第13話 狩猟実習 その3

一方その頃、グランのいる第6班も隊列を決める会議をしていた。


ヘレン「では、隊列ですが。私とグランさんが前衛、サリーさんが後方で魔法で攻撃、ステュールさんとカリナさんはそのサポートでお願いします。」

「「「「了解。」」」」

ヘレン「じゃあ、行きましょうか。」

6班も平原を進んでいく。

暫くすると森が見えて来た。

グラン「あそこの森の中に魔力の気配が…7.8.9.…10以上あるな。動きのパターンから見るとバンブルビーかな?巣も奥の方にある。」

ヘレン「バンブルビーですか…昆虫系は見た目に寄らず賢い事が多いですから分断は難しそうですね。」

サリー「アイツら、テリトリーに入った獲物は必ず察知する。ここを通るなら戦闘回避は不可能。」


バンブルビーは名前の通り蜂のモンスターである。蟻や蜂のように群れを作る昆虫系モンスターは高い知性を持っている事が殆どである。

またこの手の昆虫系モンスターは生物が発する体液の臭いを察知する特殊な器官が備わっているので厄介である。


グラン「とは言え、迂回すると遠回りなるけど、どうします?」

ヘレン「このまま行きます。巣を壊す事を優先しましょう。大量に出てくると厄介ですからね。既に飛んでる雑兵は私とグランさんで対処します。巣の破壊はサリーさん達にお願いします。」


そうして森の中に入っていく。

案の定何匹かの巨大な蜂が襲ってくる。

バンブルビー「ギギギ!」

グラン「うわぁ…キモ…」

ヘレン「良いから、行きますよ!氷弾ひょうだん!」

複数の氷柱が蜂の頭を貫き破壊する。

グラン「触りたくないな…身体強化。龍拳遠技りゅうけんとうぎ·飛龍拳ひりゅうけん!」

拳の圧力で打ち出された龍を形どった空気圧が蜂の胴を噛み砕く。

カリナ「あれが、グランさんの龍拳ですか。」

ステュール「初めて見たけどかっけぇー!」

ヘレン(拳圧だけであんな攻撃を、一体どれだけの身体強化を施せばそんな芸当が…)


ヘレンはグランに対して少し苦手意識を持っていた。初日の決闘によって目の当たりした圧倒的な強さ。ボロボロに負けた幼馴染。それ故に彼に対して言葉で言い表せない感情を抱いていた。

理解が及ばない強さ。今の技も一般的な魔法の身体強化では出来るはずがないのだ。

それは未知への恐怖であった。


グランもグランで彼女への接し方はよく分からないでいる。

彼女もまた、物語に深く関わる人物であるので、関係を悪くしたくないのだが、想い人をぶっ飛ばした自分に好印象があるとは思っていない。

なんとか改善したいと思っている。


グラン「どうかしました?」

自分への視線が気になったのか、彼女に声をかける。

ヘレン「いえ…なんでもありません。巣を探しましょう。」

グラン(う〜ん、やっぱり距離あるな…)


森の奥に進んでいく。

グラン「あれだな。」

カリナ「結構大きいですね。」

サリー「焼けば同じ。」

ステュール「それじゃ、やりますか!」


巣に近づくと大量のバンブルビーが出てきた。

グランとヘレンが迎撃していく。

サリーは巣に対して狙いを定めながら魔力を集中する。

カリナ「一匹でかいのが居ますよ!」

ヘレン「親個体マザーですね。あれが司令塔になってる。」

何匹かのバンブルビーがサリー向かって針を飛ばすが、カリナとステュールが剣で弾く。

サリー「炎塔えんとう!」

円柱状の炎が巣を焼き尽くす。

それを見た残りのバンブルビーが激怒して襲ってくる。

ヘレン「思ったより数が多い!」

グラン(このままじゃ不味いな…)

グラン「俺が行きます。」

グランは爪をたてるようにして右腕を前に左腕を後ろにする。

グラン「龍拳爪技りゅうけんそうぎ·爪転蹂躙そうてんじゅうりん!」

そのまま勢いよく回転しながらバンブルビーに突撃する。

バンブルビー達の体を引き裂きながら親個体に近づくとグランは足を高く上げて。

グラン「龍脚りゅうきゃく·奈落貶刺ならくおとし!」

そのまま頭に踵落としを食らわせ頭を粉砕する。

地面には頭が無い死体が落ちていた。


思った以上の数との戦闘で皆少し疲れていた。

呼吸を整えているとヘレンが言う。

ヘレン「すみません…私の想定より数が多かったです。グランさんが居なかったらこの班を危険に晒していました…」


ヘレンも決して自分が完璧であると思っていなかったが、やはり本当の戦闘を考慮したら自身の判断が良くないと思ったのだ。

リーダーである以上、作戦には責任を持たなければならないのだ。


カリナ「私も魔力操作が思ったより遅くて、実戦だとここまで違うんですね…」

ステュール「俺も針を弾くとき思ったより攻撃が重くて焦ってました。魔法を集中する余裕も持てませんでしたから。」

サリー「私なんて、二人にサポートしてもらってようやく魔法が使えた。もっと動けるようにならないと。」


他のメンバーも思った反省点を上げていく。

彼らも決して鍛錬をしてきていない訳ではないのだが、グランのような修羅場にあった事は一度も無いのだ、仕方がないことでもある。


グラン「まあ、それを含めて学ぶ授業だから仕方ないですよ。俺もこんな風に組んで戦った事がないですから、反省すべき点はあります。レポートに書くネタが見つかったと思ったら良いと思いますよ。」


その言葉を聞いて少しヘレンは意外そうな顔をする。


ヘレン「あなたにも反省点ですか?」

グラン「例えば、巣より先に親個体を倒しておくべきだったとか。ヘレンさんとの連携をもっとうまくやれるようにするとか。」


グランはチームプレーをしたかことが無い。

これまで自身だけの強さを磨いてきたグランもリークもコンビならまだしもグループで組むというのは初めてなのだ。


ヘレン「そうなんですか。」

グラン「まあ、誰しも初めてな事があるってことですよ。」

それを聞いたヘレンは少し考えた後、立ち上がって言う。

ヘレン「もう少し休憩したら行きましょう。」


十分後に再出発して森を抜けていく。


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どうも湯豆腐です。

ちょっと余裕が出てきたので速めに更新できるように頑張っています。

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