第121話 特異の竜



「ふんふんふふ〜ん♪」


今日は久しぶりの休暇だ。


いや、こんな迷宮に休暇なんて無いんだけど…………取り敢えず休暇と呼ぶ。


今日はなにもしなくていい!!

修行も、

レベル上げも、

建築も。


最高じゃないか!!


それじゃあ、ここらへんを少し観光でもしてみようかな?





ーーーーー





…………ふ〜ん。

俺の巣の近くには別の火竜の巣があったんだね。

知らなかったわ。

灯台下暗しって奴だな。しらんけど。


…………なんか天井に変な生き物が居るな。

飛んで見に行ってみよう。


俺は意気揚々と羽ばたき、天井へ向かった。


…………う〜ん、こういう時、天井に貼り付ける生き物だったら良かったのになぁ〜。


蜘蛛とか、

イモリとか、

ヤモリとか、

タモリとか。


この生物だったら、天井からちまちま攻撃したり出来るはずなのに…………


…………ん?

ちょっと待てよ?

別にそれは天井に張り付かなくても、天井に近い位置に居たら可能なんじゃね?


………………今度やってみよ。


今はそんな事より、天井に張り付いている生き物を確認しないと!


さ〜て、どんなやつなのかな〜?



俺はその生き物を見た瞬間、固まった。


別に、メデューサに合って物理的に固まっている訳ではない。

ただ、驚愕で固まってしまっただけなのだ。



……………………今の俺の最強技で広範囲に繰り広げられる技ってなんだっけ?

やっぱり咆哮かな?


…………ということで君たちに一つだけ言いたいことがある。

別に君たちが悪いわけではないんだ。

君たちという種族を作った神様が悪いんだ。


とっいうことで………………


「気持ち悪んじゃ!お前ら!!雷龍の咆哮!!!」


俺は、全力で咆哮を放った。


ハァハァハァハァ………………ホント気持ち悪かった。

多分地球で映像化したら規制がかかるね。


18歳以上?

いや、18歳でもしんどいだろう。

絶対もっと上げたほうがいい。


それじゃあ…………60歳以上とか?

いや、逆にショック死するわ!


取り敢えず、規制が掛かるほど気持ち悪かった。

なんで下層にはコンナ気持ち悪い奴が居るんだ!!


でも、こいつらめちゃくちゃステータスが低かったんだよな。

上層で見かけるやつぐらいステータスが低かった。


なんでだろう?

気持ち悪すぎてみんな食べなかったのかな?

もしそうだとしたらめちゃくちゃおもしろい。大爆笑。


よし、気分を変える為に隣にある、結構大きい空洞に入ってみようか!


それじゃあ進んでいきましょう!



アイアンメイディング Lv26


HP 42670/42670



アイアンメイディング Lv22


HP 39760/39760



アイアンメイディング Lv23


HP 40170/40170



アイアンメイディング Lv21


HP 40000/41000



etc………………



うん。この下層で今、一番会いたくない奴がでてきました。


なんなの!?

この下層は本当にこんな気持ち悪い奴しかいないの!?

アイアンメイディングって名前だからか、見た目は完全にアイアンメイデンだよ!?


あ、アイアンメイデンを知らない人に少しだけ説明すると、内側に大量の針が付いた人型の箱…………みたいな奴だな。


アイアンメイデンを作ったのはエリザベート・バートリが作ったらしいけど誰?

全然知らないけどそいつ絶対頭おかしいよ?

だってこんな物を考えつくなんてヤバいやつに決まってるだろ!!


…………いや、地球ではエリザベートさんが作ったけど、この世界では誰が作ったのかな?

もしかした神様?

神様だったら地球の事も知ってそうだし。


おい、神!

こんなヤバいやつを作るんじゃない!

人が死んでしまうだろうが!

いや、その事についてはどの生き物も同じことか。


いや、なんでアイアンメイデングさんは生きてるの?

脳みそどこにあるの?


あれかな?

魔法の力で動いているのかな?

もうなんでもありだね、異世界って。


魔法バンザーイ!


俺はそんなしょうもない事を考えているスキに、一体のアイアンメイデングは、俺のことを中に入れて殺そうとしていた。


やばいやばい!!

流石に死ぬて!

だって何体居ると思ってる?

確実に20体は居るよ!?

もしかしたここが一番下層で地獄な場所かな?


アイアンメイデンが20体居るって…………もしかしてここは拷問場だったりします?

もしそうなら今すぐにでも帰りたいんですけど?


………………あ!!丁度いい所に火竜が来てくれた!


ありがとう、君には生贄になってもらうよ。

俺は思いっきり、小さい石を火竜にぶつけた。


「ガルっ!?」


そして火竜は俺とアイアンメイデングに気づき、アイアンメイデングは火竜に気づいた。


よし、俺は隠れさせてもらうぜ。

俺は瞬時に移動して、皆の視界から消えた。


本当ならここで全員が探しに来るはずなんだが、あいにく火竜とアイアンメイデングは仲がいい訳ではない。


いや、逆に仲が悪いだろう。

だって見て?

もう睨み合ってる。


頑張れー、火竜!

負けるなー、火竜!


火竜とならちゃんと戦えるんだけど、アイアンメイデングとなると、見た目の気持ち悪さから戦うのが嫌になる。


………………うん。意外と火竜が善戦しているな。

20対1という圧倒的不利の状況の中、めちゃくちゃ粘っている。


ただ、それもすぐ終わる。

今、一体のアイアンメイディング火竜を飲み込もうとしている。


…………あ、火竜がアイアンメイデングの中に入った。

……あの火竜、死んだな。ご冥福をお祈りしよう。


俺が火竜が死んだと思ったその時、火竜を飲み込んだアイアンメイディングが解け始めたのだ。


ん!?

どういう事だ!?

火竜を飲み込んでいたアイアンメイデングが解け始めた!


…………というか、あいつら本当に鉄だったんだな。


お、火竜が出てきたな。

でも、さっきと様子が違う?

すこし火竜から湯気が出ているのと、更に赤くなっている………………気がする。


お、アイアンメイディングが体の中の針を飛ばして火竜に飛ばした!


――――――ッ!!?


なんでだ!?

火竜の体にぶつかった鉄の針が、溶け出している!

…………もしかして、火竜の体が火の様に熱くなっているのか!?


もしそうだとしたらめちゃくちゃ強いぞ!!

だって自分が攻撃されても、相手にもダメージが行くんだもんな。


でも体が火自体には成れないらしい。

ちゃんと実体があるからな。


………………ちょっと待てよ?


火竜が体を火の様に熱くさせれるなら、

水竜は体を水の様にして、攻撃が通りにくくなり、

風竜は体を風の様にして、攻撃の軌道を変えたり、

地竜は体を岩の様にして、体を固く出来たり出来るのか!?


………………もし、そうだとしたら、雷龍の俺は?


体を………雷の様に出来る?

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