第12話 VS魔人ナルタ

魔人とは元々、人間である。

しかし魔皇教に所属する人間で上位の立場の者たちは悪魔の血を飲み属性を失う変わりに強大な力を手に入れる。

そして生まれるのが魔人だ。

ただし、血の適合率は5人に1人だ。

それだけにナルタは作中でも屈指の強ボスだ。


グラン(この威圧感…絶対ヤバい!!間違いなくこいつは強い!…でも、なんでかな。怖い筈なのに。こんな時なのに、妙にワクワクしてるんだよな、俺。)

ナルタ「来ないのか?では行くぞ…」

ナルタは高速でグランに蹴りを繰り出す。グランは距離があったためなんとか避けるが少し掠っていた。

グラン「は、速い…」

ナルタ「クク…言っておくが今のは全力では無いことをわかっておけよ?ここから少しずつ実力を出していたぶってくれる。」

グラン「くっ!?」(直撃してたら間違いなく骨が逝ってた!向こうが本気じゃないうちにまずは姫さんを避難させないと!)

グランは身体強化でセリアの下に行き救出しようとするが。

セリア「駄目!後ろ!!」

グラン「ハッ!!」

ナルタ「させんよ。」バキッ!

グラン「ウグッ!!」

後からグランが蹴りを食らわせる。なんとか防御して致命傷を避けるが相当のダメージだった。

壁に吹っ飛ぶグラン。なんとか立ち上がる。

グラン「ぐわ…あっ…くっ!」(ガードの上からでこのダメージかよ!!腕の痛みがヤバい!!)

ナルタ「なかなかやるようだが、それでもこの程度だ。」パシッ

分身で後ろから不意打ちをするもすぐに防がれる。

そして、そのまま分身の頭を握りつぶされる。

ナルタ「さあ、次はお前がこうなるんだ。」

グラン(なんとか全力の攻撃で怯ませて隙を作らなくては!多分分身の連携攻撃は通用しない。身体強化140%でなんとかなってくれ!)

グラン「ハァァァァァァァ!!!!」ゴォォォォ!

セリア「す、凄い力…!」

ナルタ「ほぉ…」


一瞬でナルタの前に移動する。

そのまま顔面を殴り飛ばし、更に上空に蹴り上げた後、そのまま念動力で飛び上あがり連続で蹴りを食らわせる。

グラン「龍拳ッ!!」

更にダメ押しの龍拳で叩き落とす。

一体様子見の為に降下する。

グラン「ハァ…ハァ…ど、どうだ?」

やがて煙が晴れるが。

セリア「そ、そんな!?」

グラン「……あ、ああ…!」

ナルタ「どうした?攻撃はもう良いのか?」

ナルタは無傷だった。

埃を払う仕草をして立っていた。

ナルタ「ではこっちから行くぞ!」ドゴォ!!

グラン「グホォ!!?」

姿が消えたと思ったらナルタは一瞬でグランの腹に拳を当てていた。

ナルタ「ヌン!!」バキッ!

グラン「ぎゃあ!!」

更に顔面に蹴りを食らわせ吹っ飛ばす。

グラン「ぐっ…あ…が…」

グラン(や、ヤバい!!ホントにヤバい!!!なんとか姫さんだけでも!)

グランは魔導弾を放つ。ナルタは余裕で避けるが。狙いはナルタでは無い。セリアを縛ってる魔力の鎖の破壊だ。

セリア「あ、鎖が!」

ナルタ「な!?貴様ぁ!!」

グラン「逃げろぉ!!」

セリア「で、でもあなたは!」

グラン「良いから行けぇ!」

戸惑いながらもセリアは逃げようとする。

ナルタ「逃さん!!」

グラン「させるかよ!!!」

分身でナルタを拘束して本体で殴り飛ばし隙を作ろうとする。


だが…

ナルタ「ぬぉぉぉぉぉ!!」

グラン「うわ!しまったぁ!!」

ナルタは拘束を解きすぐさまセリアに接近する。

直ぐさまセリアも光属性と火属性の複合魔法で攻撃するが、ナルタはそれを躱しセリアの手を掴み持ち上げる。

セリアは暴れて抵抗するが無意味である。

セリア「離して!!」

ナルタ「おっと、そうはいかんな。戦い方がなってないが、貴様の光魔法は脅威だ。確実に始末させてもらう。」

だがそのナルタの頬を光線が掠める。

グラン「ゼェ…ゼェ…させねぇよ…」

ナルタ「…しぶとい奴だ。いい加減寝てろ!」

グラン「グホェ!!」


そう言うと、ナルタはグランを力一杯蹴り飛ばす。そのまま吹っ飛ばされたグランにナルタは鎖を投げる。

鎖はグランに巻き付きそのまま壁の中に入りグランを固定する。


ナルタ「さて、これで奴は邪魔は出来ないな。」

セリア「あ、ああ…」

セリアは恐怖のあまり涙を流す。


グラン(駄目だ…このままじゃ彼女が殺される。どうすれば…どうすれば奴より強い力を!…いや、思い出せ!師匠が言ってたことを!)


回想

ルティファ『良いかグラン。魔法を使う上で確かに魔力の量や魔力コントロールのぎ大切だ。だが個人の持つ魔力の質を高めるのも大切だ。』

グラン『魔力の質?』

ルティファ『ああ、例えば同じ水でも泥で濁った水と透き通った綺麗な水とじゃ価値が違うだろう?魔力もそれと同じだ。より質の高い魔力によって繰り出される魔法は強力だ。そしてある程度魔力の質が高まった時、お前はさらなる世界に足を踏み入れるだろう。』

グラン『さらなる世界?面白いですね!じゃあどうすれば良いんですか!教えてくださいよ!』

ルティファ『それはお前が自分で考えろ。じゃなきゃ修行じゃないからな。…ひとつアドバイスをすると。案ずるな、後もう一押しでその粋にたどり着ける所にお前は成長している。』

回想終了


グラン(逆転させろ?…質を高める?…さらなる世界?…そもそも魔力の質ってなんだ?どこからそんな概念が出てきた!?考えろ…考えろ!逆転させろって何をだよ!クソ!集中しろ!集中!集中…?

魔法の基本は魔力を集中させる事…

まさか…!?

そうなんですか師匠!?これでいいんですよね!?

身体強化や結界術のように魔力を使うんじゃなくて、魔力そのものが全身に行き渡るイメージ!!つまり魔力の解放!!)


今、グランの力は新たなる目覚めを迎える。





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