど。
徳子もだいぶ鍛えられたのか、階段昇降が前より速く疲れなくできるようになっています。人間て不思議ですね。地下に到着すると相変わらず真っ暗で東村山と同じように門がありました。門番の人もいます。
門番と今まで出番が無かった大塚さんが話をしています。大塚さんは小平市と東村山市との連絡係をしているそうでほぼ顔パスです。
「市長に会いに来ました。予定通りです」
「伺っております。どうぞお通りください」
門番の視線じゃなくてスキャンが徳子の全身を舐めるように動いている気がする。完全にエロオヤジの視線と同じだ。徳子はもう慣れっこになっています。別に減るもんじゃないし、スキャンするだけしてみろってんだ。門番からしたらエロというより興味でした。小さい人と始めて出会ったのです。最初で最期かもしれないのですからジロジロスキャンもしたくなります。
門の中も真っ暗でした。東村山は区域長や市役所には明かりがあってそこの光が町に漏れていたのですが、小平は真っ暗です。闇です。徳子はバッテリーが減らないのをいいことにスマホのライトを使っているので何とかなりますが、この人達は本当にコウモリさんと同じなのでしょうか?真っ暗なのに足元の物もうまく避けていますしやっぱり超音波?
地下都市は教科書で見た京の都のように碁盤目状に道路があり、住宅が建っていました。徳子は大塚さんに聞いてみます。
「大塚さん。東村山もそうだったけど、ここも碁盤目状になってるよね。なんで?」
「碁盤目とはなんでしょうか?」
そこからかい。そういえば目が無いんだから囲碁も将棋も指せないだわさ。こりゃあたいが悪かった。
「ええと、網目って言うのかな?縦横に綺麗に区切られてるってこと」
「それを碁盤目と言うのですか。どこの地下都市も創造主様のお考えでその碁盤目で作られていると聞いています。その碁盤目毎に鈴木、大塚、佐藤と呼ばれるのです」
碁盤目はわかる。京都に遊びにいった時も自分がどこにいるかわかりやすかったし、行ってみたいお店の方向もすぐわかったしとても便利だった。でもそれは道に数字があったから。鈴木とか大塚でわかるんかい!
「まさかとは思うけど、小平市も鈴木さんエリアとか大塚さんエリアとかあるの?」
「もちろんです。どこの市も区域も地下都市は同じ作りになっています。市同士の交流は一部の人しか行わないため、ここにいる鈴木さんや大石さんは自分の区域しか知りません」
「人口も同じなの?」
「それはわかりません。場所によっては地下都市の大きさが違うところもあると聞いたことがありますので、違うのかもしれません」
創造主の顔が見てみたい。どういう趣味なんだろう?
小平市長との会談が始まった。徳子からの質問が飛ぶ、飛んで飛び回る。
「まず鳩ポポが私を攻撃してきました。みんなに聞くと襲われた事が一度もないというのですが何故でしょう。」
「北条様の身体を鳩ポポは認識できるのです」
「どういう意味ですか?大きな人達の方が目立つっしょ!」
「その通りです。目立つ。北条様には目があるのですね。鳩ポポにも目があります。ですが鳩ポポには我々の姿が映らないのです」
「目があるのに見えないって事ね。でもあたいには見えるよ。何が違うの?」
「北条徳子様は特別なお方。創造主様がいつか現れる北条様のためにこの世界を作ったのです」
意味わかんない!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます