第5話 初戦闘と弟子入り

領地内の平野で、グランとルティファは対峙していた。


ルティファ「ルールはこうです。30分間で私に一撃を当ててください。私は魔法を使いませんが反撃はしますのでご注意を。」

グラン「わかりました。よろしくお願いします!」


互いに構える。

グランは身体強化を自身に付与し地面を蹴り一気に距離を詰めて行き拳を繰り出した。

しかし…

スカッスカッスカッ

ルティファ「遅いですよ、そんなんじゃ当たりません。」

グラン「クソ、はっ!!」


次に念動力を彼女にかけようとするが。その瞬間彼女の蹴りがグランの腹に突き刺さる。


グラン「うっ…オエ」


あまりの痛みに蹲る。


ルティファ「どうしました、まだ2分も経ってませんよ。」


グランは彼女を見上げる。

直ぐに飛びかかり蹴りを放つが、彼女は冷静に避け彼女の体を通り過ぎる。すれ違いざまに顔面にパンチを撃たれカウンターを食らう。


ルティファ「その程度では到底、試験合格は無理ですね。」


彼女は冷たく言い放つ。


ルティファ「貴方は才能がありません。諦めたほうが良いです。」

ルティファ(今ならまだやり直せる、あなたを傷つけるのはで良い。)



彼女は天才だ、だからこそ多くの人を傷つけた。

レベルが違う、天才だから、そう言われ続け、気づいたら彼女は孤立していた。

入学時からの友達はみな離れていった。


「貴方といると自分が惨めになってくる。」「そんな簡単に出来る事じゃない。」「簡単に言わないでよ!」


何度そう言われたことか。

だからこそ彼を今折らなければならない。

まだ、傷つける人間が自分だけで留められる内に。

まだ純粋な子供が現実を知って打ちのめされる前に。


およそ15分が経った頃、グランはボロボロだった。

だが…


ルティファ「何故、何故立ち上がりますか、ここまで言われ続けて、そこまで打ちのめさて!」


それでもグランは立っていた。眼もまだ死んでいなかった。


グラン「ハァ…ハァ…今ここで貴方に鍛えて貰えるチャンスを…ハァ…ハァ…逃したら、もう強くなれる気がしないんでね…グフッ!」


また殴り飛ばされる。


ルティファ「…正直侮ってました。その実力他の魔法学園なら合格はできるでしょう。それで満足でしょ!何故そこまであそこに拘るんです!」

グラン「ハァ…ハァ…あそこじゃないと駄目なんです…ハァ…ハァ…それにただ入れるだけじゃ、駄目なんだ…ハァ…ハァ…一番じゃないと絶対追いつけなくなる!…だからあなたに鍛えてもらわなきゃ駄目なんだ!」

ルティファ「!」

グラン(考えろ!今俺の使える術で彼女に勝つ方法を!どうすればどうすればいい!)

ルティファ「…もう終わりにします。」

グラン(もう、これにかける!できるかどうかわからないけど。)


グランは静かに目を閉じて集中する。


ルティファ(…ようやくわかってくれたんですね。)

彼女はトドメの蹴りを放つ、だが次の瞬間。


スカッ

ルティファ「!!?」


グランは体を反らし蹴りを避けた。

ルティファ(馬鹿な!?)


次に攻撃を繰り出すが。


グラン「…右脚の蹴り」ボソ

左に飛び退き再び蹴りを回避する。


ルティファ(また躱した!?さっきまで全然対応できてなかったのに!?何故!?)


彼女の顔は驚きに染まっていた。

距離を詰めて攻撃をするが。


グラン「…前からと見せかけて、後ろ!!」


前と見せかけた後ろからの不意打ちも完璧に対応して後ろ蹴りのカウンターを繰り出してきた。

ギリギリでなんとか避けるが。


ルティファ(今の動き、私の動きを予知、いやしてる?まさか、占術!?)


彼女の考えは正解だ。

グランがとった術は、占術だ。

占術とは字の通り占いのことだが、実際は高度な高速計算による未来予測だ。

とはいえ、本来ならば予測には時間がかかり何より正確性に欠けるため戦闘には到底使えないのだが、彼は日々の鍛錬によってなんとか戦闘で使えるレベルにまで練度を上げたのだ。まだ他の魔法と併用出来ないが彼は全魔力を占術にかけたのである。

スカスカスカスカ

ルティファ「くっ!?」

さっきとは打って変わって彼女が攻撃を躱される番になった。

そして


ガシッ!

ルティファ「!?」

グラン「俺は、絶対、あなたに、鍛えてもらいます!!!!」

バキッ!!


ルティファの拳を掴み彼女の顔にカウンターを叩き込む。

遂にグランの一撃が決まった。


ルティファ(この私が…負けた?)


彼女は地面に倒れていた。


グラン「俺の勝ちです、約束通りあなたの弟子にしてもらいます。」

ルティファ(こいつなら…もしかして、本当にできるんじゃ。)


そう考えて起き上がる。


ルティファ「…わかりました、今日からあなたを私の弟子とします。私の全てを叩き込んで強くしましょう。」


グランはパァっと顔を明るくして。


グラン「はい!よろしくお願いします!」ペコリ

ルティファ「最大限キツくしますので覚悟しておくように!それと私のことはルティ師匠と呼ぶように。弟子になる以上あなたに敬語も使わないのでそのつもりでいるように。修行は早速明日から始める!」

グラン「はい!」


こうして彼に師ができた。



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どうも皆さん湯豆腐です、今回初めての戦闘描写でしたがどうですかね?上手く書けてたら幸いです。





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