第4話 出会い
俺は、目を覚ました。
今は、朝の7時か。確か昨日ゲーム始めたのが、20時ごろだったから。9時間くらい寝たかな。
それにしても、すごくリアルだったなぁ。まだNPCはAIだなって感じがしたけどほとんど現実世界と遜色がない。流石完全なる異世界を謳ってるだけある。もっといろいろなところを見て回りたい。早くレベル上げしなきゃいけないな。よし、朝ご飯食べて家事したら、お昼前くらいだろ。そしたら軽くお昼ご飯食べてからまたログインするか!
ーーーーーー
軽くお昼ご飯を食べ終わった後、またヘッドセットをかぶり、ベットに横になった。
「ゲーム、スタート!」
ーーーー戻ってきた。今は、朝の6時か。今日はとりあえず防具屋に行って、装備を一式揃えてからスライム討伐にでも行くか。
俺は、1階に降りた。
「おはようございます! よく眠れました?」
「あぁ。よく眠れた。ありがとう。これから武器屋に行ってくるよ」
「武器屋ですか! それならここからすぐのところに、ドワーフがやっている鍛治屋があるのでそこに行って見てはどうですか?」
「なんていう名前の店だ?」
「鍛冶屋レームネスです!」
「ありがとう。行ってみるよ!」
「いえ! 気をつけていってらっしゃいませ!」
俺は宿屋を出て、しばらく街の中を歩いていく。
朝の空気っていうのはどこの世界でもいいな。スッキリする。こんな時間でも、意外と人がいるもんだな。
【鍛冶屋 レームネス】
5分もしないうちに、鍛治につかう槌と店名が書かれた看板が見えた。
「どうも、武器と防具を見にきたんだが」
「いらっしゃい。ーー」
まだ少し黒が残る白い髪と立派な髭を蓄えたのドワーフの男性が返事をするーーーーーー。
それだけかよ! なるほど、目利きを試されてるのか? いいだろう。受けて立ってやろうじゃないか。
「サーチ 格のある武器」
俺は小声でサーチを発動する。
やはり、飾ってあるものは装飾こそしっかりしているが、量産品だ。何かいいものはないかな。
お? あの樽の中で一振り光って見えるのがある。
「そこに入ってるのは、なんだ?」
「その樽の中身か? そこは、パッと見じゃ売り物にならないものを入れている」
パッと見、ね。
俺は光っている一振りの剣を取り。ステータスを見る。
ーSTATUSー
NAME :錆びた騎士剣
RANK : E
SKIL : ??????
ん? これが反応したのか? このレベルのものじゃ格のあるなんて条件には当てはまらないだろう。んーーーーーー。また、昨日みたいにスキルが獲得できないだろうか。こういうのを看破するにはーー。
「神眼」
Information
スキル:神眼を獲得しました。
やっぱり……。バグだな。まぁいいや! 運営が気づいたら勝手になんとかなるだろう! 使えるものは使ってこうじゃないか!
俺は再びステータスを開く。
ーSTATUSー
NAME :燻んだ騎士剣(Sword of Yggdrasil)
RANK : E(S)
SKIL : (インテリジェンス・ウエポン)
マジか。マジかよ。これは想定外だ。
なんか剣から嬉しそうな感情が伝わってくる。
「おっさん。この剣いくらだ?」
「あ?それか?燻んでいるからそこに入れたんだが。そうだな。整備費込みで銀貨8枚でどうだ?」
飾られてるのが銀貨5枚〜金貨1枚なのを見ると。格安な気がするな。幸い昨日、結構稼いだから懐に余裕がある上にSランク武器なら尚更買った方がいい。
「買った! 金貨2枚出す。防具一式と整備道具を揃えてくれるか?」
「よしわかったいいだろう。この後何かあるのか? 予定があるなら代わりの剣を貸すが?」
「いや、整備の様子を見せてくれ」
「あいわかった。鍛冶場の外からなら見ていてもかまわん。待っとけ」
これは認められたのか?
