第4話 ルティファ·バルマ

鑑定の日からおよそ一年が経ち、グランは4歳になったいた。

一年の修行、効果は現れ始めていた。

念動力で持ち上げられる重量は現在200kg、分身は一人動かしながら維持し続けることができている。身体強化も木を持ち上げれる程度の状態を同時並行できるようになった。

そんなある日彼の所にある一人の人物をルイスが連れてきた。


ルイス「グラン、彼女はルティファ·バルマ氏だお前の修行を手伝って貰うため来てもらった。」

ルティファ「ルティファです、好きなように呼んでください。」

グラン「は、はぁ…」


気の抜けた返事をするグランを見ながら、ルティファは今回の事を考えていた。


ルティファ·バルマ 属性は風属性 彼女は推薦によって13歳にしてプリズム学園に入学し、成績トップで卒業した天才だ。

バルマ家の才女である彼女だが、溢れる才能を自分でもどうしたいのか分からず、卒業後は家を出て適当に魔法研究をしながら冒険者家業で稼いでいた日々だった。

そんなある日、彼女のもとに特命で依頼がやってきた。


ルティファ(あのデストリカ家からの依頼ね、内容は長男を鍛えるか。)


やることも特に無かった彼女は取り敢えず話を聞きにデストリカ家にやってきた。


ルイス「ルティファ殿、今回は来てくださって感謝する。」

ルティファ「一応話を聞きに来ただけです。受けるかどうかは本人をみて判断します。」

ルイス「それでも構わない、あの子の望みが少しでも叶うようにしてあげたいんだ。」


そしてルティファはルイスからグランの現状を聞いた。


ルティファ(無属性の子供を強くしてあの学園に入れて欲しいだ?無茶苦茶にも程があるだろ。)


それが彼女の率直な感想だ。

彼女もプリズム学園を卒業した身であるためそれがどれほど無謀なのかわかっている。


ルティファ「ルイス様、はっきり申し上げて無謀です。今からでも諦めさせるべきです。」

ルイス「わかっている、だがあの子を見てから考えてくれないか?あの子はどんな事をしても強くなろうとしてる。貴方から教えを受ければ、よりグランの為になると思っているのだ。どうかお願いします。」


ルティファは考える、子を思う親の気持ちは美しいが、それとこれとは話が別だ。


ルティファ(まあ、本人を見てから考えても遅くはないか。)


一応顔ぐらいはみておくか、そんな考えだった。


ルティファ「わかりました、取り敢えず本人に合わせてください。そこで判断します。」


ルイスは頷き、グランが修行している領地の森へ案内する。


森の中で見たのは異様な光景だった。

宙に浮かぶ大きな岩や丸太、所々穴が空いた地面、何より


ルティファ(同じ人間が二人?いや、あれは分身か。)


腕立て伏せをしている二人の少年、その姿はそっくりそのままだった。


ルティファ(この年で、かなりの魔力量だな。)

ルティファ「普段はどんな修行を?」

ルイス「何でも、とにかく魔力量を底上げするために、力の限界まで出来る事をやって、そこからまた修行の量を増やすのを繰り返しているのだとか。かれこれ一年毎日欠かさず、ずっーとやっている。魔法を同時発動しながら。」

ルティファ(これを既に一年間ずっと?そんな馬鹿な…確かに効果はあるだろうが、普通なら疲労と吐き気で気が狂うぞ。一体何がそこまでさせる。)


腕立て伏せを終えて息を整えるグランをみてそう思った。

そこでルイスが声をかける。


冒頭に戻る


グラン「修行の手伝いですか。」


屋敷に戻り、汗を流したグランはルイスから話を聞く。


ルイス「ああ、彼女のもとで学べば何かお前に良い影響があるのではと思ってな。」


ルティファの事はグランは知っていた。彼女は所詮ギャルゲーの女教師枠の人物だ。

主人公は学園に通いなから課外活動として魔物退治などをするイベントがある。

そこで彼女と出会う。イベントを通して主人公の熱意を感じた彼女は学生時代に取った教員免許で教師としてやってくる。

そこでイベントを通して主人公と仲を深めていくのだ。


グラン(彼女に修行をつけてもらうのは非常に好都合だ。闘いの技術を教えてもらうのに一番最適だ。)


前世、普通の学生だった彼には闘いの経験なんて存在しない。

しかし冒険者としての経験がある彼女からなら得るものが間違いなくある。なんとしても教えを受けたい。


ルティファ「ルイス様、彼と二人で話させて貰えませんか?」

ルイス「わかりました。」

そしてルティファとグラン二人になる。

ルティファ「グラン様は。」

グラン「あ、普通に呼んで大丈夫です。」

ルティファ「…グラン君は何故学園に入ろうとするの?正直かなりのぞみ薄だよ?」

グラン「…これ親に言ってないんですけど、友達になりたい奴がいるんです。そいつは将来学園に入ります。だから今強くなりたいんです。」

ルティファ「…それだけ?」

グラン「?はい、そうですけど。」

ルティファ「その、英雄になりたいとかそういうんじゃなくて?」

グラン「そういうのは別に興味無いですかね。」

ルティファ(たったそれだけの為にそんな苦しい思いをしてまで強くなろうとしているのか。ならば。)

ルティファ「…わかりました。一度貴方の強さを見せて貰います。それから考えましょう。」

グラン「!はい!」


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