第148話 見せかけの力



全員のステータス、一回見直すかもしれない。

修正するかもしれないからよろしく

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「15…………か」


結構長いな。

それに15か…………

15歳になったら学園に入る予定だからな……

それまでにここの王にはなっておきたい。


「別に、それを一つの区切りとしていただけで、少しぐらいなら早く来てもいいぞ?」


「いいのか?それなら……14ぐらいで来るかもしれないな」


「分かった!…………けど、一つお前にお願いがある」


「ん?なんだ?」


お前のお願いなんて……なんか寒気がしてくる。


「いきなり『俺が今日からここの王だ!』って言うのはおかしいだろう?だから、今日実質お前が王になってもらいたい」


「実質王になれって言われたって…………どうすればいいかわからないぞ?」


実質でも王になるのにはとてつもない信頼と人望が必要になってくる。

それを今日だけで一気に得るのは…………不可能に近い。


俺が悩んでいると、おっちゃんがとてつもない一言をぶっかけてきた。


「大丈夫、大丈夫。今日、敵が攻めてくるから」


……………………は?

きょうてきがせめてくる?

なにそれ?


「もしかして…………」


俺の予想が違うことを祈りながら、恐る恐る聞いてみた。


「ああ!お前の予想通り、一人ですべてを排除してもらうぞ!それも焦っている様子を一切見せずにな!」


うん。

こいつやっぱりクソでした。


絶対、配下にしたの根に持ってるでしょ!


泣くよ?

流石に一人で敵軍を排除するのは無理よ?

馬鹿じゃないの?

ゴリラがオラウータンの大群に突っ込むようなもんよ?知らんけど。


「大丈夫、大丈夫。お前なら出来るさ!」


おっちゃんは白い歯をむき出しにして、とてつもない笑顔で俺に親指を立てた。


殴りたい。その笑顔。


…………まぁ、行けなくもないか?

別に倒さずに追返せばいいだけだし。

目の前に雷を出現させたらビビって逃げるでしょ。


俺はそんな軽い気持ちで向かった。





ーーーーー





「いやぁ、流石にこれは多すぎるでしょ…………」


俺は、国壁の上で冷や汗をかいていた。


俺の目の前には…………5万の軍勢があったのだ。


しかも全員のステータスの平均は1000を超えている。

高い奴だったら1万を超えてるな…………いや、4万超えの奴がいる。

多分そいつがこの軍隊の大将だろう。


この軍隊のせいで、国の中の人々は大騒ぎだ。

早急に倒さないと国の奴らが来てしまう。


俺は手柄を独り占めしないと意味がないので他の奴らが来た瞬間終わりだ。


だから早急に決着をつけなくては行けないのだが…………


「流石にこの数は…………」


「もしかしてビビってんの〜?」


俺が独り言を言っていたら、後ろから声がした。


「…………コドンか」


「なんだよその言い方は…………せっかく緊張を解きに来たのに……」


「まず俺は緊張してねぇし、もし緊張していたとしても大丈夫だよ」


いや、俺が緊張していないのは嘘だ。

この機会を逃したら、とてもじゃないが国全体の信頼を得づらい。

もしまたこのような機会が来たとしても数年後だろう。


俺は早く帰らなくちゃいけないのだ。

セラやアテネのところに。


でも俺はこの軍隊を一人で倒せるのか?


「今、一人でこの軍隊を倒せるのかっていう顔しているね?」


「―――――ッ!!?…………流石、無駄に長い付き合いなだけあるな。そうだよ。俺は今とてつもなく不安だ」


俺がそう言うと、コドンが笑いだした。


なんでだ?


「ハハッ、そんなブラフ張らなくてもいいのに…………ここは、ところではないよ?正直に生きていいって」


……………そう……か。

そうだよな。


つい癖になってしまっていた。


「簡単さ。あんな奴らを秒殺なんて」


俺がそう言うとコドンは満足したのか、この場を離れていった。


…………よし、どうしようか。


できるだけ俺が命の恩人という事を強調しておきたい。

何がいいだろう?


……国民には仕方がないが、ギリギリまで待ってもらおう。





ーーーーー





国内では、阿鼻叫喚の嵐だった。


「おい!軍隊が攻めてきてるぞ!」


「兵士は!?」


「間に合いそうにない!時期にここも突破されるぞ!」


「クソッ……俺は病気で動けないんだ!助けてくれ!」


みんなパニックになり、とても慌てている様子だった。


そんなところに、最悪の知らせが届いた。



「門が!突破されたぞ!!!!」



「「「「「「―――――――ッ!!!!?」」」」」


その言葉に皆が驚愕した。


そして全員が、必死に国の中央に逃げている、途中だった。


「うわぁ〜ん!!ままぁ〜!助けてよ〜!」


一人の子供が転けて動けなくなっているのだ。


「サンジュ!」


母親が子供のところにたどり着いた時はもう、手遅れだった。


目の前には、兵士が佇んでいたのだ。


「ハハッ、こんなところに逃げ遅れた奴が居るとはな……せいぜい俺の剣のサビとなってくれ」


親子二人が死を覚悟した時、とても大きな声が聞こえた。


それも遥か上……国壁の上から。


「この国の民共よ!よく話を聞け!!この国は今、我が貰い受けた!!」


「「「「「「「――――――――ッ!!!!?」」」」」」」


その言葉に、国中の人達が驚いた。


「そして我が国を汚すものよ!お前らには、それ相応の罰を与える!!我の民を殺そうとした罪をとくと思いしれ!!!!」


「ん〜?なんだぁ〜?」


「これが我の力だ!」


一人の美しい少年らしき者がそう叫ぶと、辺り一面、すさましい光と、轟音が鳴り響いた。


そしてそれが鳴り終わると、さっきまでの軍勢が嘘のような、巨大な穴が空いた空間が出来上がっていた。


「な、なんだ!これ……は…………ぐふっ…………………」


そして、親子の目の前に居た兵士も血を吹き出し、倒れてしまった。


そこで親子が目にしたのは…………


兵士の血がついた刀を持った、金色の羽を持つ美しい少年だった。

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