第15話 ダンジョン

 次の日、俺は朝からゲームへとダイブした。


 俺は目を覚ます。


「「すぅ……すぅ」」


 横ではまだ、ヴィヴィとルナが落ち着いた寝息を立てて寝ている。


「おい! お前ら、起きろー」


「んーーーー! おはよう」


ルナが大きく伸びをして起きる。


「おはよう、ルナ」


「ヴィヴィは、まだ起きてないわね」


「まあ、こいつは寝起きが悪すぎるからな。先に支度を済ませてしまおう。家を出る頃には、起きてくるだろう」


「そうね、顔洗ってくるわ」


 俺も身支度を次々と済ませていく。今日受ける依頼はなんなんだろうな。Bランク依頼だろうが、全く見当がつかない。

 シェスカがいてくれるならどんな依頼でも大丈夫なのは間違いないか。彼女はこの世界で見た中で間違いなく一番強い。早く、追いつきたいものだ。


 しばらくして、ルナは準備が整ったらしい。いつも通り、スピードを重視するため軽い露出の多い装備を纏い、手には俺が買ったガントレットを身につけている。俺も準備は完了していて、あとはヴィヴィを起こすだけだ。未だ彼女はベットの上で規則的な寝息を立てている。


「おい! ヴィヴィ起きろ! もう出るぞ!」


「むぅ……。あと、1時間」


「そんなに寝てていいわけないだろ。早く剣になってくれ」


「……ん」


 彼女は渋々と言った感じで光って剣になってくれた。ヴィヴィを腰に装備して、俺とルナは宿を出てカフェへと歩いていく。



 カフェへ着くともうすでにシェスカが待っていた。


「おはよー!」


「おはよう。今日はよろしく」


「うん! 今日からよろしくね! 今日は夕方までBクラスダンジョンに潜って、そのあとはここの地下で特訓ね!」


「了解」


 横を見たら、ルナが顔面蒼白になっている。なるほどね、この仕事量は異常なのか。まあ大丈夫だろう、早くレベルアップできることに越したことはない。俺たちはBクラスダンジョンへと向かった。なんか、歩いてる時周りからめちゃくちゃ見られた。主に男から、射殺すような視線をずっと向けられていた。なぜだ。そうして俺たちは城壁に辿り着いた。


「よう! 兄ちゃん! また依頼か?」


 いつもの門番のおっさんが、いつも通り元気に話かけてきた。


「そうだな」


「別嬪さん2人連れて両手に花とはいいご身分だな! がははは!」


「そうだな、俺には勿体無いパーティメンバーだよ」


 本当にそう思う。現実世界ではありえないな。全くもって現実世界だと女性との関わりすらないからな。ありがたい限りだ。


「今日も気をつけてけよ!」


「ああ! 行ってくる」


 俺たちは門を抜けた。


「あれ? シェスカもルナもどうしたんだ? さっきっからやけに静かだが」


「い……いや。なんでもないよ? うん、なんでもないよ。ほんとに」


「そ……そうよ。なんでもないわ。気にしないで?」


 2人とも挙動が不審だ。目も合わせてくれない。俺なんかしたかな。


「そうか、ならいい」


 俺たちはBクラスダンジョンの前まで歩いてやってきた。ダンジョンは門で閉ざされていて、とても物々しい雰囲気を纏っている。Bクラスダンジョンですらこれなんだ。Aクラスや、Sクラスになったらどうなるんだろうか。


「よし、入るか」


「そうね、正直緊張するけど頑張るわ」


「何かあっても私が守るから安心してね! ちなみにクルルの森に出てくる魔物とはタイプが違うから気をつけてね!」


 俺は門を開けた。すると、壁際に取り付けられた魔道ランプが次々と点灯していく。洞窟のような感じだな。普通の人が想像する典型的なダンジョンと相違ないだろう。縦と横はそれぞれ5メートルほどあり、とても広く感じられる。俺たちは警戒をしながら、奥へと進んでいった。しばらく進むと、空間が縦と横にそれぞれ3メートルずつ広がった大広間のような場所に出た。すると突然、付近の岩の影から緑色の人型の魔物が出てきた。


「あれはゴブリン、連携をとって攻撃してくるから気をつけて!」


「了解」


「すぐに片付けるわ!」


 俺はヴィヴィを、ルナは拳を構え戦闘体勢に入る。ゴブリンたちはすぐにこちらへと飛びかかってきた。


 それに対して、俺はマジックスラッシュを放ち先頭の数匹を即座に殲滅。ルナもその後に続いて次々とゴブリンを吹き飛ばしていく。ルナには負けれないな。俺もヴィヴィを振るいゴブリンたちを攻撃していった。30匹ほどいたゴブリンは瞬く間に殲滅されていった。


「すごいね! ルフレもルナも期待以上の実力だよ!」


「これくらいならまだな」


「そうね、強さ的にはコボルトとかと大差がなかったわ」


 そうだ、おそらく強さ的には昨日討伐していたコボルトたちとそこまで大きな差はないだろう。連携行動がこちらの方が少し知性的というかそれくらいだ。しかし、Bクラスダンジョンと呼ばれるからにはこれからより強い敵と戦うことになるだろうから気を引き締めないといけないな。


「そうだね、ここの第1層はほとんど地上の魔物と差がないかな。ボスも多分エンシェント・エイプとかと同じくらいだと思う」


「そうか、なら第1層はなるべく早く突破して2階層に行こう」


「油断は禁物でしょ! 調子に乗らないの。ダンジョンの中なんて何が起こるかわからないんだから。用心するに越したことはないわ」


 それからも、何度か俺たちは魔物と遭遇したが難なくそれらを殲滅し第1層ボス部屋の前までやってきている。ボス部屋の前は、ちょっとした休憩ができるスペースが設けられており、広くなっている。そこで一旦休憩をすることにした。


「シェスカ、1層のボスはなんなんだ?」


「1層のボスはキングゴブリン。大体普通のゴブリンの三倍くらいの強さだね!」


「キングゴブリンか。レベリングのことを考えたら一人ずつやっていくべきだと思うけどが」


「そうだね! 何かあったら助けるから。一人ずつやってみる?」


「俺はそれで構わないが」


「うん、私も頑張ってみる。レベルも上がったし、このガントレットでどこまで戦えるのか試してみたい」


「じゃあルフレから行ってみようか!」


「了解!」


 俺は、ボス部屋の扉へと手をかけた。

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