第2話 王都アルブンガルド
光が収まり、俺は目を開いた。
ここは────どこだ?
「旅人さま、ようこそお越しくださいました。私は、この教会で転移門の管理をやっております。ルミエールというものです」
目の前には、シスターの格好をした20代くらいに見える女性が立っていた。なるほど教会の一室がスポーン地点になっているのか。この世界に来た、プレイヤーは旅人という設定になっていると。
「初めまして、ルフレといいます」
「ルフレさんですね。特にここでは入国手続き等は必要がありません。この後は、どのようなことをするかなど決まっていらっしゃいますか?」
「そうですね、冒険者ギルドのようなものはありますか?」
「冒険者の方でしたか! 随分と丁寧な口調でいらしたので、気がつきませんでした。冒険者ギルドでしたら、教会を出てすぐ近くにありますよ。ここに来た方々には、地図をお渡ししておりますので参考になさってください」
「いえ、まだ冒険者ではないのですが。早速行ってみようと思います。ありがとうございます」
「そうなのですね!差し出がましいかもしれませんが、冒険者ギルドに行った時は口調は直した方がいいかと。丁寧な口調だと舐められますので」
「わかった、助言ありがとう。行ってくるよ」
「いえいえ、お気をつけて行ってらっしゃいませ」
俺は転移門から出て教会の祭壇がある大ホールへと足をすすめ、そこにある大きな扉を開けて外へと出ようとした。
「────────」
何かに見られている気がして、俺は振り向いた。そこには、女神とその前に大きな翼を広げた天使が描かれた大きな美しいステンドガラスがあるだけだった。
しばらく目を奪われていたが、気のせいだったのだろう。後ろには誰いなかったため、俺は再び扉へ手をかけ外へと踏み出した。
一歩外へ出るとそこは教会の中の静けさとは、全くちがい、人通りの多い大通りだった。
たくさんの人や馬車などが行き交っている。
これは────まさに異世界!!文明は中世ヨーロッパくらいの感じか。まあテンプレ通りな感じがするな。
俺は、さっき教会のシスターからもらった地図を開いた。が、顔を動かさずに目だけ左上に向けると、地図が表示されている。いらねぇじゃねぇか!! なんだよ全く。俺はUIをタップして地図を開いた。ここが教会だから、冒険者ギルドは──。
左だな!
俺は歩き始めようと左を向いた。左の奥には、大きな王城が存在していた。これはでかいな!! 異世界転生なんかしたらああいうところで暮らせるのだろうか。けど、転生したところで俺はモブだろう。とか色々考えているうちに、冒険者ギルドに着いてしまった。
【王都アルブンガルド 冒険者ギルド本部】
なるほどここはアルブンガルドという街なのか。よし入るか。俺は扉までの階段を登り、開け放たれた重厚な扉をくぐった。
でけぇぇぇぇぇ! なんだよこの広さ。さすが王都って感じだ。冒険者ギルドってもっとこじんまりした感じかと思ってたんだが。
「いらっしゃいませ。初めての方でしょうか」
「はい。あ……そうだ。冒険者登録をしたいのだが、どこに行けばいいだろう」
「登録でしたら、あちらの8番窓口にお並びください」
「わかった。ありがとう」
やばい、めっちゃ美人じゃないか。さすが異世界だな。受付は、あそこだな。俺は、列の最後尾に並んだ。
「次の方どうぞー」
お、もう俺か。
「初めまして、私は王都アルブンガルド 冒険者ギルドのナーシャといいますー。今回登録を担当させていただきます。よろしくお願いしますねー」
テンプレキタァァァァ!!! やはり異世界、受付嬢が超絶美人。こちらに向けてにこやかに微笑んだ茶髪のボブの職員を見てそう思った。メガネをかけているところもポイントが高い。いかにも敏腕な感じがする。これはテンション上がるなぁ!
「あの〜、どうなさいました?」
「あ……すまん、こっちの事情だ気にしないでくれ。登録を頼む」
「わかりましたー。まず、当ギルドの規則を説明させていただきますねー。当ギルドでは、依頼主から依頼を受注し適切な冒険者の方へ斡旋する際に発生する料金の一部を仲介料としていただくことによって成り立っていますー」
ナーシャさん、ほんわかしている感じがしたがやはり予想通り仕事はものすごくテキパキこなせる人だ。ふむ、システムとしては普通の冒険者ギルドといった感じだな。
「冒険者のランクは、下からE、D、C、B、Aと上がっていき最上級ランクがSランクとなっていますー。ランクによって受注できる依頼が異なりますので気をつけてくださいねー。それから、依頼中のいかなる損害も当ギルドでは責任を負いかねますー。気をつけてください。それでは、この紙に必要事項を記入してくださいねー」
ふむ、普通だ。ものすごく普通だ。王道の冒険者ギルドすぎる。とか色々考えながら。必要事項を記入していく。
あれ? 職業欄がない。
「これ職業とかはどうなるんだ?」
「職業は、Eランクからスタートして依頼をこなしていきレベルが10になった時点であなたに最も適した職業が自動で選別されますー。何になるかはお楽しみにー」
「なるほど、書き終わったぞ」
「ありがとうございます。ルフレさん、ですね。いい名前ですねー。それではこちらの情報を元に、ギルドリングを作らせていただきます。受け取りは隣の9番窓口でお願いしますー」
「ああ、わかった、ありがとう」
俺は、8番窓口を離れた。
数分経って、俺の名前が男性職員に呼ばれた。
「ルフレさん! ルフレさんいらっしゃいますか!」
「俺だ」
「こちら作成されたギルドリングになります。身分証がわりにもなりますので、大切になさってください。ランクによって色が変わっていき、Eから順に、白、青、銅、銀、金、ホワイトゴールドになります。オープンと唱えていただくと、自身のステータスが目の前に表示されます。また、スワイプしていただくと、依頼等の受注ができるようになっているので、依頼の受注はそこで行ってください。説明は以上になります。質問等ございますか?」
「いや、何もないよ。ありがとう」
「この後からすぐに依頼を受注できるようになっています。気をつけて行ってらっしゃいませ」
俺は窓口を離れた。
いや急に近未来的なシステムが……。早速依頼を受けるか。Eランクで受注できる依頼はなんだ?
「オープン」
─STATUS─
NAME :ルフレ Lv.01
RACE :ヒューマン
JOB :??????
RANK : E
SKIL : アイテムボックス
スワイプしてみる。
依頼
1〕薬草採取(推奨レベル1〜10)
依頼主:冒険者ギルド
報酬 :薬草1本につき大銅貨5枚
場所 :王都郊外 クルルの森
危険度:☆☆☆☆☆
2〕スライム討伐(推奨レベル1〜10)
依頼主:冒険者ギルド
報酬 :スライム一匹につき銀貨1枚
場所 :王都郊外 リュール草原
危険度:★☆☆☆☆
────こんだけかよ!! まあ仕方がないか。とりあえず薬草採取で稼いで武器買わないとだな。
薬草採取。
受注しますか?
YES / NO
YESっと。
よし、いくか!
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