第145話 レオン、レオン、雷龍


大乱闘スマッシュブラザーズっていうゲームがあって、その略し方は『スマブラ』って言うんだけど、自分は『ダイラン』って略してて。

それを馬鹿されました。


それでは聞いてください。


『それ、君から教えられた。』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「……王座ァァ?俺が王座を返す人間はたった一人…………………いや、まて。そんなはずは…………」


「……え、もしかして君、このおじさんと知り合い?」


「…………ああ、遠い昔のな」


俺は、無駄にかっこいい椅子に座っている爺さんに近づいた。


「これぐらい近づいたら分かるんじゃないかな?」


「ん?何が分かるっていうんだ?」


全く……やっぱりこの爺さんは頭が硬いな。

それでも本当に元仙人か?


「もしかして腕が鈍った?仙人の力を使ったら、魂の本質なんてすぐに見分けれるはずだと思うんだけどなぁ」


「魂の本質ぅ?お前の魂ぐらいがなんだってんd―――――――――ッ!!!!?」


やっと気づいたか。



「久しぶりだね。仙人のおっちゃん」



「…………本気で言ってんのか?」


「何を本気って言うのは分からないが、俺の前前世の記憶の事を言ってるのなら……本気だぞ。俺の前前世は正真正銘、コイオス・バレットだ」


俺がそういうと、仙人のおっちゃんが、目を潤わせていた。

……ん?なんでそんな泣きそうになってるんだ?


俺がそう不思議に思っていると、仙人のおっちゃんがこちらに突進してきた。


「うをおおおぉぉぉぉ!!!会いたかったぞ、コイオス〜!!!俺が……俺達が何年待ちわびていたことか!よし!早速皆にも連絡だ!今日は宴になるぞ〜!」


「いや、汚い汚い!そんな涙と鼻水だらけの面で俺にすり寄ってくるな!この年齢詐称ジジイが!」


…………いや、本当に年齢詐称しているなぁ。


俺の目の前に居るのは、40歳前半ぐらいのおっさんにしか見えないのだが、実際の所、もう1000歳近く歳を取っている。


え?おかしくない?

仙人だからってなんでも許されると思うなよ?

ぶち回すぞこのカス。

俺だってそれぐらいの老化しない力が欲しいわ!


…………ある程度の強者になると、老化阻止の力を手に入れる事が出来る。

けど、老化阻止だからと言って歳を取らない訳ではない。

2~3年で1歳ぐらい歳を取るみたいな物だ。


けど、こいつは違う。

老化阻止の計算で行くと、身体年齢は300歳を優に超えているはずなのだ。


ホントずるい。


……………………あ、言ってなかったが、エレンは不老という滅多に無い力を持っている。

それが発覚した時、女性メンバーにフルボッコにされていた。

うん。

不老はずるいよね。


「……年齢詐称と言っても、仙人にしたらましな方だぞ?もっと歳を取らない仙人だって居るからな」


「いや、もうこの世界の仙人って数人しか居ないでしょ?」


コドンが的確に突っ込む。


え、マジで?

そんなに少なくなったの?

昔は100人近く居たのに…………


「…………ああ。魔神の手下に殺されたり、普通に命を落としたりしたからな」


「……よく死ななかったな、お前」


お前の存在は結構知られているから、標的に成りやすいと思うんだが……


「ああ、あの時代は本当に死にかけたよ。けど、まだ心強い仲間が居てな…………お前の3番弟子だったかな?」


仙人のおっちゃんがそういった瞬間、場の空気が変わった。

…………いや、俺が変えた。


無意識に覇気を出していたようだ。


「…………アイツは?」


「……死んだよ。風の噂では寿命で死んだらしいが、どうもなき臭い。寿命にしては早すぎる死だったよ」


「…………そうか」


……また今度、確認する必要がありそうだな。


「…………なんか変な空気になってない?話を変えよ!私達はこの国の王座を取り返しに来たんでしょ?」


「……ああ、そうだな」


「そっか。そんな事言ってたな…………別に良いぞ?お前に任されていた国だし。お前の好きにしろ…………ただし」


「ただし?」


「条件が3つある」


仙人のおっちゃんが真剣な顔をして言ってきた。


「……条件か」


その顔を見るに、結構難しいものなのだろう。

心して聞かないとな。


「流石に弱っちい状態なら、お前に国を任せることは不可能だ。だから今からいう三体の奴を倒してきたら国を譲ろう」


「……分かった。条件を教えてくれ」


そりゃそうか。

いくらコイオスの転生体だからと言って、強いとも限らない。

もし弱いなら国なんか任せられないだろう。

なんだかんだ、数百年国を任されているからな。こいつは。


「1つ目。急激に力をつけている、少年を倒してきてほしい」


「……なんでそいつを倒すんだ?」


「そいつは、世界的に英雄と呼ばれる奴の息子でな。もし俺たちの敵になったら危ない存在なんだ。風の噂で聞いたんだが、この国に興味を持っている奴なんだ。早急に始末しておきたい」


「…………それは危ないかもしれないな。分かった。始末しよう」


前前世の記憶が無い俺ならまだしも、その記憶がある今の俺なら、人殺しなんてお手の物だ。


……いや、お手の物なのはおかしいんだけどね。


「そいつの名は、レオン・ドラグニルと言うんだがな……」



「…………あ、俺だねぇ」



「え?」


「え?」


「え?」


え?


「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?」





ーーーーー





「ま、まさか、お前の始末を依頼していたとはな…………」


「いや、俺もびっくりだわ」


……そうか。俺って危険視されてたか。

まぁ、そりゃあそうだよな。


世界的に英雄の息子が、この国に興味を持っていたら、面倒な事になりかねない。

だって公にそいつと敵対したら、英雄が敵に回るからな。


「じゃ、じゃあ、2つ目の依頼だ。俺たちの良い交易相手を潰した奴を始末してほしい」


「……別に交易相手が潰されただけで、お前らに被害は殺すほど無くないか?」


「そいつは、俺たちの交易量の30%を締めていたんだ。それを潰されて俺たちは怒ったが、殺す程では無かった。けど、そいつを殺したいって依頼が来ていてな。どうしようか迷っていた時、お前達が来たから任そうと思っただけだ」


…………まぁ、妥当な理由だな。


「じゃあ、そいつの情報をくれ」


「ああ。そいつの情報は少ないんだが……そいつが潰した、俺たちの交易相手の名は、『アルテミス』っていう暗殺者集団だ」


あ、良かった。今度は俺じゃなかった。

だってアルテミスっていう奴等聞いたことな………………



「あ、俺だねぇ」



「え?」


「え?」


「え?」


E?


「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!?」





ーーーーー





「いや、お前ホントなにしてくれてんの?」


「あれは仕方がなかったんだって!」


俺はあの時の事を話した。




「…………まぁ、それなら仕方がないな」


「……じゃあ、3つ目の依頼を話そう。そいつは近くで出現した突然変異の奴でな」


「ほうほう」


「そいつは雷龍「あ、俺だねぇ」



「お前なんなんだよおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

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