第94話 集団イジメってこんな迷宮でも起こるんだね



「うおぉ…………」


俺が目にしたものは、一面のジャングルだった。


いや、アフリカに来た感じだな……

何時来ても楽しい。

何故か男心をくすぐられる。


なんでかな?生粋の探検家なのか?

けど、美味しい食べ物が有ることは間違いなし!!


…………お!美味しそうなバナナ!


「いっただっきま〜す!」


もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ


…………グハッ!!

なんだこれ!?バナナ食っただけで吐血したんだけど!?

なに?罠でも仕掛けてあった?


いくらジャングルでも見たこと無いよ?食ったら吐血するバナナなんて。


ええい!!鑑定じゃ!!



アンブレイクバナナ


食った者を体内から破壊しようとする。

でも、ステータスが高い者には通用しない。


なんで体内を破壊しようとするのかは不明。

ただ、超高温で加熱するか、超低温で凍結するかをすればちゃんと食べれる。



は?なんでこんな危険なバナナがあるの?

体内から破壊しようとする?

え、俺今、破壊されそうになってんの?


腹裂いて取り出していい?

まぁ、そしたら死んじゃうけど。


ふぅ、やっぱりジャングルは危険がたっぷりだぜ!


う〜ん、まず仮拠点を作った方が良いよな……

なんか丁度いい洞穴でも……


ありました!!標高50メートルの高さにある洞穴が!!

よし!これでジャングルの魔物は襲ってこないぜ!!


……でも結構高いな……登るの大変そう………まぁ、正直どうにかなるっしょ!

俺は前世で本当の崖を登った男だぜ?

楽勝楽勝。


最初はそう思っていた俺だったが、現実はそう甘くは無かった……




「なんだこれ!全然のぼれねぇじゃねぇか!!」


全然壁に凹凸が無いんだけど?

人間の頃だったらつかめるぐらいの凹凸もこの竜の手じゃつかめないんだが?

なんで指の本数が人間より少ないの?

ドラゴン作ったやつ馬鹿なの?

もっと人間らしく腕を作って、五本指がある手足を作って……ってそれもう人形やないか〜い!


はぁ、一人でボケて一人で突っ込むのは終わった後に虚しいよね。

ほ〜んと、なんでこんな魔物になったんだ?


……まぁ、テストが無いのが魔物生活のいいところだよな。

どこかの書く欄がずれてて28点落とした人とは違って!


『グハッ!!』


《作者に10000万のダメージ》

《作者は瀕死だ!》


ん?なんか聞こえたか?


『い、いいえ。何も……』


そうかそうか。


いや〜、それにしても登るの面倒くさいな〜。

特にこの翼!

人間の頃に無かったから慣れるまでけっこう邪魔だ。

ほんとこの翼、なんであr――――――ッ!!!!


これ……翼使ったらいいんじゃね?


パタパタパタパタパタパタパタ…………


うん。なんでこの事に気づかなかったんだろう?

え、馬鹿なの?あ、馬鹿でしたよね。

いや、天才だわ。

東大受かってたわ。


……よし、洞窟に着いたぞ…………


お!何かインテリアがある〜。


何かボロボロの服。

ボロボロのテント。

もう数年が経ってるであろう錆びついた血。

そして骸骨。


え、骸骨?

うわ、本当に骸骨あるじゃん。

え、人間住んでたの?

……いや、これはテントだから住んでた訳ではないのか。


どうせ、猿とかに襲われていやいや逃げてきたってことだろう。

そこで自分の首をナイフで切り落としたと。

うん。だって体の骨と頭の骨の位置が確実に違うもん。

そして手に切れ味が良さそうなナイフあるし。


しかもさっき踏んで自分の血でてるし。

いや、微妙に痛いよ?

普通ある?ナイフを踏むなんて。

針の山を踏んだことしか経験ないわ!


……いや、普通の人も針の山を踏む時ないか。

俺は前前世で親の虐待で針の山を踏んでたんでね。

うん。皆も慣れれば痛くない!


よし!それじゃあここを俺の仮拠点にしよう!!

あいにくボロボロだが設備は整っている。


下に降りて魔物狩りでも始めるか!


パタパタパタパタパタパタ…………………スタ。


いや〜、なんか空を飛ぶの気持ちいな。

人間の頃では味わえなかった感情。


取り敢えず……魔物を探すのやってみるか!


俺は前世、爺さんに教えてもらった、気配察知のスキルがある。


スキル発動!気配察知!


・・・・・・・・・・・・・・・いや、前世だから今使えなくね?


うん。一から習得開始だ!!





ーーーーー




一時間後……


《熟練度が一定に達しました。スキル気配察知|1を獲得しました》


よし!これで魔物探しが楽になる!!


よしそれじゃあ…………


気配察知 発動


俺は気配察知を発動した瞬間、数十メートル先に猿の気配を感じた。

うげ、猿か……あいつ強いんだよなぁ…………なんか前は集団で石を投げられたしね。

結構痛かったよ?命中率もめちゃくちゃ良かったし。

あれなんなの?

命中率を上げるスキルあるの?


まぁ、あいにく今の猿は一人らしい。


それじゃあ……バトルじゃ!!


爆炎豪槍。


「ギュギッ!?」


《イエローモンキーを撃破しました。3000Expを獲得しました》


よし、バトル終了。


………………ん?背後から攻撃するのは卑怯だって?

黙れ小僧!お前に何が分かる!!


こっちだってな!集団で石を投げてくるという行為をされてるだよ!

え、なんなの?そんなんされるの小学校以来だよ?

中学校からはイジメが本格的になってきたからね。

ホント……イジメする暇があったら勉強しとけよ!!

お前らの将来の為に言ってるからな?


…………あ、別に読者様に言ってる訳じゃないです。


「「「ぎいい!!」」」


やべ!集団に見つかった!!


これは……に〜げるんだよ〜!


俺は全力で仮拠点に戻った。





ーーーーー





「……ふう。ここまで逃げたら大丈夫かな?」


一応猿達は俺の仮拠点の下に居るが、流石にこの50メートルは登ってこれないのであろう、俺の仮拠点をただ見ているだけだった。


「散れ散れ!」


帰れ帰れ!じゃないと俺が魔物狩りにいけないだろうが!


…………あ、本当に帰ってくれた。

え、大丈夫?

俺ただのいじめっ子みたいになってない?


……まぁ、アイツらが勝手に俺の事を追いかけてきただけだし大丈夫でしょう。


…………ドスン。


ん?


ドスン。ドスン。ドスン。ドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスン………!!


なんだこの足音!?


そして俺の仮拠点の下には…………大量の猿が居た。


…………え、そんなに大群を連れてくるの?

集団イジメってこんな迷宮でも起こるんだね。

知らなかった。今始めて知ったから帰ってくれるかな?


……そして猿達が俺の仮拠点へ向かって石を投げ始めた。


やめろ〜!やめてくれ〜!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


言っておきますが私の家は虐待などしておりませんので。

今日、皆で楽しくケーキを食べました。

美味しかったです。

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