第133話 未開の地




「ふるさと……か」


確か、国全員で俺に忠誠を誓うらしいな………ビドルの話によると。


「でも、そんなに急ぐ必要は無くね?」


だってこの村は今、とても落ち着いている。


今この村に居るのは、小鬼約100体、中鬼約10体。

そして俺とルークって訳だ。


数的には100体ちょっとしか居ないが、戦力で言ったら一つの軍団レベルの力はある。

だって俺とルークが居るからな。なめてもらっちゃあ困る。


しかも数が少ないおかげで、あまり敵から狙われなくなっている。

だから無理して人数を増やすつもりはないんだよなぁ。


「…………俺も、仲間と……家族と会いたいんですよ」


…………そりゃそうだ。

俺の予想からすると、一ヶ月ぐらい家族達にあっていないんだろうな。


しかもオークは集団で行動すると聞く。

いつも集団で行動していたんなら、急に一人になると心細いよな。

しかもこいつは王子だ。


「…………わかった。行こうか」


「――――ッ!!ありがとうございます!!」


「いや〜、それほどでもないよ、だってんだろう?」


「………………あ。」


「いや〜、良かった良かった。変に大人数を連れて来られたら困るが、国単位の人数が来てくれるなら助かるよ」


「…………あの〜、レオン様?ちょっとお伝えしたいことが……」


「ん?なんだ?もしかして国の民全員が忠誠を誓えないなんて事はないよな?もしそうだとしたらお前を埋めるぞ?」


これは、洒落じゃない。本気で言っている。

見ず知らずの人に、それも無償で命を助けてもらうなんて…………おこがましいだろう?


「あの、レオン様。やっぱり今すぐじゃなくていです。1年後ぐらいでもいいです」


「よし、それじゃあ明日までには出発しよう。ビドル、流石に家の場所ぐらいは分かるよな?」


流石に言い訳は出来ないぞ?


「…………あ、俺王子様なんで、家の外に出たことがありません」


「あ゛?もう一度言ってみろ」


「すみませんすみません!!ご、ご案内いたします!!!」


うん。素直にそう言ってれば良いんだよ。

家の外に出たことないなんて……よくバレないと思ったな。そんなしょぼい嘘。

じゃあお前は家の中でさらわれたとでも言うのか?

もしそうなら家族と合う場合じゃないぞ。


…………まぁ、100%嘘だがな。


でも、別に急がなくても良いんだよな。

今、めちゃくちゃ安定してるし。


人間は平均で5000人の顔を覚えれるという。

今俺が覚えている人数は…………前前世と合わせると1万以上だ。

普通に平均を超えている。

まぁ、これは地球の頃の話だから当然といったちゃあ当然なんだけどな。

だって地球人より絶対知力高いし。


でも、今からここに来る国単位の人数の顔、名前まで覚えれる自信がない。

俺は村長になるんだ、村民の名前すら覚えれなくてどうする。


だから俺はあまり増やしたくないんだ。


…………けど、国を作るなら別だがな。

流石に国王だったら、国民全員の名前を覚えていなくても責められないだろう。

もし責めてくる奴が居たらそいつは頭がおかしい。


でも村の警備も心配なんだよなぁ。

また別の奴等がこの村を狙ってくるかもしれない。

もしそうなったらいたたまれないぐらい被害が出るだろう。


だって村長から聞いた話だと、この村の兵士の半数は疫病にかかり死んだらしい。

だからここの警備は半分に落ちた。

そんな村で、しかも綺麗な建物がいっぱいあったら?


俺なら襲いに行くね。


その理由もあるから、簡単にはビドルの故郷に行けないのだ。


俺が頭を抱えながら悩んでいると、そばにルークが寄ってきた。


「…………レオン様。小鬼達は我にお任せください。必ず守りきってみせます」


「……ルークがそういってくれるなら、頼もしいな」


このルークの一言で、俺の悩みがスッと消えた。


こんな頼もしい部下、今まで居なかったぞ?

まぁ、俺には部下と言える奴等が少なかったがな。

あと、ギルファもめちゃくちゃ優秀だったなぁ。


…………そろそろ俺も帰らないと。

村作りしている場合じゃねぇ。


「ルーク。村作りが落ち着いたら、故郷に帰ろうか」


「……はい、そうしましょう」


ルークは、皆に対して意外と仲が良かった。

特にギルファとは訓練や雑談をしていた。


多分、俺が頭領を殺そうとしていた時に共闘していたからだろう。

その後からよく喋るようになったしな。


「…………そういえばここ、どこだっけ?」


「………………どこなのでしょうね?」


そういえばここの場所がどこかわかっていない。

村長に聞いてみるか。


「村長〜!ここってどこだっけ?」


「…………え、レオン様はここかしらずこの場所に来たのですか!?」


仕方がないだろ!だって転生したら迷宮だったんだから!

実際、俺は生後3ヶ月だぞ!

もっと赤ちゃんをいたわれ!


「ああ、だから教えてくれないか?」


俺が脳内でツッコミをしていると、ルークが質問をしてくれた。

ルークナイス。


「私も正確には知らないのですが……商人の人が、

『まさか未開の地にこんな儲け話があったとは……』

って言ってましたぞ!それと、ここの近くにシャンボールという国があるらしいですぞ」


…………良かった〜!未開の地で!


未開の地とは。


その名前の通り、開拓がされていない大地の事である。

まだ誰の領土でもないため、争いが絶えない。


もし、未開の地じゃなかったら、村を作った事が国の人にバレた時、最悪殺されるかもしれないからな。


これでちゃんと村を作れるな。

国の中とかだったら……国際問題に発展する。

それだけはしてはいけない。

ケイン達に迷惑が掛かるのは良いが、兄に迷惑はかけれない。


「…………よし!ビドル!出かけるぞ!」


「……え、早くないですか?昨日までにって言ってましたよね?」


「いや〜、この村の警備をルークがやってくれるらしいから」


「オイ、何やってくれてんだ、ルーク!――――グデファッ!!?」


オイ、ビドル。ルークに歯向かってはいけない。

お前の力だとワンパンだぞ?


「ルーク、そこまでにしておけ。今からこいつの国に行くのに、こいつがボロボロだったら俺が怪しまれるだろ」


「そうでしたね。申し訳有りませんでした」


「…………え、俺の事を心配していたんじゃないんですか?」

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2日1回投稿にしても、今日で一から書いたから毎日投稿の時とあまり変わりがない……

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