第7話 区域長
徳子は慌てて姿勢をよくします。ただのJK、たかがJKですが日本人は礼儀が大事なのです。区域長らしき人が一瞬こちらを向いてから入ってきました。
衣服は軍服のようです。鈴木さんと同じように身体が大きく目がありません。それなのにメガネをしています。年齢は高齢者のような感じです。何歳なのでしょう?区域長はこちらを見ました。いえ、見ては無いですね、こちらを向きました。そして驚いた顔をしています。
「ようこそいらっしゃいました、区域長の本郷です」
本郷なんだ。また渋い姓だね。三丁目とかついたらバカ受けだけど。なんて事を考えながら徳子は挨拶を返します。
「北条徳子です。お邪魔しています」
「話は聞いていましたが驚きました。私はこも管理区域A3の区域長を担当してかなり経ちますがお名前のある方には初めてです。お会いできて光栄です」
「本郷さんは区域長をどのくらい勤めていらっしゃるのですか?」
「そうですね。もう500年になりますか」
!!!!!!、そりゃ年老いているように見えるわい。大きい分寿命も長いとか?
「失礼ですが今何歳でいらっしゃいますか?」
「850歳になります。あと150年ありますので平和に終わってくれればと思っております」
待てよ待てよ。なんか大事な情報がいっぱい隠れてないかい?徳子はその後も区域長から貴重な情報を仕入れていく。
「区域長。あと150年ってご自分の寿命がわかるのですか?」
「なるほど。鈴木さんの言う通りでしたね。常識が異なると言っていましたが。そうです。この区域の人間は寿命は1000年と決まっております。外の世界へ出て魔獣にでも殺されない限りは誰もは1000年生きます」
「魔獣がいるのですか?」
「北条様は魔獣の調査をされているのかと思いましたが違ったようです。魔獣とは動物が進化したもので地上に住んでいます」
「そうなのですね。区域長は目って分かりますか?」
「目ですか?初めて聞く言葉です。申し訳ありませんが存じません」
「そうですか。質問ばかりで恐縮なのですが、この部屋の絵がモナリザに見えるのですが何故ここにあるのでしょう?」
「絵、ですか。何のことでしょうか?」
「そこの壁に飾ってある絵です」
「ああ、これは絵というのですね。これはこの建物を作ったと言われているお方がここに置いたと伝わっています。なにか珍しい物なのですか?」
「昔の遺物です(嘘じゃ無いからいいよね!)。それと私が座っているソファーは私サイズですが皆様のは大きいサイズです。なぜ2種類あるのでしょうか?」
「はい。2種類の大きさの人間がいるからですが、それが何かおかしいですか?」
そう言われればそうなんだけど。そうか、人間の大きさは2種類。てことは私サイズの人もどっかにいるって事?徳子は続けて聞いてみました。
「どうして人間の大きさが2種類になったのですか?」
「それはわかりません。2種類存在するのです。それだけです」
「疑問には思わないのですか?」
「それが当たり前と教わりました。ですが、北条様の大きさの方がここに訪れたのは恐らく初めてです。前の区域長の記録にもありませんでした」
「そうなのですね。珍しいのでしょうか?」
「他の区域との交流もありますが聞いた話では遠く離れた区域に北条様のような身体の小さい人間が住んでいるところがあるそうです。北条様はそこからいらしたのではないですか?」
「私は、記憶が無いのです」
徳子はとっさに嘘をつきました。どう言っていいかわからなかったのです。それが結果的にいい方に行きました。
「それは大変です。鈴木さんから聞いて不思議に思っていたのですが謎が解けました。お名前以外で覚えていらっしゃる事はありますか?」
「年齢だけです。17歳です」
「17歳!驚きました。北条様の声は聞いたことのない波長ですが皆さんそういうお声なのですか?」
波長ときましたか。なんかへんだよね。
「わかりません」
「そうでした。北条様は記憶が無いのでした。小さい身体の人間は我々とは身体の構造が異なると言われておりますがその通りのようです」
「どう異なるのでしょう?」
「詳しくはわかりません。私のようなタイプの人間は生き残るためにこの地下で生活を初めて数千年と言われています。昔は小さい身体の人間が多かったそうですが、この区域A3だけでなく、区域Bにも身体の北条様は小さい人間はいません。お名前があることから考えても古の人間の生き残りではないでしょうか?」
古の人間。つまり身体が大きくなる前の人種ってことかしら?
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