『精神力』が異常な俺が最強になるまで

第141話 コドンの変化

「…………よろしかったのですか？レオン様」

俺が国の中心部に帰ろうとしている時、暗闇から声がした。

…………ギルファに教え込まれたな。

「ん？何がだ？」

「……もっと、話したいことがあったのではないでしょうか？」

話したいこと…………か。

「そりゃあ、当然あるさ。でも、ここでそれを話してはいけないと思うんだ。そうしたら、踏ん切りがつかなくなってしまうだろ？」

「…………流石ですね。レオン様」

流石？

俺、なんかそんな良い事言ったっけ？

……まぁ、いい。

「ルーク。見つけたか？」

俺は、前々からルークに頼んでいたことを聞いた。

「はい。ついさっき、配下の者から発見したとの報告がありました」

「……そうか」

ついに見つけれたか。

「それじゃあ行くか？カオスディメンジョンに」

カオスディメンジョン。

そこは魔物だけが住む、魔物だけの国である。

大量の種類の魔物が生息しており、いままで乗り込んだ人間は帰ってきたことが無いという。

それは…………S級冒険者だって同じことだった。

多分、俺が行っても、殺されるだけだろう。

ただ、そこの長とは繋がりがある。

それは……コイオスの時代の時だ。

まぁ、まだ生きているかはわからないがな。

もし死んでいたら…………俺は乗り込んだだけで死ぬだろう。

「もし元知り合いだとしても、今の貴方が行ったら国に入った時点で即死でしょう。ですから、我々がもっと強くなってから参りましょうか」

「…………そうだな」

もっと俺たちの力を上げないとな。

そして…………回復役も必要だ。

じゃないと俺が居なくちゃいけない状況になる。

「…………もしかして、私の事忘れてる？」

「ん？」

俺が、声がした方向に振り返ってみると…………

ブチギレ寸前にまで追い込まれていた、コドンが居た。

「あ………………」

「絶対忘れてたよねぇ！！！」

そして、その背中には、大量のドリルがあった。

「あ、あの〜、コドンさん？どこからそのドリルを持ってきたんですか？」

「問答無用！死ね！！！」

そしてコドンは、大量のドリルを、こちらに向けて放ってきた。

ヤバいって！

コドンが放ったドリルは、俺の顔ギリギリを通り抜けていった。

いやいや、洒落にならんて。

流石に死人が出るよ？

そして視認が取られているから君捕まるよ？

死人……視認……なんちゃって♡

俺がそんな事を考えていると、心なしかコドンの攻撃が早くなってきているような気がする。

いや、なんでコドンはそんなに怒っているんだ？

「どうせ私の事なんかどうでもいいんだろ！！」

「いや、そこまでどうでも良いわけではない！」

別に率先して話しかけていく訳ではないだけだ！

どうでも良いわけではない！

「そこまでって…………やっぱりどうでもいいってことなんじゃないのか！？」

いや〜、そう言われればそうなんだよなぁ。

だって仲間っていう意識より、交渉相手っていう意識があったしなぁ。

でも、今は違うけどな。

「どうでも良いんだろ！」

「いや、それは違「違うくない！！」

コドンは俺の言葉に被せてきた。

「どうでも良いから私の事をほったらかしにしていたんだ！

どうでも良いから私の事を探さなかったんだ！

どうでも良いから私の事を見捨てたんだ！

どうでも良いから…………コイオスは私に昔の事を話してくれなかったんだ！！！」

コドンのその言葉を聞いた瞬間、俺の足が止まった。

「オイ、コドン。どこでそれを知った？」

普通、その事は知らなかったはず。

俺だって5回進化してやっと思い出したんだ。

そんな…………お前が今思い出せる訳はない！

…………もしかして、解放条件が違うのか？

コドンは…………一定以上の研究をしたら開放出来るとか。

まぁ、いずれにしてもエレンが関わっているのは確かだな。

「違う！俺がお前に話せなかったのは、つい最近思い出したからだ！ちゃんと話すつもりだった！」

俺は言い訳をしようとしたが、コドンがそれ以上の怒りでかき消してきた。

「違う違う違う違う！君はいつもそればっかり！もし話すつもりだったんなら、再開した時に話せば良かっただろう！？君はいっつも、問題を先延ばしにするんだ！だから…………だから！ディオネは死んだんじゃないのか！！！」

「――――――ッ！！！！」

俺はコドンの言葉に、肯定も否定も出来なかった。

出来やしなかった。

「もう良い！魂力初ｄ「オイ馬鹿！やめろ！！」

コドン…………いや、ガスディアの魂力は、洒落にならない。

もしかしたら、ここら一帯が焦土に変わる事だってありえる。

俺は持てる力を最大限振り絞って、コドンに近づき、コドンの頭を床に押し付けた。

……発動は収まったようだな。

「やめろ！離せ！！」

「冷静になれ！コドン！」

「――――――ッ！！！」

俺は、相手の精神を落ち着かせる魔法をコドンに掛けた。

「確かに、この事をお前に話さなかったのは、俺が悪かった。でも、魂力を発動するのはやめろ。お前だって…………その強力さは十分理解しているだろ？」

「………………」

コドンは、反論こそはしてこなかったが、十分反省してるみたいだ。

「なぁ、また皆で旅をしないか？」

「…………皆？」

「そう、皆でだ。でも、皆で旅をするのには、アステリアとか、テセウスとかも集めないといけないな。そうだ！また今度、前世で作った城を改造しに行かないか？お前の力なら簡単だろ？」

「…………その皆って…………ディオネは入ってる」

コドンは、俺の話しの核心を突いてきた。

「……当たり前だろ？」

俺が皆って言ったんだ。

勿論、ディオネが入ってるに決まってる。

「でもどうやって……」

「大丈夫。俺には出来る。俺たちには出来る…………ほら、俺たちに出来なかったことなんてなにも無かったろ？」

大丈夫だ。

今度も、きっと大丈夫。

だから…………

「今世でも、俺を助けてくれるか？コドン」

「―――――――ッ！！！…………もっちろんさ！！」

コドンからは、力強い返事が帰ってきた