第138話 間抜け顔
え〜、まず、皆さんに謝らなければいけないことがあります。
自分の中では、キングの上がロードだと思っていました。
けど、それは違ったらしく…………ロードが貴族で、キングが王でした。
なので、近日中に、キングの表示を、ロード。ロードの表示をキングに変える予定です。
皆さんを困惑させて、誠に申し訳有りませんでした。
それでは、続きを御覧ください。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「え、全員倒したって本当?」
「本当です」
うん。確実にインフレしてんね。こいつ。
絶対前よりかは強くなってるじゃん。
異次元の方向に強くなってるやん。
「え、前からそんなに強かったっけ?」
「いや、前まではそれほど強くはありませんでした。けど、レオン様が居なくなってから必死に努力しましたので」
「へ〜、凄いな。俺が居なくなっていた少しの時間で、そこまで強くなれるとは…………」
ゴブリン顔負けだな。
「……………………ん?少ない時間?」
「……え、なんかおかしなところがあったか?」
俺が居なくなってから、3、4ヶ月ぐらいしか経っていないと思うが…………
「……いや、おかしなところはないです。けど、私も一年近く経ったらこれぐらいは強くなりますゆえ」
「そりゃそうか。一年経ってたんだもんな。そりゃあそれだけ強く―――――――ッ!!!?一年!?」
え、そんだけ時間経ってたの!?
「……は、はい。一年近くは経過していますが…………」
まじか…………まだ数ヶ月しか経っていないと思っていた……。
もしかして、俺の時間の計算がおかしかった?
いや、それはない。
タロさんが持っていた掛け時計と、砂時計を肌見放さず持っていたからな。
…………まぁ、掛け時計は地龍のせいで無くなってしまったが……
じゃあ…………俺が転生するまでに半年近く経っていたってことか。
そりゃあ、神様が無理をして、数百年後に転生するのを、めちゃくちゃはやめてくれたんだからな。
これぐらいの誤差は出る。
……………話すか。ルークに。
「ルーク」
「……はい?」
「こちらにこい。全てを話そう」
そして俺は、ルークに全てを話した。
この世界での事。全てを。
そう。この世界でのことだ。
俺は、日本での事は話していない。
何故か?
俺は、消し去りたかった。
日本での記憶を。
日本での過去を。
それは…………弟以外の事を。
「…………それは……驚きですね」
「そうだろうな。転生をしたこと在るやつなんて聞いたことがない」
俺が聞いたことあるのは、前世の記憶を少しだけ持っているおかしな奴だけだ。
「……いや、転生をしていた事に驚いているわけではありません。レオン様には、その歳にしては以上な知能を持っていましたから。逆に納得しました」
……そりゃそうか。
だって1歳から喋れていて、走ったり出来ていた奴だ。
前世の記憶があるって言われた方がまだしっくりする。
だったら…………
「何にそんな驚いている?」
「それは…………貴方がコイオス・バレットの生まれ変わりだという事です」
「…………ほう」
驚いたな。
いくら喋れていても、ゴブリンだ。
人間の事を知っているとは思わなかった。
「よく知っているな。俺の名を」
俺がそう疑問に思うと、思いもしない言葉が帰ってきた。
「当たり前じゃないですか。コイオス・バレットと言ったら、語り継がれる程の英雄ですよ?あれほど魔物と親しかった者は聞いたことも見たこともありません。一部の魔物の間では、神聖化されているんですよ?貴方は」
…………え?
まぁ、俺が有名なのは分かる。
一時期、世界最強とも言われていたからな。
でも、俺って魔物の間でも語り継がれているの?
しかも神聖化されてるの?俺が?
ナイナイナイナイナイ。
流石に着色しすぎだぞコノヤロー。
「…………で、ホントの事は?」
「……え、ホントの事ですけど?」
こちらを見つめてくるルークの瞳は。到底嘘を付いているとは思えなかった。
…………まじかー。
俺って神聖視されてるのか。
魔物の皆は、俺の事を忘れていると思っていたが、そうでは無いんだな。
まぁ、俺が死んでから100年ぐらいしか経っていないしな。
別にありある話だ。
…………そっか。
俺が死んでから100年ぐらいしか経っていないのか。
もしかしたら俺の仲間の魔物も生きているかもしれないな。
もし生きていたら、そいつらに会いに行こう。
また、ろくでも無いことをしているかもしれないしな。
「レオン様。この事は、他の者には言っていないのですか?」
「他のやつにか?う〜ん…………」
エレンには…………いや、アイツは元々知ってたな。
神様は…………アイツが俺を転生させた本人だろ。
夢の中に出てくる不審者は…………アイツは論外だな。何故か知ってたし。
…………うん。俺が言ったことあるのはルークだけだな。
他の奴等は事前に知っていた。
うん。怖い。
神達は了承できるとして…………
エレンが知っているのは凄いな。
俺の魂の片隅にあった、コイオス・バレットの欠片を見つけたんだろう。
そんなの、なかなか出来やしない。
俺って意外と、仲間に恵まれているのかもな。
「それじゃあ、レオン様。これから他の者に言うつもりは?」
「まぁ…………セラやアテネには言うだろうな。それと……兄貴や弟にも」
「そうですか………………ん?弟?」
ああ、弟だ。
俺は必ず、アイツに会う。
あってアイツを抱きしめてやる。
どんなに俺の事を忘れていようとも。
絶対に俺が、もう一度アイツの兄ちゃんになってやる…………!
俺がそんな事を思っていると…………
「レオン様〜!!!」
ある一人の小鬼の男が、走りながら俺に叫んできた。
「ん?どうした?」
「ぐ、軍隊が!!複数の種族の魔物の軍隊が!攻めて来ました!!」
「なんだと!…………レオン様!今すぐ迎撃を始めないと、甚大な被害が!!!」
「いや、落ち着け今から来るのは味方さ」
そう。しかも、とても強烈な。
「味方……?それも軍隊でですか?…………そんなアテがあったなんて」
「いや、そのアテはさっき作ってきたんだよ」
「…………ん?さっき?」
「おう。さっき…………………国を落として来た」
「…………はぁ?」
今日、初めてルークの間抜けな面を見たかもしれない。
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