第139話 上空からの神(自称)



「貴方、ホントなにしてきたんですか」


「それは…………国を落としてきたんだよ」


「もう…………勝手に国を落とさないでください。まぁ、あいにく悪い奴らではありませんでしたけど」


「でしょ?」


俺、結構目利きが良い方だから。


「そんな、買い物ついでみたいに国を落とさないでくださいよ。こっちが困ります」


「いや〜……国を落とそうと思ってはなかったんだけどなぁ」


なんかたまたま手に入れたんだよ。

凄いね。国をたまたま手に入れるって。

ほんと……いいご主人を持ったな。ルーク。


「いや、元々国全員を配下にしようとしていた時点で国を手に入れようと思っているじゃないですか」


「はい。すみませんでした」


うん。完全に俺が悪い。

正直、国を手に入れる気満々だった。

『買い物ついでに国を落とす俺』かっこいい〜!って少し思ってました。

すみません。


「…………取り敢えず、どうするんですか?もし、国単位の魔物がここで暮らすとなると……隣国の者達が無視出来ませんよ」


そうなんだよなぁ。

今、それが一番問題なんだよなぁ。


「なぁ、ルーク。今から国を建てる時点で、大切な事は何だと思う?」


「それは…………まず、最低限の軍事力。軍事力が低すぎると話になりません。せめて、他国に対抗出来るような軍事力は保持しておくべきかと」


「…………他には?」


「あと……国の防衛力。軍事力と似た所がありますが、最低限の防衛は必要です。

俺たちが住む敷地内を囲むように、壁は建てたほうがいいかと」


「…………他には?」


「他は…………ライフラインですかね。建物。食料。薬など、様々な物資が不足しています。それを調達しないと、防衛力以前の問題です」


「そうだ。大体その3つがあれば、国という物は大体成り立つ」


「でも…………この場所には、この3つどれもありません」


…………ん?あるじゃないか。

一つだけ。


俺は口を開いた。


「…………軍事力。これだけはある」


「……失礼申し上げますが、私は、軍事力は無いと思っております」


お前はそう思うか。


「昔、国に三体の龍が現れたらしい。そして、その三体の龍は国を崩壊させた。たった一夜で。これがどういう事か分かるか?」


「…………国の力より、龍三体の力の方が大きいって事ですか?」


「そうだ」


良く分かっているな。それでこそ俺の召喚獣。

いや、言い方悪いな。配下の方がいいか?


「国を落とせたのは、奇襲などの様々なアクシデントがあったが、大規模な国でなければ、龍三体でも国を崩壊させる事が可能って事だ」


「……という事は?」


「…………まず、ルヴァル。こいつは龍レベルの力があると思われる。そしてルークなどの戦える者。2万人以上居て、さらに、竜以上の力を持っている者も居た。龍一体分の力がある。そして最後は…………俺だ」


「レオン様が…………失礼ですが、レオン様が龍に匹敵する力を持ち合わせているとは…………」


龍にか。


「なぁ、ルーク?俺はな…………レオンという人間でもあり……龍なんだよ」


俺はそう言うと、自分の背中に金色の、華麗で美しい翼を出現させた。


勿論ブレスも吐けるし、龍爪も出せる。


「俺は……お前よりステータスが10分の1だった頃でも、お前を倒せていたんだぞ?そんな俺が…………龍より弱い訳がない」


…………まぁ、あの地龍には負けるかもしれないけどな。


「…………なるほど。良くわかりました」


分かってくれたのなら良い。


「そして、防衛力は数の力ですぐに強く出来るし、建物も同様だ。ただ、この場所に不足しているのは…………」


「……薬」


そう。それだ。


この世界では、薬は重宝される。


争いが絶えないこの世界では、ポーションなどの薬は大切だ。

だって、魔法使いなら、中毒症状が出るまで、マジックポーションを飲んでると無限に魔法が撃てる。

戦士でも、攻撃される。回復する。攻撃される。回復するを繰り返しやられるとゾンビみたいな軍隊が出来上がる。

それぐらい、薬は大切な物なのだ。


あと、この前みたいに疫病が流行った時、聖魔道士が居ないと駄目なのは話にならない。

薬があると、聖魔道士が居なくても、進行を遅らせたり、完治させたり出来る。

だから薬は大切なのだ。


「あとはどうやって薬を入手するかですね」


「ああ、そうだな」


ただ一時的に薬を入手するのは駄目だ。

継続的に入手出来ないとこれから先が痛い。


ならどうする?

商人に交渉する?


いや、こんな魔物達相手に商売なんて出来る訳がない。

しかも、もし隣国にこの存在が知られたらそれこそ危ない。


……じゃあ、薬に詳しい魔物を仲間にする?

いや、それは無理だ。

皆に聞いたが、そいつらは極少数しかいなくて、しかも仲間になってくれるかも怪しいらしい。


…………クソッ!誰か……俺の事を裏切らなくて、且つ、薬の技術に関して詳しくて……それである程度賢い奴がいい!

そんな奴……居るわけないか。


「ハッハッハー!!!私を呼んだか!!」


「―――――――ッ!!!?」


上空から、不快だけども、少しだけ聞き慣れた声で、涙が出てきそうな声が……した。


「御年9歳で、大人顔負けの科学、魔術、医学知識を持つ!私は…………神ダアアァァァァァァァ!!!!!」


「――――――ッ!!!コドン!!そして………………エレン!」


「やっほー………………元気にしてた?」


相変わらず、イケメンで、憎ったらしい。

そして…………絶対に会いたかった人が俺の前に現れた。

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