第124話 レオンvs地龍 2



俺が地龍に殴りかかろうとすると、地龍はここら一帯に岩の棘を生み出した。

さすがこの迷宮の主。

魔法の威力もハンパじゃない。

もとから設置していたのかと言うぐらい強大で、広大な攻撃だ。


でも俺はそれを同然の様に避ける。


地龍が俺に殴りかかろうとすると、俺は炎の槍を大量に生み出した。

さすが多分過去最短で龍にたどり着いた男。

自分の属性の攻撃でなくても威力は高い。

ここの迷宮の主ですらも、避けなければならない攻撃だった。


でも地龍はそれを当然の様に避ける。



当然お互いは本気で攻撃していない。

それが……礼儀ってもんだろ?

復讐という名の物を与えてくれた者。

遊びという名の物を与えてくれ者。


けど、ここからは戦いだ。

勿論両方とも本気の。


地龍は俺に対して突撃してきた。

魔法ではなく、肉弾戦で勝負を挑むつもりだ。

地龍は筋力、素早さ両方とも強い。

そして何故かステータスでは俺の方が速く、筋力が強いのだが、実際はその逆に思える。

体の使い方が違うのか?

まぁ、俺は人間の頃の記憶が邪魔で龍の体を上手く使えていない節がある。


俺がそんな事を考えていると、俺の目の前には、巨大な爪があった。


―――――はやっ!

いくら少し他の事を考えていたとはいえ、意識は戦いの方の向いていた。

けれども地龍の攻撃が全然見えなかった。


…………速いな。今まで見てきたどの奴よりも。


けど、速さだったら俺も負けていない。

俺は、雷龍だ。


俺は片手ずつで、今作った雷の刀を持ち、地龍に迫った。


本来なら体が硬い相手には、強烈な一撃が必要なため、出来るだけ両手で持ち、強い一撃を与えた方が有効だ。


でも、俺の攻撃は雷。

状態異常系の力は手数に限る。


地龍が感電状態になったら正直言って俺の勝ちが決まる。

だから早く死んでくれ、地龍。


けど、地龍はそんな甘くはない。

俺がどんだけ雷の速度に近づいても、どんだけ高速で刀を振っても。

10回に1回ぐらいしか当たらない。


小型化のおかげで比較的有利に立ち回れているとおもったんだけどなぁ……

地龍もその巨大さに似合わず、結構小回りが効くようだ。


けど、これはどうだ?

さすがの地龍でもこの攻撃は避けれまい。

体が大きいにはかなりの利点がある。

力が上がるし、少し移動しただけで攻撃になる。


でも、かなりのデメリットも生じるのだ。

その一つが…………


「フィールドの大きさによっては、攻撃を避けれない」


なぁ、知ってるか地龍?

ここは元々、俺の巣なんだぜ?

俺は上にある、今にも壊れそうな木を攻撃した。


さすがのお前も、大量の落石には耐えきれないだろう?


そう、俺が攻撃した木は、落石を食い止めていた木だったのだ。

そして地龍の頭の上から、大量の岩が落ちてきた。


よし!勝った!


俺がそう確信した次の瞬間、

俺が落としたはずの岩が壁に変わっていた。


…………は?


……………………………………そうだ。俺が迂闊だった。

そりゃあ相手は進化寸前の地龍。

魔力もこもっていないただの岩を壁に変えるなんて少し無茶をすれば出来るだろう。


ただ、流石の地龍もこの攻撃にはびっくりしている。

今こそ、攻撃のチャンスだ。

俺はそう思い、地龍に突撃しに行った。


けど、2m弱と15m強の体格差だ。

当然、正面から突撃したらぶっ飛ばされるに決まっている。


…………やっぱりぶっ飛ばされると痛いな。

無理に地龍に突っ込むのはやめよう。


けど、俺にそんな事を考える暇は何一つ無かった。


「グハッ!!!」


地龍の連続攻撃が俺を襲う。


クッ、めちゃくちゃ強い…………


放電!!


放電のおかげで一瞬地龍の手が怯んだ。

そのスキに俺は地龍の連続攻撃から逃れた。


地龍は強い。今の俺より。

地龍もその事をわかっているのか、ムカつく顔でニヤついている。


けどな地龍。

今の俺はなにもしていないんだぜ?

勿論、身体強化すらも。


身体強化

視覚領域拡張

感覚領域拡張

聴覚領域拡張

思考加速

高速演算

魔闘法

鬼炎化 発動


俺がその8つのスキルを発動した途端、地龍の顔が少しこわばった。

そうだろう、地龍。

スキルを発動したときの俺は…………


俺は全力で地龍に近づき、まだ反応できていない地龍の顎を思いっきり殴った。


強いんだぜ?


俺の攻撃はまだまだ終わらない。

今度は地龍の周りを、大量の雷の矢が取り囲む。


死ね。


地龍に、大量の雷の矢が突き刺さっていく。

勿論地龍は抵抗している。

でも無数の雷の矢を全て防ぐなんて出来っこない。


そして俺は地龍の前に立つ。


「雷空」


俺の刀は、地龍の胸を深く刻んだ。


今の一撃で1万以上を持っていった。


今地龍が俺に勝てている要素とすれば、

HP、

筋力、

耐久ぐらいだ。


そしてその他は全て俺が勝っている。

そして俺がスキルを発動していたら?

全て俺の勝ちになる。


でも、それは通常ではだ。

予測出来ないのが、戦いだ。


地龍は俺の攻撃に少しは怯んだが、すぐさま俺に対応しだした。


けど、俺の攻撃は確実に地龍に効く。

それがわかっただけでも良かった。


そして地龍は、俺への認識を変えた。


暇つぶしの遊び相手から、

自分の命を狙っている敵だと。

ここからは今まで以上の攻撃が来るし、今まで以上に固くなる。

さぁ、今からが両方マジの本気の戦いだ。


当然、俺が負ける可能性もある。

けど、俺が負けるわけがない。


こんな獣風情に負けていたら、この先女神なんて倒せるのかって話だ。


獣風情。

龍に対してはこの上ない屈辱だ。

ただ、俺は言葉にはしていない。

ただ、地龍か感じ取っただけ。

けど地龍はキレた。


ハハッ、流石に獣風情は言いすぎたな。


今俺の目の前には、大量の岩の槍が待ち構えている。

そしてその槍が、俺を目掛けて放たれた。


魔法技術。

これに関しては俺の方が上だと思っていた。

けど違った。


俺と地龍。

生きてる年数が違う。

当然地龍の方が、魔法技術は凄いのだ。


でも地龍の方が、魔法戦で押されている。

それは何故か?

少しずるっぽいが、ドーピングをさせてもらった。


魔闘法


これはMPを消費して、自分の戦闘力を上げる技だが、これの真の価値はそれではない。


筋力、素早さもそうだが、それ以上に、魔力の上昇率が凄まじいのだ。


たった10年も生きていない小童が、100年近く生きているだろう地龍に対して勝てるぐらい。


流石に地龍も魔法戦で負けるとは思わなかったのだろう。

顔がみるみる歪んでいく。


そうだ、お前のその顔が見たかったのだ。

ちゃんと苦しんで、悔やんで死んでくれ。

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