第136話 俺の敬意と誠意


今、俺は…………


オークの王と向き合っている。


…………え、なんで?



数分前…………





「……うぅ………………」


……ここは?


「気が付きましたか!」


「……おお、ビドルか」


もしかして……俺の看病してくれていたのか?

感謝しないとな。


……うん。

感謝はしてるよ?感謝はしてるんだけども…………


そんなに顔を近づけないでくれる?


流石に怖いよ?

起きて目の前にオークの顔があったら泣くよ?

今チビリかけたもん。


「流石レオン様!お父様に勝てると思っていました!!」


「…………そうだ、お前……最初っからこうなる事を知ってたな?」


「……な、何のことやr「知ってたな?」……………はい」


だろうな。

だってお決まりの行事みたいに鳴っていたからな!


多分、この国の全員を配下に収める方法は、王と戦う以外に無かったのだろう。

多分こいつは絶対わかっていたはずだ。


……殺す。


「しn「あ、そうだ!レオン様に渡したい物があったんですよ!」…………」


渡したい物ぉ?


「俺はそんな物のはつられn「どうぞ!トリュフクッキーです!」………………」


ま、まぁ、食べ物を粗末に扱ったら行けないしな!

仕方がない。

食ってやろう。


べ、別に、このお菓子が美味しそうだなって思っているわけじゃないんだからね!か、勘違いしないでよね!


「い、いただきます…………」


…………ん!美味い!!


……なんかあれだな。

お菓子を食っているというか、食事をしている感じだな。

それとワインが合いそう。


「ちょ、ワインくれない?」


「ワインですね!それなら国王が10年掛けて作ったこの超高級ワインを!!」


お、良いなそれ!

初めてのワインだから、めちゃくちゃ豪華な物が良かったんだよね!


彼は、戦いが終わったばっかりなので、テンションがハイになっている。

だから気づかない。

そのワインの事について…………


「ささ!どうぞ!」


ビドルが高級なワインを、高級そうなグラスに注いでくれた。

…………おお、めちゃくちゃいい香りがする。

絶対美味しいだろ。


「い、いただきます…………」


俺は恐る恐る、ワインを飲んだ。


「………………美味い!!!!」


前前世は、あまり酒が好きじゃなかったが、この酒はめちゃくちゃ美味い!!

何故だ?

もしかして体の体質かな?


…………いや、現代の酒の味が上がっているんだろう。

いや、それにしてもめちゃくちゃ美味いな。

このクッキーとワインなら、何枚でも、何瓶でも飲み食いできるぞ!


「おかわり」


「…………すみません。このワイン、もうないんです」


お、マジか。


「もうちょっと飲みたかったな〜」


「…………そんなに美味かったか」


俺の背後に、猛烈な負のオーラを感じた。


誰だ!?


「…………そのワイン。誰のものか分かっているのか?」


俺の後ろに居たのは…………負のオーラを放っている、オークの王だった。

いや、負のオーラどころじゃねぇ。

ブチギレていやがる。


「なんでそんなにキレているんだ?」


理由が分からない。


「…………もう一度言うぞ?そのワイン。誰のものか分かってるのか?」


「いや、誰のものって―――――――ッ!!!!!」


…………そうだった。


「そして、これを作るのに何年掛かったと思う?」


………………


「そしてどれだけの量しかないと思う?」


……………


ちょっと状況を整理しよう。

もしかしたら俺は悪くないかもしれない。


俺は、相手の物を勝手に飲んだ。

そしてそれは作るのに10年も掛かった。

でも、10年かけて出来たのがこのたったの一瓶だけ。


うん。確実に俺が悪いね。

斬首でも甘いなって言う感じに悪いね。


「…………申し訳♡……うそうそうそうそうそうそうそうそうそ!!!」


嘘だから斧を持つのやめて!?

怖いよ!?


「……まぁ、お前の処分はあとで決めるとして…………今から真面目な話をしよう」


オークの王がそういうと、室内の空気が張り詰めた。


「…………真面目な話……と言うと?」


「……この国の事についてだ」


「………………」


「……この国は…………お前に渡す」


…………


「そうか」


多分、こいつも苦渋の決断をしたんだろう。

いくら皆の前で試合に負けたとはいえ、流石にこんな人間のガキに国を託すのはありえない。

普通だったら絶対しない。


「…………でも、国民の皆が許してくれるか?」


俺はオークの王に素朴な疑問をぶつけた。


「………………それは、お前次第だ」


……そうだな。

国まるごとを配下にするなら、それなりの誠意と敬意を見せないとな。


「……まぁ、その前にだ」


「……ん?」


なんだ?


……オークの王が、急に膝を着いた。


「………………レオン様。私、ルヴァル・バーズは貴方に敗北しました。私は貴方に平服し、忠誠を誓いましょう」


…………流石王様だな。


「それじゃあ、国民の元に行くか」


「はい。レオン様」


王様改め、ルヴァルは俺の配下になった。



…………俺は、国民に対して反感を買わないだろうか?

恨まれないだろうか?

憎まれないだろうか?

俺はそれが不安でしかたがない。


「……レオン様、入場です」


…………いや、違うな。

俺がその不安を消せるように、努力するだけだ。


さぁ、行こう。


「皆n「「「「「「「「「うをおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」」」」?」


なんだこの皆のテンションは?


皆、俺を恨んでいたりしない。

ただ、ファンを応援するかの如く、俺の事を応援してくれている。

なんでだ?

俺はお前らの王様を引き摺り落とした嫌なやつだろ?


「…………貴方は、。何万の敵を、一瞬で味方に変えるぐらい。それぐらい貴方の戦いはかっこよかったのです。自分がどれだけ傷ついても、相手に喰らいつく。そんな貴方に姿勢に、彼らは惚れたのです…………ま、私もその一人ですけどね」


…………そうか。


「……………皆の者!!」


俺は叫んだ。


「俺は、生まれた時は一人だった。何一つ味方は居ない。そんな所だった。けど、俺には知恵があった。力があった。だから這い上がって、這い上がって、這い上がって、這い上がってここまできた。そんな中で俺は、クソみてぇな事もしてきたし、馬鹿みてぇな事もしてきた。でも、お前らはそんな俺を声援を送ってくれた」


俺は悩む。


ここでこんな事を言っても良いのだろうか?

取り返しのつかない事になるのだろうか?

反感を買うのだろうか?


けど、俺は言う。

そんな事は、これだけの人数を配下にする時から決まっていた。




「俺は…………俺の国を作る」

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