第21話 朝食
「んー……」
俺はソファの上で目を覚ました。あれ? 昨日の夜は確か。どうなったんだ? 記憶が定かじゃない。
帰ってきてルナと少し話して、あぁ思い出してきたぞ。シェスカが脱衣所から出てきて、ルナにそのあとぶつかられて気絶させられたのか! おおかた、シェスカが見られたらダメな状態で脱衣所から出てきたか?
部屋を見渡してみる。一つのベッドでヴィヴィが1人で静かに寝息をたてている。その横のベッドでは、シェスカとルナが二人で抱き合い同じベッドで寝ている。いつの間にそんなに仲良くなったんだろうか。微笑ましいな。まだ起こさないでおくか。三人が起きるまでステータスとスキルの整理でもしようか。
「オープン」
ーSTATUSー
名:ルフレ Lv.15
種族:ヒューマン
職業 :聖騎士
ランク : A
スキル : アイテムボックス、サーチLv.03、神眼、剣術Lv.06、聖属性魔法Lv.01
称号:期待の新人
職業欄が、聖騎士になっている。この聖属性魔法のスキルは聖騎士になったからか? それにしても、聖騎士って普通教会の連中がなったりするもんじゃないのか? 俺別に神を信仰するとかそういう気持ちのかけらもないんだが。けどヴィヴィの所有者だからとか、ヴィヴィが話してたんだっけ?
聖属性魔法のスキルの詳細をタップしてみる。
聖属性魔法:Lv.01
・自身の魔力に聖属性を付与して攻撃、防御、支援魔法などを放つことができる。
意外とシンプルな説明のせいで何もわからなかった。なんだよそれ。呪文とか要らないのだろうか。情報少なすぎだろ。
装備品の方はどうなってるんだろう。
俺はアイテムボックスを開き、新たに獲得した装備を開きステータスを見る。
ーSTATUSー
名:AIGISアイギス
ランク:S
スキル:聖騎士専用装備(所有者名:ルフレ)、盾全体を聖属性の魔力で覆いほぼ全ての攻撃を通さない
ーSTATUSー
名:Gigantoギガントmakhiaマキア
ランク:S
スキル:聖騎士専用装備(所有者名:ルフレ)、AIGIS同様体全体を聖属性の魔力で覆いほぼ全ての攻撃を通さない、もしも使用者が負傷した場合、即座に回復する
二つとも白を基調として、ところどころ金色で装飾が施されている。アイギスは、縦の広さはそこそこあるのだが重さをまるで感じない。本当に金属でできているのだろうか。ギガントマキアも同様だ。これなら今まで通りのスピードを殺さず戦うことができそうだ。
それにしても、ほぼ攻撃受けないじゃないか。ありがたいな。こんなに強いとゲームバランス崩れそうだけど、そこどうなってんだろう。他のプレイヤーもこんなチートなのかな。次ログアウトした時、調べてみるか。
「んーー……」
「ヴィヴィか、おはよう」
「ん、おはよう。結構早く起きてた?」
「昨日ルナに1番早く寝かされたからな、無理やり」
「あれは、シェスカのせい。シェスカがタオルを巻くだけで脱衣所出てった」
「やっぱり」
やはり俺が昨日気絶させられた理由は、俺の想像通りだった。次からは気をつけてもらわなきゃいけないな。
「「おはよぅ……」」
続々とみんな起床し始めた。
「シェスカもルナも、おはようさん」
「おはよー」
「いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
「「え?」」
シェスカとルナは顔を見合わせる。彼女たちは、2人は手をいわゆる恋人繋ぎの形で繋ぎながら寝ており、そのまま起き上がっていた。
「えへへ、昨日の夜いろいろ話したんだ!」
「そうね、楽しかったわ」
「そうか、よかった。俺の予想以上に距離が縮まってて驚いたよ。今日はこれからどうする?」
俺は、今日この後の予定をどうするかシェスカとルナに聞いた。
「んー、依頼受けに行く?」
「マスターのカフェの地下でトレーニングがしたいわ。ちょっと力不足を痛感したから。もっと鍛えたい」
「ヴィヴィは寝るー」
若干一名、ものすごくやる気のない人がいるが、シェスカとルナの意見は聞けた。カフェに行くか。俺もいろいろと試したいこともあるし。
「カフェに行こうか」
「「了解!」」
予定が決まったところで俺たちはそれぞれ自分の身支度をしていった。全員の身支度が終わったので、鍵をフロントに預け、あいさつをしてからだんだんと人が増え始めた朝の通りに踏み出す。
「朝ごはんどうする?」
「市場に行きたーい!」
「そうね、市場がいいわ」
「じゃあそうしよう」
俺たちは、市場へと歩いていく。市場の方向からは、もう買い物が終わり肉の串をつまみながらこちらへ歩いてくる人や、朝っぱらからエールを飲んでる人までいる。みんな楽しそうだ。
市場へ着くと、俺はいつものように肉の串と野菜それからパンを買いにいく。
「よう! にいちゃん! またきたな!」
「あんたのとこの肉串がうまいからな。覚えててくれて嬉しいよ。3つくれ」
「はいよ! 肉串3つだな! 顔覚えるのは得意なんだ! それににいちゃんこれから有名になりそうな予感がしてるんだよ」
「どういう予感だ。俺はそんな大層な人間じゃないぞ」
「まぁまぁ、そう謙遜しなさんな。いいやつじゃないならそんな別嬪さん2人とパーティなんか組めないだろうさ」
「え? 別嬪さん? 私たちのこと?」
「そうね、当然だわ。ルフレがすごいのは誰でもわかるもの!」
シェスカ自分の容姿がずば抜けていいのに気づいてないのか。ルナはなんでそんな自慢げなんだ。なんかむず痒くなるからやめてくれ。
「はい! じゃあ肉串3つだ!」
「ありがとう。これ代金だ。お釣りはいらない」
「まいど! 本当にいいのか?」
「ああ、いろいろ褒めてもらったし、気持ちだ」
「ありがたくもらっとくよ!」
その後、俺は野菜とパンも買った。シェスカとルナと広場の隅へと移動する。
「さぁ。サンドイッチを作るか」
「やった! またあれを使ってくれるのね!」
「ああ。うまかったからまた食べたくなってな」
俺はパンを切り、野菜と肉を挟み込む。これだけでうましいんだよな。
「んーーーー! うましい!」
ルナはこのサンドイッチがものすごく好きらしかった。シェスカもうましそうに口いっぱいに頬張りもぐもぐしている。3人でうましく朝ごはんを食べ、俺たちはカフェへと向かった。
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