第10話 新人類はコウモリさん
地図に従って進むと、正確には鈴木さんの後をついていくとなのだが地図と同じなのでそう言ってみました、目的地に到着しました。
『目的地に到着しました』
スマホからも声が出ます。ナビも出来るようです。でもナビの操作してないんだけど!鈴木さんが驚いています。
「機械が話すのですね。翔太郎様がお創りになられたのでしょうか?」
また翔太郎か。これは8000年前から持ってきただけなんだけど、そうも言えない。
「わかりません。昔から使っていますが誰が作ったとか気にしていませんでした」
適当に誤魔化しましたがそれで納得したようです。未来人チョロイっす。目の前には風化したビルがあり、扉があります。よく見ると扉だけ後から作られたようです。そういえば、管理区域A3に続く建物の扉もそうでした。扉だけ新しく感じたのはそういう事のようです。
「鈴木さん。扉だけ新しく作ったみたいですけど、それが地下への目印になっているのですか?」
「目印とはなんでしょうか?」
そうだった。目がないから目印じゃないじゃん。てことは、何か発信機が付いていて場所がわかるとか?なんにしても大きい人用に扉が後から作られたのは確かなようです。ナビが無くて目も見えなくて正確に位置がわかるのですから何かありますよね。
扉を開けて中に入ると、ちょっと豪華というかリビングっぽい感じがする部屋がありました。そして中央に地下へ降りる階段が見えます。
「冷蔵庫がない!」
「ここにはありません。この付近では冷蔵庫があるのは管理区域A3だけです」
「それでいいのですか?」
「決められた事です。それに従っているだけです」
会話がなかなか噛み合わない。仕方なく階段を降り始める。ここも長いんだろうな。どんどん降りていくが静寂に耐えられなくなっていく。会話にならないと思いつつ鈴木さんに話しかけることにした。だって、なんか雰囲気が………。
「鈴木さん、ご家族は?」
「家族とはなんですか?」
えっ、ここも噛み合わないのって家族がわからないのかい!これは驚いた。これをきっかけに根掘り葉掘り聞いてやろう。徳子さんはおしゃべりで好奇心旺盛なのですよ。なんてったってJK。
「ご両親は?」
これで何かわかる気がする。さあ、どう答える鈴木さん!
「ご両親とは何ですか?」
「ズコッ!」
足を踏み外すところだったじゃないの、どうしてくれんのよ!てことはなにかい、どっから産まれたんだお。困ったお。
「ええと、ご両親とは鈴木さんの親のことです。お父さんとお母さんがあんな事やこんな事して、キャウウウ、恥ずかしい」
「親は鈴木さんです。私を教育し、この役目が勤まるようにしていただきました」
「そりゃ鈴木さんの親は鈴木さんでしょうよ。そういうことではなくてですね。その、お母さんから産まれたのですよね?」
「お母さんとは何ですか?私はカプセルから産まれました。翔太郎様の作られたシステムによって人口は管理されていますので」
「!!!!!」
そのあとも細かく聞いていった。正直言ってなんてこっ待機モードに入りたいくらいのショックザアブソーバー欲しい。お腹いっぱいで消化不良起こしそうだ。
・管理区域の人口は翔太郎様と呼ばれるシステムに管理されている。
・男と女という概念がない。女というのは幻の存在だそうだ。
・人口が減るとシステムが管理しているカプセルから人が産まれる
・男しか産まれてこない
・区域ごとに人口が割り当てられている
・寿命は必ず1000年、病気という概念はない
・産まれてから10年間は教育期間、それが終わると各区域に配置され仕事が割り当てられる
どうやら人工授精とも違う、クローンなのか?徳子はそこら辺は詳しくはないが、エッチして産まれるわけではない事はわかりました。それと翔太郎様というシステムに興味を持ちます。そうこうしているうちに地下に到着です。今度は門番がいません。
「ここには門番さんはいないのですか?」
「ここは居住区ではありませんので。市役所です」
脱走する者がいないから門番は必要ないという事か。そもそもなんで脱走するのだろう。市役所はうん、市役所だ。どこにでもありそうないかにも市役所という感じの建物で、中に入ると戸籍課、出生課、総務課などの看板が見える。ん?看板?見えないのに看板とはどういうこっちゃねん。
「鈴木さん。看板があるのですが。総務課とか、出生課とか」
「どこがどの課かわかるようになっているのです。看板と言うのが標識の事だと思うのですが合ってますでしょうか?」
「多分あってる気がします。その標識から何か発信されていてそれが鈴木さん達の脳内で具現化されて場所がわかる、そんな感じですか?」
「そうです。波長を感じ具現化しているのです」
やっぱりそうか?コウモリさんのような感じなのかな?
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