第140話 数百年ぶりの再開



139話の最後に、エレンをレオンって書いていました。

申し訳ございませんでした。


って事で本編にゴー!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……どうしてここに来れたんだ?」


「……え、僕を舐めてる?レオンの事を探し出すなんて、造作もない事だよ?」


(…………まぁ、ロクに眠らず探していたけどね)


エレンは密かにそう思った。


「…………そうか」


全く……とてもお前らしい。


国単位で遠くに居る……しかも、転生している者を探し出すなんて、とても労力が居る事だ。

前世には、正確に相手の位置が分かる魔法なんて存在していなかった。

多分、今の時代でも登場していないだろう。


やっぱりエレンは、自分が頑張った事を表に出そうとしない。


……まぁ、エレン。


「久しぶりだな。エレン」


「なにかしこまってるのさ?久しぶりって言ったって、1年ちょっとだろ?」


……まだ、気づいて居ないのか。


「…………まぁ、そうだな…………………………でも……でもあるよな」


「――――――――ッ!!!!!」


「……よく、俺たちの事を探し出してくれたな。感謝する。エレン」


俺がそう言うと、エレンの瞳から、大粒の涙が零れ落ちた。


「…………いや、こちらこそ……生きててくれてありがとう!コイオス!!」


そして俺たちは、国全体が見える位置に移動し、昔の事を語り始めた。





ーーーーー





「いや〜、コイオ…………レオン達を転生させた後、結構苦労したんだよ?」


「ああ、そうだろうな…………邪神はどうなった?」


「それが……レオン達を転生させた後、僕もふっ飛ばされちゃったんだよね。元の場所に戻ったら、もう誰も居なかったんだよ」


…………そうか。


あれぐらいで邪神が死ぬはずがない。

多分…………


「「封印したな」」


「「ハモった?」」


「…………ハハハハハハハッ!!!」


まさかこんなに言葉かかぶるなんてな。


「昔は、こんな事があったら喧嘩になってたよね」


「……ああ」


昔は二人共仲が悪かったからな。


ちょっと何かがあると、すぐ喧嘩になっていた。

まぁ、大体俺が勝っていたら。


「………………まぁ、それだけ変わったってことだよな。エレンも。俺も」


「……そうだね」


そう。

俺たちは変わった。

昔居た仲間達は亡くなり、俺達が居た都市は観光名所となっており、そしてエレンはめちゃくちゃ歳を取ったはずだ。まぁ、不老のスキルがあったから大丈夫だと思うが。

そして俺は…………転生した。3度も。


「……エレン。俺たちの仲間はどうなった?」


「…………大半が寿命で死んだよ。今生きているのは、長寿の種族か、不老のスキルを持った数少ない仲間だけさ。それぐらい、俺たちは時間を掛けすぎた……………神話に乗るぐらいね」


「……そうか」


俺たちの仲間の半数は、寿命が100年〜200年ぐらいの奴等ばかりだった。

そりゃあ、そりゃあ、死んでいる者が多いのも分かっていたさ。


分かっていたけど…………


「……悲しいなぁ」


俺の手に、一粒の涙がこぼれた。


「もし、俺達が邪神を倒していたら、あいつらの死を見届けれたのにな…………俺が強かったら。俺がもっと強かったら、こんな事にはならなかったよなぁ」


もし……俺が勝っていたら…………皆、もっと幸せに暮らせていただろうなぁ。

悲しいし…………何より悔しい。


そして憎い。

自分の弱さが。

自分の無能さが。

自分の非力さが。


「…………もし悔しいなら、強くなりなよ。前みたいに……いや、前以上にね」


「……そうだな」


あいにくこの体は、前の体より圧倒的な才能を持っている。

前の力を追い越すなんて、造作も無いことだろう。


…………けど、


「戦力が足りないね。それも圧倒的に」


「……ああ」


足りない。

全く足りていない。


前世の俺は邪神の1割程度の力しか無かった。

そして、邪神は個人の力にも、軍団の力にも秀でていた。


アイツの軍団は、非常に強力だ。

俺並の力を持っていた奴も居た。


エレンが邪神のMPを吸上げていたのも、不意打ちだったから出来た物だ。

そうじゃないと……エレンの力では邪神のMPを正攻法で奪い取るなんて、出来るわけがない。


けど…………


「戦力なら……大丈夫そうだぞ」


俺たちは、国全体を見渡した。


「こうやって見たら、まだちっぽけな国だ…………いや、大きな村と言ってもいいぐらいのものだろう。けどなエレン。まだ1ヶ月も経っていなんだぜ?…………コイツらは、強い。そして、日が経つにつれ強くなっている。しかもまだ、仲間集めが終わっている訳ではない………………なぁ、エレン。戦力……足りてるだろ?」


俺は、笑顔でエレンに語り掛けた。


「…………ああ。十分にね」


そして……エレンも。


「……じゃあ、安心して、エレンはの元へ行ってくれ。その様子じゃあ…………まだ記憶を取り戻せては居ないようだな」


「………………よく分かったね。そうだよ、まだ取り戻せては居ない。いつまでに間に合わせれば良い?」


「15歳。俺は15歳になったら、本格的に活動しようと思う。国を上げてな…………なぁ、エレン。これから俺たちに必要になるのは、どれだと思う?」


「それは………………圧倒的な後ろ盾だろう?」


「そうだ」


後ろ盾がないと、まともに行動できなくなってしまう。


前の俺たちがそうだったようにな。

俺たちが自由に行動出来るようになるまで、20年以上の月日が流れた。

最初から、後ろ盾があると、どれだけ楽できることか……俺たちは思い知らせらた。

それは、後ろ盾がないゆえだ。


「今、俺が知る中で信頼できて、強大な後ろ盾は存在しない。それはエレンからも同じ事だろう…………だから決めたんだ。無いなら作れば良い。そう。俺が……後ろ盾になってやる」


それも……この世界で最も強大な者にな。


「フフッ、やっぱり君らしいね。レオン」


「それじゃあ、数百年ぶりの再開もここまでだ。俺たちにはまだ、やらなくちゃいけないことがあるよな」


「…………ああ、そうだね」


「じゃあ、また会おう。エレン」


そう言うと俺たちは、別々の方向へ歩いてゆった。

未来を見据えて。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


投稿日守っていませんでした。


こめちょ

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