第6章 王国建築

第129話 いや、ここどこだよ。



いや〜。困った困った。

流石にヤバい。


ん?何がやばいかって?

それは…………




ここどこだよ!!!!





ーーーーー





うん。冷静に考えてみよう。

まず俺は、アリの巣を利用して地上まで上がった。

そうしたら、なんか全然知らない所にたどり着いた。


は?

なんなのそれ?

食料無いんだけど?

アリの巣穴が小さかったから食料を持ち歩けなかったんだけど!!


…………よし、現地調達するか。

どうせすぐ生き物ぐらい居るでしょ。

……いや、どうしよう?

流石に生で生き物を食うのはなぁ、倫理観に欠けるというか……頭がおかしいというか……完全にゾンビというか…………


うん。

まぁ、一回捕まえてから考えよう。


そう、俺は完全に舐めていた。

狩りの難しさを。





ーーーーー





…………ハァハァハァハァ。全然捕まえられない!!

え?

ここの生き物たちすばしっこすぎない?

まるでAIみたいに、最適な道を毎回通るんだけど?

全ての生き物には、スピードでは勝てているが、どうも森の中での追いかけっこは相手の方が上手らしい。


…………よし。

もう仕方がない。

動物を食うのは諦めた。

いっそのこと魔物でいいや。

だってドラゴンの頃は魔物を平然と食ってたし。


それと……食べれる魔物って居そうじゃん?しらんけど。

ということで、魔物を倒しに行くぞ!!


って、丁度いい所に魔物が居るね。

しかも俺が個人的に好きな狼。


狼ってかっこよくない?

しかも毛並みが最高なんだよね。

…………まぁ、死体の奴しか触ったこと無いんだけど。

いつか狼をペットにしてみたいなぁ〜。

いっそのこと、目の前の奴をペットにしてみる?


…………いや、魔物使いに触らせてもらったら良いじゃん。


よし、それじゃあ目の前の狼は殺そう。

そして自分の糧になってもらおう。

流石にお腹がすきすぎた。


だって2日以上はなにも食ってないんだぞ!


雷槍。


たった一発の魔法で、狼は死んだ。


…………いや、普通の事だと思うよ?

でも、この呪いが掛かった状態でも、狼を一発で仕留めるとか…………インフレしすぎじゃね?


だって呪いが無かったらステータスは10万を超えてるんだよなぁ。

そしてまだレベルが1!

最強でしょ。


いや、そんなしょうもない事を考える前に!

この狼をいただかないと!!!


「あ、あの!」


「ん?」


誰か居たのか?

そして久しぶりに喋ったな俺。


「助けてくれて、ありがとうございます!!!」


俺の目の前に居たのは、人間ではない。

ゴブリンだった。


…………いや、ゴブリンですらない。

鑑定で見てみると、『子鬼』と表示された。


「な、なにか恩返しさせてください!!!」


「恩返しか…………」


なんかあるかな…………


あれ?

なんか視界がぼやけてきたぞ?

……ああ、意識が遠のく…………


「人間さん?……人間さん!大丈夫ですか!?人間さん!人間さ……………………」


そして俺は意識を失った…………





ーーーーー





「……うぅ…………ここは?」


俺は、ボロボロの屋根を見ながら目を覚ました。


「起きましたか!?…………ここは……俺の集落です」


集落か…………

それにしては…………人気ひとけがあまりないな。


「…………驚かないんですね」


「……ん?何にだ?」


もしかしてこの集落のボロさに?

ハハッ、俺の前世の部屋の方がボロいぞ?


「俺たち子鬼のとこについてですよ。普通の人間なら、襲いかかってきても不思議じゃないんですが…………」


あ〜、その事ね。


「別に。俺は普通とは少し違うからな。………けど、襲われる可能性があるのに、よく俺の看病をしてくれたな」


普通はしないだろう。そんな事。


「へへっ、俺たち子鬼は義理が硬いんですよ。恩を売られたら恩を返す。そうしないと俺たちは生きていけませんから」


ふーん。生きてくために必要なことって訳ね。


「少し失礼な事を効くが………なんでこんなにボロボロなんだ?」


昔見たゴブリンの集落の方が断然綺麗だったぞ?


「あ〜、それは…………色々理由があるんですよね………………」


クッ、めんどくさそうな話になってきた!帰りたい!

でもここは聞き返さないとな……


「それはなんなんだ?」


「1つ目は……この集落がよく襲撃に合うんですよ。本当はいつも撃退していたんですが、疫病が流行っていて……それでこのざまです。2つ目は……さっき言ったとおり、疫病が流行ってるんです。老若男女全ての世代が掛かってるんです。もう、どうしたらいいか分からなくて…………そして3つ目は……単純にお金が足りません。この集落は、少し高いですが、ちゃんと魔物の俺たちにも品を売買してくれる商人がいたんですが、疫病が流行ったせいで、まともに売れる物が無くて…………そしてお金が無くなったんです」


う〜ん。

はっきりいって可哀想な村だな。

これ、完全に疫病が無かったら上手く行ってただろ。

疫病か…………治す方法も無いしな……


「疫病を治そうにも、高位の聖魔道士が必要ですので…………それにもお金がかかるんですよね…………」


ふ〜ん。

高位の聖魔道士ね………………



え、俺じゃね?

俺って高位の聖魔道士じゃね?

だって腕が取れても、もう一つの腕があったら結構時間はかかるけど繋げれるんだぜ?

めちゃくちゃ強ない?


「なぁ、疫病の人たちを見に行ってもいいか?」


「――――ッ!!?駄目ですよ!命の恩人に疫病にかかられたら嫌ですって!」


え〜?せっかく親切心で治してあげようしてるのに…………


「……わかった。行かないから教えてくれ。疫病に掛かっている人たちの家はどれだ?」


「ああ、疫病に掛かっている人たちはあそこの大きな家に隔離されています」


「よし、行ってくるわ」


「ちょ、行かないって言ったじゃないんですか!!」


ば〜か!俺が約束を守る訳ないだろ!!


お前はそこで待ってろ!


まぁ、ただの子鬼が俺のスピードに追いつける訳もなく…………俺の方が断然早く着いた。


「ヘイヘイヘイ!病人さん達!!」


「……誰だアンタは?…………金なら好きなだけ持っていっていい。だから俺たちの残り少ない人生をゆっくりさせてくれ」


ああー、完全にもう死ぬと思っている奴ね。


「は〜い、お爺ちゃんは静かに寝てましょうね〜」


「ん?なにをするんだ?」


別に、何もしない。ただ魔法を一発打たせてもらうだけだ。


「ポズキュアド」


ポズキュアド。

毒などの病気なのに効果的な魔法。


「もしかして、アンタ聖魔道士か!?」


「うん。だから静かに待ってて」


「ああっ……!!ありがたや…………ありがたや…………」


いやそんなにすがらないで?

ゴブリンの、しかもお爺ちゃんにすがられてもなんのご褒美にもならないよ!?


俺は数分、お爺ちゃんと格闘していた。

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