第13話 魔力活性

この世界で、魔法を使う上で必要な物に魔力細胞と呼ばれる物がある。

これは魔法を使える全ての生物が持つ細胞だ。鑑定の時に属性はこの細胞の色によって判断される。

火属性なら赤、氷属性なら青、風属性なら緑、雷属性は黄色、光属性は金、闇属性は黒、そして無属性は白だ。

ゲーム内では覚醒モードと呼ばれる状態がある。ある程度物語を進めると解放されるシステムだ。

ゲーム内ではこれが具体的に何なのかは言及されておらず、プレイヤーもそういうパワーアップシステムだと思っていた。

実際は魔力活性まりょくかっせいと呼ばれるパワーアップ。

正式名称は魔力細胞活性化状態まりょくさいぼうかっせいかじょうたい。魔力細胞を活性化させ自身を強化する。身体強化との違いは単純な戦闘能力の底上げだけで無く、全ての魔法の威力が段違いに上がるのだ。


ナルタ「…なんだ?奴の雰囲気が変わったぞ。なんだあいつ…白く…光ってる。しかも俺の鎖を自力で破壊しただと。」

セリア「い、一体何が…」

グランは突然白いオーラのような物を纏ったと思えば頑丈な鎖を自力で破壊したのだ。

ナルタ「まあ、良い。ならこれで殺す。」

ナルタは魔力を手に集中して魔導砲を放つ。

ナルタ「ふん、口ほどにもない。」

だが…

ナルタ「何!?」


煙からは無傷のグランが出てきた。

一旦距離を取りナルタはセリアを鎖で拘束する。

グランはただナルタを睨むがさっきとは段違いの威圧感だった。


ナルタ「くっ!何が起こったか知らんが、俺に敵うものか!!ダダダダダダ!!!!」

連続で魔導弾を撃つ。やがて巨大な爆発にグランは飲み込まれるが…

やはり彼は無傷だった。魔力活性によって段違いの硬度を誇る彼の結界術の前でナルタの攻撃は無駄であった。

グラン「ふっ…」

不敵な笑みを浮かべるグラン。やがて右手をナルタに向ける。

グラン「ふん!!」ドン!

ナルタ「ぬおわぁ!!」

その瞬間、念動力による衝撃波がナルタを襲う。

ナルタ「クソぉ!!」ドンッ!

ナルタはグランに接近し顔にパンチを叩き込むが…


グラン「…それだけか?」

グランにはまったく効いていなかった。

ナルタ「な、なんだと…」

グラン「なら俺もお返しするぜ。おら!!!」ズドン!

ナルタ「ぐおぇぇ!!くっ…うが…あ、あ…」

グランはそのままボディーブローをナルタに叩き込む。

そのままナルタは蹲り、嘔吐する。

ナルタ(ば、馬鹿な!?たった一発で俺が膝を付くだと!?一体こいつに何が起こった!!身体強化?いや違う!!そんなものでは無い!一体これは!?)


見上げるとグランはナルタを見下ろしていた。

ナルタは恐怖していた。

ナルタ(し、信じられない!こんな子供がこの俺より強いだと!?しかし見たところこいつは無属性の筈!!…クソかくなる上は!)

ナルタ「ハァァ!!!」

セリア「え…」

ナルタはセリアの方に向き魔導砲を放つ。

やがて巨大な魔力がセリアを飲み込む。


視点 セリア

どうしてこうなったのだろう。

私はそう思った。

今日は楽しい日になるはずだったのに…

お父様やお母様、それにお兄様が来てくれてお祝いしてくれる。

綺麗なお洋服を着て。半成人式に出るつもりだったのに。

ナルタ『貴様の力は脅威だ。一緒に来てもらう。』

嫌だ…死にたくない…死にたくないよ…。

そんな中、一人の男の子がやってきた。

多分、私と同じ半成人を迎えた子だ。

彼は私を助けようとしてくれた。

でも、奴は強すぎる…とても敵わない…。

彼は勝つのではなく私を逃がすために戦ってくれた。

戦いの中で彼は突然パワーアップした。

その力であの男を圧倒する。

凄かった、格好いいと思った。

でも、あの魔人は彼では無く私を攻撃してきた。

ああ…私やっぱり死ぬんだ…

お願い…まだ名前も知らないあなた。あの魔人を倒して…


……?

何故か痛みも何も感じず目を開けると。

グラン「言っておくが、そいつは予測してたぜ。」

彼は私の前に立ち、攻撃を受け止めた。

ナルタ「ば、馬鹿な…あんな一瞬で移動したのか!」

セリア「あ、あなた…何者なの?」

グラン「?…何者って…あ〜グランです!グラン·デストリカ。よろしくです!お姫様!」(`・ω・´)ゞ

そう言って彼は敬礼ポーズをして私に笑いかけた。

なんというか安心する声をしてた。


視点 三人称

ナルタ「き、貴様…本当に何者なんだ。」

グラン「まあ、めっちゃ修行して強くなった人間だよ。」

ナルタ「ふ、巫山戯るな!!それで魔人の俺を超えられるものか!」


連続で魔導弾をグランに打ち込むが、全く手ごたえが無い。

だが、ナルタはその隙をつき上空に上がり、巨大な魔力の塊を作った。


ナルタ「ハハハハハ!ぬかったな!貴様は無事だろうがこの辺一帯、何よりそこの女は衝撃に耐えられないぞ!」

セリアはその言葉に絶望しそうになるが。

グラン「大丈夫ですよ。俺が守りますんで。」

その一言に彼女は安心感を覚えた。


グランは両手を開いた状態で、右手を下、左手を上にして魔力を溜め始める。ある程度溜まったところで両手を腰の右側に落とす。

やがて体から溢れ出す魔力が龍を形どり体を包む。


ナルタ「くらえぇぇぇぇぇ!」


巨大な魔力の塊が落ちてくるが、セリアはグランのその背中に釘付けになっている。

まるで神話に出てくるような英雄の背中だった。


グラン「剛龍咆烈波ごうりゅうほうれつはッ!!」


巨大な白い龍は落下する巨大な魔力を打ち消し、ナルタを飲み込んだ。

ナルタ「ば、馬鹿な!?ギィヤァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


セリア「た、倒したの・・・?」

セリアはグランに尋ねる。

グラン「はい、跡形も無く消えました。もう、大・・・丈夫・・・です・・・よ。」

そう言ってグランは地面に倒れこんだ。セリアは慌てて駆け寄る。

セリア「きゃあ!大丈夫ですか!しっかりしてください!」


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皆さんどうも湯豆腐です。今回で三回目の戦闘回でしたがどうでしたか?

もうすぐ、プロローグ入学前編 が終わります。

でも学園本編に入る前に、ライバルの彼視点での話をかくので、もうちょっとお待ちください。

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