第15話 予想外

医者から許可が出て、再び城に叙勲式の為に来ていたデストリカ一家。

フレト「兄さんやっぱり凄いな〜。王様から表彰されるなんて。」

グラン「ま、まあな。」(飯の為に来たなんて情けなくて言えない。)

ミア「でも、あの時は本当に心配したのよ!全身包帯だらけにして。今も動けるようになっただけなんだから。」

グラン「わかってますよ母様。まだ修行もリハビリレベルに抑えてます。」

ルイス「よく言う、お前は目を離したら直ぐに魔法の修行をしていたじゃないか。」

グラン「い、いやあれは体を動かさないからいいかな〜って。」

ルイス「まったく…そのストイックな所はお前の長所でもあるが、あまり心配させないでくれ。」

グラン「はい、すみません。」


そして表彰式で謁見の間に入る。

グランは頭を垂れて国王の前にでる。

他の家族は後ろに控えている。

セリアを含めた他の王族はカーセルの隣に座っている。

カーセル「面をあげよ。今日はよくぞ来てくれた。体の方は大丈夫か?」

グラン「はっ!問題ありません。こちらもこのような場を作ってくださりまことに恐縮です。」

カーセル「そのような事を気にするな。そなたは娘の命を命懸けで救ってくれたのだ。その行動を称えるのは当然の事だ。寧ろ楽にしてくれ。」

その隣でセリアもウンウンと頷いている

グラン「し、しかし。」

カーセル「構わない。楽にせよ。」

グラン「…わかりました。失礼します。」

そう言って、グランは立ち上がる。

カーセル(年以上にしっかりしているな。親の教育の賜物か、それとも元からか。今のところ問題は無さそうだな。)

カーセル「本題に入ろう。そなたは今回の事件で我が娘セリアを守り、首謀者を倒してくれた。今回はその功績を称えたいと思う。」

グラン「有り難き幸せ。」

カーセル「グラン·デストリカ、前へ。」

そう言われグランは前に出る。

騎士の一人がクッションの上に勲章を置いている。

それをグランに着けようとすると。

セリア「私が着けます。」

突如セリアがそう言って立ち上がった。

グラン「えっ…」

カーセル「ほお…」

サリー「あら…」

騎士「姫様!?」

セリア「良いではありませんか。私の恩人に私は直接着けたいのです。いけませんか陛下?」

カーセル「…そうだなお前が世話になった恩人だ、お前が直接着けなさい。」

そして勲章を手に取りグランに着ける。

セリア「此度の件、まことにありがとうございます。貴方は私の命の恩人です。改めてお礼を申し上げます。」

そう言ってグランに礼をする。

グラン「そ、そんな!こちらこそ殿下に直接着けていただいて、恐縮です。」

カーセル「これにて表彰式を終了する。それとここからは私個人の興味でそなたと話をしたい。」

グラン「は、はあ…」

カーセル「そなたはどうやってそれ程までの強さを身に着けた。」

グラン「どうやって…とにかく魔力が枯れるまで修行をして魔力量を無理矢理増やし続けました。」

カーセル「魔力量を増やす?」

グラン「はい、どんな生物も成長します。一度千切れた筋繊維が繋がるとき、より強固なるのと同じです。何度も魔力を酷使して自身の器を成長させました。かれこれ6年こうして鍛えています。」

カーセル「6年もか。しかしそれはとても過酷かことなのだろう?」

グラン「はい。何度も嘔吐をしたり、何日も全身が筋肉痛になる事は珍しくありませんでした。しかし、毎日欠かさす続けておりました。」

カーセル「なるほど。」(確かにそれだけの苦行を続けてきたならその強さも頷ける。)

カーセル「何故、それだけの強さを求める?」

グラン「…友達になりたい奴がいるんです。そいつに認めてもらうため。」

カーセル「…それだけか?名誉や富などではなく?」

グラン「まあ、興味は無いですかね。今回の事も勢いで助けちゃったというかなんというか。」

カーセル「…クククク…あっはっはっはっはっ!!!」バンバン

グラン「え!?な、何かおかしかったですか!?」

カーセル「おかしいとも!魔人を倒せる程の強さを持つ理由が友達が欲しいからなど!あっはっはっは!!」

カーセル「はー。わかった!とは言え何か褒美はやりたい!申してみよ。」

グラン「い、いえそんな。褒美だなんて。」

カーセル「ふむ、そなたは食事は好きか?」

グラン「あ、はい好きです。」

カーセル「では、ご馳走を用意しよう。」

グラン「ご!ご馳走!」

カーセル「ああ、ご馳走と娘をやろう!」

グラン「はい!!……え?」

カーセル「返事をしたな!よし!ではこれにて解散!」

グラン「え?え?え?」

ルイス「良かったなグラン!お前に相手がいて!」

グラン「え、ちょ、は?え?え?」

そう言わてるとセリアが近寄ってくる。

セリア「グラン様!これからよろしくお願いしますね?」

そう言ってカーテンシーをする。

グラン「え、あ、はぁ……」

セリア「では、こちらへ!」

そう言って、グランの手を取り連れて行く。

グラン(ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇ!!!)


____________________________________________________

次回、この話の裏話です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る