第131話 オークの殲滅



「あ、貴方様の村……ですか…………」


そりゃあ、アンタは悩むだろうな。

今の村長はアンタなんだから。

突然出てきた人間のガキに奪われるなんて……俺だったらキレる。


「…………一つ言わせてもらってもいいですか?」


「……なんだ?」




「その村に私達が居ても良いんですか?」


「………………は?」


こいつは何を言っている?

そこは俺に対してキレる場面だろ。


俺、村長を説得する言葉考えてたんだよ?


「……怒らないのか?」


俺は恐る恐るそう聞いた。


「なにを!怒るわけないじゃないですか!この村は、貴方様のおかげであるようなものです!なにを怒れましょう!」


「――――――――ッ!!!!」


そうだよなぁ。

そうだったよなぁ。

お前らはそういう種族だ。

まだ1日足らずだが、絶対に良い奴だと胸を張って言えるぐらい良い奴等なんだ。


そんな奴等が怒れるわけがない。

たとえ、心の奥底では怒っていても。


「……なぁ、村長?正直に言ってくれ。お前は怒っているか?」


俺は多少の覇気を出しながら言った。


「――――――ッ!!!!?………………怒ってはいません。今私の心の中にあるのは、歓喜と……多少の不安です。勿論、貴方がいい人で、強い人だとわかっています!ですが…………少し不安もあるのです」


今の村長の言葉に、他の奴等も同意しているみたいだった。


…………そりゃあ、そうだよな。

突然やってきた奴に村を任せるなんて不安しかない。


……こいつらの不安を一気に解消出来る一手は…………


「なぁ、村長」


「いえ、私は村長ではありません。貴方が村長なのですから。ぜひ”メンテス”とお呼びください」


……そうか、俺が村長か…………


「わかったメンテス。一つだけ聞かせてくれ」


「なんでございましょう?」


「この村を襲った犯人は誰なんだ?」


まずそれを片付けないと皆の不安は晴れない。


「……オーク達です」


「オークか…………」


まぁ、だと思ったよ。

だって昨日オークを見たし。

しかも宴の時、

『オークの肉も食いたいな〜』って言ったら、近くに居た小鬼達がびっくりしてたもん。


「……じゃあ、村長としての初めての仕事だな」


俺はそう言って宴会場を出ようとした。


「な、なにをなさるおつもりで?」


「決まってるだろ?…………オークの撲滅だ」


「そ、そんなの無理です!!!オークは100体以上居るんですよ?一人じゃ到底……」



「オークが100体?……そんなの、地龍に比べたらへでもねぇ」



「―――――ッ!!?」


俺はそう言って、会場を後にした。





ーーーーー





「…………ここだな」


俺の目の前には、オーク達の巣があった。


酒を飲んでいる奴等。

相撲を取っている奴等。

弱いオークをイジメている奴等。

人間の女を犯している奴等。


完全にクソみてぇな場所だ。

一刻も早くこの場所から離れたい。


「落雷」


俺は不意打ちに、強烈な一撃を放った。


「「「「「「―――――――ブウッ!!!!?」」」」」」


オーク達はすぐさま、戦闘態勢を取った。

けど、それは遅すぎた。


俺の高速……いや、雷速の爪がオーク達を襲う。


…………うん。一応、龍の頃のスキルも使える様だ。

でも、爪が龍に比べて全然ないせいか、威力が全然出ない。

今の攻撃でも、死んでない奴等が居る。


……おかしいなぁ。

龍の頃なら、今の攻撃で、HPが1万以上ある奴でも死んでたのに。

俺も弱ったものだ。


そりゃあステータスが9割低下してるからね。


……うん。今の俺には魔法が似合っている気がする。

近距離戦にするなら、9割低下が無くなってからだな。


「爆炎豪槍」


…………うん。最近使ってなかったけど、結構強いね。

破壊力抜群だ。

だってもう、オーク達の死体が真っ黒だもん。見るに耐えんわ。


俺が順調にオーク達を殲滅している、その時だった。


「ブゴォォォォォォォォォ!!!!!」


なんだ!?


大きな雄叫びと共に、強そうなオークが飛び出してきた。


…………あのオーク、新種か?

見た目は完全にオークキングだった。

でも、俺が今まで見たオークキング以上の強さがアイツにはあった。

何故だ?

何が違う?


…………はなんだ?


アイツのステータスを見てみると、少しおかしなことが起きていた。


名前 ヴァメル

種族 オークキング

レベル 32


HP  19350/19360

MP  12050/12050

筋力  20360

耐久  21502

魔力  15205

速さ  16400

知力  15000

精神力 16000


3


こいつのステータスには、おかしな点が一つある。


…………そう。こいつにはがあるのだ。


今まで、そんな魔物は居なかった。


そしてこいつは…………強い。

ステータスがどれも高い。9割低下している俺のステータスだったら負けている。


…………まぁ、そんな事は関係ないんだけどな。


「落雷」


「落雷」


「落雷」


「落雷」


「落雷」


「落雷」


「落雷」


《個体名ヴァメルを撃破しました。75000Expを獲得しました》


うん。

落雷連続投下で勝てたな。


こいつのスピードが遅いのと、雷耐性を持っていないのが悪かった。


速い奴は、俺が落雷を落としても、接近されて攻撃されるからな。


…………いや、そんな奴等はあの迷宮の最下層に居た奴等だわ。

そんな奴を比べても可哀想だ。

うん。やめてあげよう。


……そうだ、名前の事について話して無かったな。


名前。

もし魔物に名前が付いていたら、種族だけで強さを測ってはいけない。


名前が付く方法は3つ。

1つ目は、一定以上の知能を持つ強者に名前を付けてもらう事。

2つ目は、進化過程で身に着ける事。

3つ目は、生まれつき入手している事。


3つ目はほぼないだろう。

前前世の俺が聞いたことある中でも、2体しかいない。


そしてオークキングは、進化で名前を貰える種族ではない。


つまり……誰かに名前を付けてもらっている。


…………まぁ、別に誰でもいいか。


そんな事より、戦利品回収だ!

こいつらはどんな物をかくしているのかなぁ?


「…………オイ、誰か居るのか?」


オークの建物の地下から、声がした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


本編に乗っける程ではない情報。


主人公は、前前世の知識が異常な為、いろんな事を知っています。


そして、主人公が魔物と言葉を喋れる理由ですが、魔物言語理解というスキルを持っているからです。

ちなみに、魔物にはこのスキルが表示されません。

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