第5話 VSセバラス
セバラス「しかしまあ、よくそれで立ち向かう気になれましたね、あなたは。」
ユーナ「ハァ…ハァ…ゴホッ!」
当然ながらユーナが勝てるわけが無かった。
彼女はすでにボロボロだ。
視界がはっきりしない、体が熱い、息が苦しい、口内は血の味がする。
速すぎてどんな攻撃をされたかもわからなかった。
セバラス「おやおや、どうやら来たようですね。」
リーク「随分好き放題してるじゃないか。」
ユーナ「り、リーク様…」
セバラス「思ったより速かったですが、彼女が私を倒すとほざきだしたので、少しお灸をすえておきました。」
リーク「!」(いきなりあの女の魔力が動き出したと思ったらそんな無謀なことを!)
ユーナ「ご、ごめんなさい…リーク様。また、足を引っ張ってまいました。」
リーク「…確かに今の貴様は足手まといだ。だが、奴に啖呵を切ったその気概は今までのお前に無かった物だ。」
ユーナ「…!!そ、それと!あの者の属性は氷でした!気をつけてください!」
リーク「氷か…わかった。下がっていろ。お前を守りながら戦える余裕を持てる相手ではない。」
ユーナ「はい。」
そう言うとリークはセバラスを睨みつける。
リーク「さて、貴様は何者だ。なんのためにこんなことを。」
セバラス「申し遅れましたね。私は魔皇教の一員、セバラスです。と言ってもここでお別れかもしれませんね。」
リーク「目的は俺を消すことか。」
セバラス「そうですね。あのナルタを倒したグランとか言うやつの知り合いであるあなたも十分に危険因子である可能性が高いですからね。妙な力に目覚められる前に始末することにしました。」
リーク「ほお、大きくでたな。貴様は魔人ではないのだろう?それでこの俺に勝つつもりか?」
セバラス「舐められたものですね。青二才のガキが!」
セバラスはリークに突撃していく。
その速度は凄まじいものだが。
リーク「舐めるなは、こっちの台詞だ!!」
セバラス「ゴフッ!」
しゃがんでセバラスの突撃を回避し、そのまま腹にアッパーを食らわせる。
セバラス「チィ!ハァ!」
負けじとセバラスは踵落としをするがそれをリークは難なく受け止める。
リーク「そぉぉぉぉら!!」ブンブン!
そのままセバラスをジャイアントスイングで投げ飛ばす。
そのままセバラスに追撃を食らわせる。
リーク「
手に纏った雷の魔力はやがて金色の虎を形作る。
その虎はセバラスの頭に噛み付き電流を流す。
セバラス「ギィやァァァァ!」ビリビリ!
リークは一旦距離を取る。
リーク「どうした!偉そうな口をきく割にその程度か。」
セバラス「くぅぅぅ!!
無数の氷柱が撃ち込まれるが。
リーク「
リークも電気の玉をぶつけて応戦する。
セバラス「ふふ、ふふふふ…なるほど。流石に油断しすぎてましたね。」
リーク「なんだ、もう終わりか?ならもう消させてもらうぞ。」
セバラス「いえいえ、ただ先程の彼女と比べてあなたを侮っていた事に謝罪を申し上げたいのです。本当に申し訳ない。」
リーク「命乞いも遺言も聞く気はないぞ。」
セバラス「両方やる気はありませんよ。ただ、奥の手は切らせてもらいますけどね。」
そう言うとセバラスは懐から黒い液体が入った注射器を取り出した。
リーク「…なんだ、それは?」
セバラス「なんでしょうね!!」グサ!
セバラスは素早く自分にそれを注射する。
セバラス「うっぐ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ!!!」ドクンドクン!
やがて黒い何かがセバラスを包み込む。
リーク「な、何だ!?」
やがてセバラスの姿が現れる。
赤い瞳孔、僅かに生えた牙、禍々しいオーラ
セバラス「ふぅ〜、うまく行ったようですね〜。形勢逆転ですよ。」
リーク「ま、まさか!」
セバラス「さあ!!魔人セバラス様の誕生ですよ〜!!!」
高らかに笑いながら、セバラスはリークに襲いかかる。
しかしセバラスは一瞬でリークの後ろにいた。
リーク「ガハッ!!!」
セバラス「おっと失礼、速すぎましたかね?」
リーク(ば、馬鹿な!?俺が何をされたかもわからないだと!?)
セバラス「属性を失うのは大きいですが、これ程の湧き上がる力。代償としては安いものですよ。」
ユーナ「リーク様!!」
リーク「クッ!逃げろ!!ユーナ!!」
だがユーナはリークを庇うようにセバラスの前に立ち塞がる。
セバラス「退きなさい、あなたには興味がありません。殺しますよ。」
リーク「さっさと逃げろ!!お前が勝てる相手じゃない!」
ユーナ「い、嫌です!」
リーク「な、何だと!?」
ユーナ「わ、私は変わるんです!いつまでも怯えてばかりの温室育ちの弱虫ではありません!」
リーク「そんなことを言ってる場合か!!」
ユーナは手に魔力を集中させる。
ユーナ「
烈風がセバラスに飛ぶが。
セバラス「ふぅ〜!」
吐息でかき消される。
ユーナ「あ、あ…ああ…」
セバラス「威勢は認めますが、魔人になってもない私に敵わないのに挑むあなたは紛れもない馬鹿ですね。」
セバラスはユーナの首を掴み上げ、壁に投げ飛ばす。
リーク「ユーナ!!」
セバラスはリークの頭を踏みつける。
リーク「ぐっ…うう…」
セバラス「さっきはよくもまあやってくれましたね。このクソガキが!!」ドゴ!
更に強く踏んづける。
セバラス「しかし、とんだ拍子抜けですよ。魔人になった途端、私に手も足も出ないとは。あくまであのグランとか言うやつが特別だっただけですね。あなたは所詮、負け犬ですよ。」
リーク「…なんだと?」ピクッ
セバラス「魔力活性という特殊な力に目覚めた彼ですが、あなたにはその力が無いようですね。ふふ、可哀想に。婚約者は守れない。」
リーク「……」ビリビリビリ
セバラス「あなたは私にも勝てない。」
リーク「……」バリバリバリ
セバラス「あのグラン·デストリカにも勝てない負け犬ですよ!!」
リーク「……!」バチバチバチ!!
魔人セバラス
彼は先程、調子に乗って勝とうとしていたリークに対して屈辱を晴らす思いで彼の最も気にしている事を指摘し心を折らんとして侮辱した。
事実、その言葉は彼のプライドを傷つけた。
しかし、一つ誤算があるとすれば。
彼がここまで強さを身につける為の苦行を耐え抜けた理由はその傷をバネにしてきたことだ。
そして今、彼の刺激されたプライドがさらなる力を引き出す!
突如、一つの巨大な稲妻がリークに降り注いだ。
セバラスはそれを咄嗟に回避する。
セバラス「な、何だ!?」
ユーナ「り、リーク様?」
リークは黄金の稲妻のオーラを纏って立っていた。
リーク「くふふふふ………ははははははは!!!!よりによってこの俺に対してあいつの名前を出すとはな!いい度胸じゃねぇか!!そこまでしてこの俺に始末されたいなら、お望み通りぶっ殺してやるよ!!」バリバリバリバリ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます