第3話 狂気の修行

翌日からグランの修行の日々が始まった。

と言ってもやることはただ走り込みや、筋トレなど普通の体作りである。

ただし、常時魔法を発動し続けて過ごすという条件付きだが。


グラン(俺が強くなるための方法はこれしか無い!)


彼が強くなるために取った方法、それは魔力量の底上げである。


そもそも無属性だから魔法を使えない訳ではない、実際に無属性魔法は存在するのだ、では何が問題なのか、使える魔法が6種類しか存在しない事だ。

身体強化、分身、念動力、占術、魔力感知、魔導砲 この6つしか使えないのだ。

だがこれは世間では無属性ではなく凡庸魔法と呼ばれており、使えて当たり前の魔法なのである。

そのため、他の属性魔法と違い希少性が低いのである。

だからこそ彼はその魔法の質と魔力量で勝負するしかないのである。

彼のやってる修行は確かに効果はある。


まず念動力で常に重いものを魔力が底を尽きるまで持ち上げ続ける。そして慣れてきたらまた重量を増やしてまた増やして…これを幾度も繰り返す。

そして次に分身作り、二人で走ったり筋トレをする。慣れてきたら人数を増やしていくの繰り返し。

更に身体強化の上限を超える為に肉体の限度を超えた強化に体を慣れされる。

このルーティーン全て同時並行出来るようになるまで毎日繰り返す。

これによって魔法の技術力の向上と魔力量の底上げを同時に行っているのだ。


グラン(と言ってもやっぱりきつい…正直吐きそう。)


当然ながら彼への負担は尋常ではない、ただでさえ筋肉痛に苦しみ、魔力が底を尽きたことによる疲労と吐き気を覚える日々だ。

勿論効果はある。

生物は常に進化し適応し続けるものである。

千切れた筋繊維がより強固なものに再びくっつくのと同じ原理だ。

彼は何度も自身の体をいじめ抜く事で魔力量を底上げしているのだ。


彼は残酷だがこの世界の主人公では無い、突然の覚醒イベントや選ばれた力を授かる事は無いのだ。

だからこそ彼は地道に努力を積み重ねるしか無いのだ、例え途方のない時間が掛かろうと。


グラン「ウォぇぇぇぇ…」ドバドバ


修行後、あまりの疲労に地面に倒れ込み激しく嘔吐する。

口についた胃液を拭いながらも彼の瞳にはいまだ光が宿っていた。


グラン(諦めてたまるか…絶対に)


彼は諦めない、彼が憧れた彼と並びたち友になれるその時まで。

この修行の日々の始まりから一年後、彼の元にとある人物が訪れる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る