第11話 襲撃
突如、会場の壁が破壊されたと思ったら、そこから大量の魔物が現れた。
「な、なんだ奴らは!?」「魔物!?どうしてここに!」
グラン「やばい!皆逃げろ!!」
会場は一瞬でパニックに陥っていた。
何体かの魔物が火の玉を飛ばしてくる。
グラン「伏せろ!」
家族にそう叫ぶと直ぐに結界術を纏わせたテーブルを倒し盾にして家族を守る。
グラン「ミリシャ!フレト!お前らは父様と母様と一緒にここを避難しろ!絶対に二人の側から離れるな!」
フレト「兄さんは!?」
グラン「俺は少し気になることがある。ルティ師匠を呼んでくるからそれまで待ってるんだぞ!」
そう言うと直ぐにそこから離れてルティファのいる場所を感知する。
グラン「師匠!」
ルティファ「グラン!無事か!」
グラン「俺のことより、あっちにいる俺の家族を頼みます!」
ルティファ「待て!お前はどうするつもりだ!」
グラン「俺は少し気になる奴がいるんです!多分そいつは今回の首謀者だ。調べに行きます!」
ルティファ「だが危険すぎる!向こうで避難誘導をしている。お前も一緒に避難するんだ!」
グラン「お願いします!ここで取り逃がしたらマズイ事になる気がする!俺を信じてください!」
ルティファ「…クソ。わかった!だが死んだりするんじゃないぞ。お前にはまだ教えてないことがあるんだからな!」
グラン「はい!」
そうして二人は別れる。
だが。
「「「グルルルルル…」」」」
大量の魔物が彼の行く手を阻んだ。
グラン「クソ!どけぇぇぇ!!!」ドォォォン!
魔導砲を放ち敵を蹴散らすがまだまだ数が残っている。
リーク「グラン!こっちだ!」
グラン「リーク!」
テーブルを盾にして雷魔法で応戦しているリークを見つけた。グランもそこに駆け込む。
リーク「グラン!何なんだコイツらは!」
グラン「知るか!勝手に湧いて出てきやがった!護衛の騎士団もまだ避難に対応を取られてる!」
リーク「チッ!かなりの数だぞ。それに悪いが足手まといが一人いる。」
ユーナ「いや…怖い…」ガクガクブルブル
そう言って指を指したのはユーナだった。彼女は完全に怯えきっておりとても戦える状態じゃない。グランは少し考えて言う。
グラン「向こうに俺の師匠がいる。その人に連れて行って貰おう。俺が援護する。お前はその隙にその子を連れていけ!」
リーク「それしかないな、おい!聞こえたな!行くぞ!」ダキッ!
ユーナ「ふぇ!?ちょ!待って!」
そう言うとリークはユーナを抱きかかえる。
グランは魔物たちの前に立ち。
グラン「だだだだだだだだ!!!」バババババババ!
何十発と魔導弾を撃ち込む。
その隙にリークは身体強化で猛スピードでルティファの下に向かう。
リーク「おい!あんたがグランの師か!」
リークはグランの家族を避難させているルティファを見つける。
ルティファ「貴女はリーク·サンダリオ。」
リーク「こいつを頼む!グランの加勢に行かねばならん!」
ルティファ「わかりました、任せてください。」
そう言ってリークはルティファにユーナを渡す。
ユーナ「あ…」
ユーナが手を伸ばすが、すぐにリークはグランのいるところに去ってしまう。
魔物の強さは大した事はないが数が多すぎるが故にグランも焦りを感じてきた。徐々に戦いに参加する騎士がやってきたが、それでも数が少なすぎる。
騎士団長のバルトも必死に応戦するが多勢に無勢過ぎた。
バルト「数が多すぎる!援軍はまだか!」
リーク「グラン!加勢するぞ!」
グラン「リーク!」
そう言ってリークがやって来る。
リーク「ハァァ!!」ドーーーーン!
リークも魔導砲を撃ち込んで攻撃する。
リーク「おいグラン!どうするんだ!」
グランは魔力感知に集中して、ある男の場所を特定する。
グラン「首謀者の目星はついてる!おそらくそいつがこいつらを召喚してる!だからそいつを倒せば解決だ!お前はこいつらの相手をして時間を稼いでくれ!」
リーク「ち、時間稼ぎ役か!気に食わないが、わかった行け!」
グラン「恩に着るぜ!」
そう言って、二人は猛スピードで魔物の大群に特攻し蹴散らしていく。
「「ウォォォォォォォ!!!」」
その様子を見ていた騎士たちは驚きに染まる。
「な、なんだあの二人は!?」「本当に子供か?」
バルト(あの二人、片方はサンダリオ家の天才リーク·サンダリオか。だがもう片方はあれは確か無属性のグラン·デストリカ!?あれ程の実力を持っていたのか!)
やがて二人は別れてグランは首謀者の下に向かう。
やがて辿り着いた部屋で2人の人物がいた。
グラン「おい、テメェ何してやがる。」
一人は王女セリア、もう一人はあのときのローブの男だった。
男「チッ!さっきの小僧か、やはり私の違和感に気づいていたか。」
グラン「あれだけ妙な魔力出してんだ、そりゃ気づくさ。」
グラン(王女さんは縛られて動けないな。人質ということか。)
グラン「お前はなにもんだ!なんの目的でこんなことしてやがる!」
男はローブをとる。
男「俺は魔皇教の一員、ナルタだ。」
グラン(ナルタ!?たしか物語中盤のボスのキャラクターの筈!何故こんなところに!?)
魔皇教とは、魔王アルタルセスの復活を目論むゲームのメインの敵組織の名である。
ゲーム内でも主人公と度々対峙する敵だ。ナルタはゲーム中盤ので出てくるボスキャラだ。
ナルタ「目的か、決まってる。ここにいる姫は光属性の使い手らしいじゃないか。ならば先に始末しておくのは当然だろう?あわよくば連れ帰って洗脳するのもありだな。何より今日はパーティーなのだろう?ならば警備はいつもと違う状況になり手薄になる絶好の機会だ。」
グラン(バカな!?いや、確かに物語始まりはあくまで学園から、それ以前の事は漠然としか語られていなかったが。だからって急すぎる!)
彼は少し物語の流れに囚われすぎている。
ナルタがこういう機会を伺うのは当然であり、れっきとした作戦だ。
彼にとってゲームでもここは現実なのだ、彼らも考えて動いてる。
やがてこの認識の違いがこの先、大きなミスを呼ぶのを彼はまだ知らない。
グラン(クソ!考えたって仕方ない!取り敢えずこいつをここでぶっ倒す!!)
ナルタ「ほお、やる気か?この魔人である私と。」
グラン「じゃなきゃ、ここには来ねぇよ!」
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次回またしても戦闘回です。
今回は長くなるので二話に分けます。
頑張って書きます。
追記 フレトのグランの呼び方を兄さんに変更しました。
なんか違和感あったので
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