第24話 心地のいい疲労
1人で先にシャワーを浴びに行ったシェスカを追いかけて俺とヴィヴィ、ヴィルさんとヴィルさんの背中で寝てるルナも地下室からでる。
地下室から地上へ出るまでにシャワー室が完備されている。4個ずつ個室になっている。俺は、ヴィルさん達と別れ1人でシャワー室に入った。取手を捻りお湯を出す。しばらく浴びて、体が温まりさっぱりしたところで終え、新しい服に着替えて一階へと出る。
「ルナはまだ寝てるのか?」
「ん、すやすや」
「そうか、相当疲れたんだな」
「そうですね。体が壊れないギリギリを責め続けた鍛錬だったので、疲労は今まで感じたことのないものだと思います。起きたら湯船にしっかり浸からせてあげてください」
「わかった。ヴィルさん、今日はありがとう。とても充実した一日だった」
「いえいえ、こちらこそ若さを分けてもらいました。これからも頑張ってください」
「ああ、もちろんだ。シェスカー! 帰るぞ!」
「はーい! 今行くー!」
シェスカの合流を待って俺たちはカフェを後にした。ルナは俺の背中でまだ寝ている。起きる気配が全くないな。
「ルナ、本当によく寝てるね」
「そうだな、疲れたんだろう」
「懐かしいなー。私も修練始めたての時は終わった後すぐ寝ちゃってたよ」
「そうだったのか。シェスカでもそんな時があったんだな。」
「そうだよ! 私だって最初から強かったわけじゃないんだから!」
「そりゃそうだよな。俺も追いつけるように頑張るよ」
「追いつけるものなら追いついてみなよ! 私だって負けないんだから!」
「ああ!」
俺はシェスカと夕暮れ時の街を歩いていく。ヴィヴィは持ちろん剣の状態で俺の腰に装着されている。
「ぅん……」
「お? ルナ、起きたか」
「んー……。へ? ちょ! ルフレ!? なんで私のことおんぶしてんのよ!」
「そんなの、ルナが疲れて寝たからだろ! 暴れるな! 落ちるぞ!」
「うっ……。ごめんなさい」
ルナの耳が後ろ向きになってしまう。ちょっといきなり強く言いすぎたかな。
「まだ完全に回復してないだろう。大人しくおんぶされといてくれ」
「わかった。お願いするわ。……ありがと」
そうしてルナも起き、俺たちは念話参戦のヴィヴィも交えて会話をしながら宿へ向けて帰っていった。
「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
「みなさんお疲れのようですね?」
「結構ハードな修練をしたんだ」
「お疲れ様です! しっかり休んでくださいね!」
「ありがとう、そうさせてもらうよ」
いつも通り元気な受付嬢さんと、会話をして俺たちは部屋へと上がる。部屋へ入るとルナを下ろした。
「ありがと。お風呂先に入らせてもらうわね」
「ああ、俺たちはもう一度シャワー浴びたからなー。ゆっくり入ってきていいぞー」
そうルナに返事をしながら俺はソファに横たわる。するとやはり俺にも疲労が溜まっていたのだろうか。すぐに睡魔が襲ってきた。ルナをちゃんと送り届けられたことで安心したのだろうか。
「ルフレ、もう寝る?」
「……そうだな。すまない。もう限界だ」
「わかった。後のことは私たちでやっとくからもう寝て大丈夫だよ!」
「よろしく頼む」
後のことは全てシェスカに任せ、俺は寝る。のではなくログアウトボタンに手を伸ばす、もう現実では夕方だろうか。もういいや。眠いし、ログアウトしたら一度寝てしまおう。起きたらまた色々してログインすればいいや。
俺は現実世界へと戻っていく。
ヘッドギアを外し、俺は再びベットへ横になる。ゲーム廃人みたいな生活だな。まあいいや、大学受験で我慢したご褒美だ。春休みの間くらい、しっかり遊ばせてもらおう!
おやすみなさい。
ーーおやすみーーい。ルフレ、これーーーーあっても挫けーーとことなく強く生きーーーーい。どうか。どうか、お願いします。
俺は何かが聞こえた気がした。またあの声だ、けど眠たい。誰なのか、なぜ話しかけてくるのか聞きたい。しかし、睡魔には抗えず、寝てしまった。もう、限界だった。
翌日、朝4時に俺は目を覚ました。変な時間に起きちゃったな。なんか昨日寝る前気になることがあった気がするんだが、思い出せない。まあいいか。
俺は1日をスタートさせる。さすがに引っ越してきて数日だ。部屋は全く散らかっていない。冷蔵庫にある適当な食材でまずは朝ご飯を作る。マスターみたいに上手くは作れないな。もっと美味しく作れるようになろう。
朝ごはんを食べたあと、掃除、洗濯、その他諸々家事をしていく。実家に住んでた頃の母の有り難さをひしひしと痛感している。
よし! ひと段落した! 疲れるんだよな、家事って。けどやることは終わった! そういえば、調べることがあったんだった。俺はパソコンを開き、検索欄に『アルベロコスミコ 聖騎士』と入れ検索をかける。
検索結果は0件だった。代わりに、この職業が強い! とか、この職業にはなるな! とか、騎士になれた! などと言った似たようで違う検索結果が出てくる。聖騎士ってレアなのか? サービス開始から数年経ってるのに1人も聖騎士が出てない。そんなことあり得るのだろうか。ただ、俺の欲しい情報はもうこれ以上集められないだろう。仕方ない諦めるか。
ログインしよう。俺はV Converterを装着しベットに横たわる。
「ゲームスタート!」
俺は目を開ける。ん? なんか体が重いな。俺は目線を自分の下に移すとそこにはヴィヴィが寝ていた。全くこいつは。懐いてくれてる分には嬉しいからまぁいいか。横に視線を移すとそこにはルナとシェスカが1人ずつベッドで寝ている。
そういえば、俺がログアウトしてる間ってどうなるんだ? けどみんな寝た状態だしある程度は動けるのかな。動けたとして、俺がログアウトしている間、彼女たちはどんな暮らしをしているのだろう。
まぁ見れないから考えても無駄……か。とりあえずみんなが起きるまで待とう。これからは多分Aランク依頼とかも受けなきゃいけないし、起こすのも憚られるしな。
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