俺は、店長が鍛冶場にソード・オブ・ユグドラシルを持っていき、剣を研ぎ始めたのを眺めていた。
「これは! Sランク武器だと!? お主、これを1発で見つけたというのか!?」
「ああ、そういうのを見つけるのは得意なんだ」
神眼を使ったなんて口が裂けても言えないけどな!
「わしでもこれは見抜けなんだ。名はソード・オブ・ユグドラシル。世界樹の名を冠する剣。お主これはものすごいものを見つけたのかも知れんの。国宝級じゃわい」
「俺も見つけた時は心底驚いたさ。今更、値段を釣り上げたりはしないよな?」
「あぁ、これは見抜けなんだわしの責任じゃ。そんなことはせん。しかし、いい剣じゃまさかこんな剣を研ぐことになろうとは、人生わからんもんじゃのぅ。今、防具を用意するから待っておけ」
「そうさせてもらうよ」
「店長、お邪魔するよ! 剣を受け取りに来た!」
「おお! すまん今別の客の対応中じゃ! 少し待っとけ!」
「それはすまない。待たせてもらおう」
いきなり入ってきたな。誰だ? ものすごく姿勢がいい綺麗な金髪のお姉さんだ。冒険者ではないだろうな。騎士か?
「待たせたな、防具と鞘、整備費道具一式で金貨2枚だ」
「はいよ。ありがとう」
「ちょっ! ちょっと待て! その剣はなんだ! Sランク武器だろう! 言い値で買う! 譲ってくれないか?」
!?
「いや、急にそんな勢いで来られても困るんだが」
「す、すまない。取り乱した。剣のことになるとどうしても、な。君もわかるだろう?」
いや、わかりませんけど?
「私は、この国の近衛騎士団長を務めている、シェスカ・ハプスブルグという」
「初めまして。俺は、ルフレだ。なにぶん冒険者なんで、敬語なんてわからないので口調はこれで許してくれ」
「かまわんよ。それで、改めて、その剣譲っていただけないだろうか」
剣から感情が嫌だとはっきりと流れ込んでくる。
「すまない、それはできない。こいつは俺が初めて買った剣なんで手放したくないんだ」
「いやこちらこそ、いきなり無茶を言ってすまない。そうだよな、やはり、自分の剣は愛着が湧くよな。忘れてくれ」
「わかってもらえてよかったよ。武器を受け取りに来たんじゃないのか?」
「そうだ! 忘れていた、店長お願いできるだろうか」
「はいよ、嬢ちゃん相変わらずだな?」
俺らが話している間に、持ってきていたようだ。ハプスブルグさんの武器もいい剣じゃないか。流石は近衛騎士団長か? 近衛騎士団長でも下町で整備とかするもんなんだな。
「近衛騎士は王城に整備士がいるんじゃないのか?」
「店長とは、私がこの街に騎士になるために出てきた時からの付き合いでな。私の癖に合わせて完璧に整備してくれるのは店長しかいないんだよ」
「昔はあんなにちっさい嬢ちゃんだったのに、こんな偉くなっちまってなぁ」
がはははは! と大きな威勢のいい声で店長が笑った。
「なるほどな。やっぱ昔からの知り合いはいいよな」
「いつも助かってるよ。ルフレ、この後何か予定はあるだろうか?」
「いや、特にはないが?」
「食事でもどうだろうか? 剣のことについて少し聞きたい」
「ハプスブルグさんはいいのか? こんな成り立ての、冒険者と一緒に食事なんかして」
「シェスカでいいよ。あまり気にするな。食事ぐらいで何も言われないさ」
こんな美人の近衛騎士団長と食事して何も起こらないはずないだろ! けど断れないしな。仕方ない。
「わかったよ、シェスカ」
「よかった。早速行こう!」
ちらっと店長の方を見る。苦笑いしていた。いつもこんな感じなんだな。俺はシェスカに手を引かれながらレームネスを後にした。
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