第17話 婚約話

現在グランは別室にて大量のご馳走を目の前に置かれていた。

しかし、その手は全く進んでいない。

グラン「…」

セリア「どうしました?もしかしてお気に召しませんか?」ニコニコ

眼の前でニコニコと笑ってる少女のせいである。

グラン「い、いえ…いただきます。」ガツガツ


グラン「あの…あれはどういうことなんですか?」

暫く食事をしているとグランは彼女に尋ねる。

セリア「あれ…とは?」

グラン「そ、その陛下の娘をやるってことです。」

セリア「言葉のとおりです。私と貴方は婚約しました。貴方も返事をしたではないですか。」

グラン「いやいや!!あれはつい勢いで!」

そう言うとセリアはクスクス笑って。

セリア「ふふ…と言ってもあれで簡単に事が運ぶとは思ってませんよ。」

グラン「ど、どういう事ですか?」

セリアは今のグランの状況について説明する。

そして、自分と婚約するのが一番てっとり早いことも。

グラン「で、殿下はそれで良いのですか!」

セリア「構いませんよ。私としても、貴方には興味があります。」

グラン「だからって…何より王位等の問題もあるんじゃ。」

セリア「そこに関しては心配なさらず。兄上が既に継承するのは確定ですし、私はあまり興味が無いので。それとも私ではご不満ですか?」

グラン「いや、そういうことじゃ…第一こんな急に言われても…」

セリア「まあ、事を急いでいるのはわかっています。整理する時間も必要でしょう。ですが、今はこうしておくのがベストということです。あなた方にとっても、こちら側にとっても。」

グラン「…」

頭では理解は出来ている。すぐに納得できかは別なのだ。

セリア「あくまでも今は婚約という形です。ほとぼりが冷めてそれでも嫌なら解消すれば良い話です。」

グラン「…簡単に言ってくれますね、」

相手は王族だ。そんなことをすれば彼女の経歴に傷を付け、こちら側も王家の人間を捨てた無礼者として晒し者である。

セリア「一応言っておきますが、私は貴方と婚約することを嫌だなんて思っていません。寧ろ、嬉しくおもってますよ。」

グラン(…俺だって嫌なわけじゃない。ゲームでも一二を争う人気キャラと婚約できるなんて。けど、これで物語に影響が出たら面倒だし…でも、断ったら家族にも迷惑が掛かる。家族か世界か…)

彼は迷う。そして暫く考えてとった答えは。

グラン「…では、こちらこそよろしくお願いします。」

家族をとった。

グラン(元々、悪役と友達に成りたいって時点で物語に関わるのは必然だ。そこで主人公を上手くサポートするしかない。)

セリア「では!婚約成立ですね!よろしくお願いしますね!あ·な·た!」

グラン「よしてください…まだ結婚したわけじゃありませんし。」

セリア「ふふ…ではそちらも敬語は辞めてください。婚約した以上、私達は対等なのですから。」

グラン「わかりま…わかったよ。セリア。」

そう言うとセリアは嬉しそうな顔をする。

セリア「でしたら、またそちらにお邪魔しますね。私、あなたに鍛えて欲しいので。」

グラン「え!?鍛えるって、俺がが?」

セリア「昨今の戦いで、私は貴方の足手まといでした。私を助けることに気を取られて戦いに集中できていなかったのでしょう?もう、そうなるのは嫌なのです。王族は守られるためにいるのではありません。生きて民を守るためにいるのです。」

それは彼女の確固たる意志だった。

光属性を持ちながら何もできない自分が嫌だった。

セリア「お願いします。」

グラン「…わかった。けど、鍛える以上優しくするつもりは無い。それでも良いな。」

セリア「はい!よろしくお願いします!」


こうして二人の婚約は成立した。

ここから彼女もかなりの修行の辛さに地獄を見るが、割愛である。

そして、3年後遂に彼らは学園に入学する。


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どうも湯豆腐です。 

というわけでプロローグは終わりですが。

一旦視点を変えて彼の話です。

学園編はまだ先です。

もうちっとだけ続くんじゃ!

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