第92話 あ、そういやここどこだっけ?



許さない。


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|1を獲得しました》


許さない。


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|2⇨怒|3になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|3⇨怒|4になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|4⇨怒|5になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|5⇨怒|6になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|6⇨怒|7になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|7⇨怒|8になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|8⇨怒|9になりました》


許さない


《熟練度が一定に達しました。スキル怒|9⇨激怒|1になりました》


殺す


《熟練度が一定に達しました。スキル激怒|1⇨激怒|2になりました》


俺はずっと頭の中でそう唱えた。





ーーーーー





「……タロさん」


俺は今、墓の前に居る。


俺は昨日、家の隣に墓を作った。

勿論、タロさんの物だ。


俺は昨日、泣きながら雷を無意識に放電していたみたいだ。


それでちょっと、家がボロボロになっている。


「ハッ、せっかくのタロさんの置き土産なのに……」


まぁ、まだ修復可能なのが救いだ。


「タロさん。俺、かたきを討つよ。アイツがどんなに強かろうと、俺は倒して見せる。それぐらいの根性がないと、タロさんに笑われちまうからな」


いや、タロさんは優しいから笑わないかな?

逆に『危険だから辞めてけれ〜!!』って言いそうだな。


まぁ、タロさんがいくら辞めてほしくっても俺は辞めない。

それは…………俺のエゴで出来た復讐だ。


「…………よし!こんなに辛気臭くしていたらタロさんに怒られちまうよな!辞めだ辞め!さっさと修行しなくちゃな!!」


あ〜、敵を多く持ってしまったな……


女神、

邪神、

そして地龍。


ん?ボルトはどうしたかって?

ハッあんな雑魚、敵に入らねぇよ。


…………嫌でも、アイツ傭兵雇って永遠にレベルアップしていったら俺も負けるかもな……


そう、レオンの勘は的中していた……





ーーーーー






〜ボルト視点〜


「雑魚がよぉ!!」


《ゴブリンキングを撃破しました。10000Expを獲得しました》


いや〜、これめっちゃ効率がいいな……


傭兵がギリギリまでゴブリンをやっつける。

そして美味しい所を俺が持っていって経験値を手に入れる!!


これで俺は、危険を冒さず強くなれる!!


「オイ、お前ら!次の場所に行くぞ!!」


「「わ、わかりました〜!!」」


ハハッ、これでセラは俺の物だ!!


ボルトの力、権力共にどんどん増して行った。


それはいつか、セラがボルトに嫁ぐ事を余儀なくされるぐらいに…………





ーーーーー





「……まず、これからの方針について考えるか」


俺の力……ステータスは確実に前世より高くなってるが、前世の俺と戦って勝てるかと言われたら……正直ボロ負けだ。


強さはステータスが全てではない。

これを直で感じられた。


前世の俺は圧倒的な技術があった。

それもステータスではボロ負けしているボルトに余裕で勝てるぐらい。


まぁ、圧倒的な技術っていっても、大人になったらこれぐらいの技術を持っている奴なんてゴロゴロ居るがな。


でも俺は技術の面は捨てようと思う。


何故かって?


俺は早く、人間に戻りたいからだ。

それはただ、人間の体を欲している訳ではない。


セラに危険が迫ってるかもしれないからだ。


ボルトは正直言ってセラの事をとても好いている。

それも、人一人簡単に殺せるぐらいな。


だから早く人間に戻って、セラを助けてやりたいんだ。

それを技術磨くために諦める道理はない。


だから俺はステータスで勝ちたいと思う。


…………でも、ステータスでも俺は地龍にボロ負けしている。


このステータス差をひっくり返すのは結構な時間を要するだろう。


たから俺はこの、俊敏性を極めたいと思う。


俺は確実に地龍より小さい。


ここだけ聞くと良くないことのように思えるが、それは戦闘において必ずしも不利になるとは限らない。

……まぁ、恋愛戦には不利になるがな。


俺は小さいから小回りが効く。

俺なんかより何倍もでかい地龍からしてみれば厄介な事だろう。


だから俺は、できるだけ小さい竜で成長していきたいと思う。

それか、小さい竜に変身出来る機能を身に着けるかだな。


《スキルを記憶から再生……成功しました。修復……成功しました。スキル小型化|1を入手しました》


おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?


小型化!?

今俺が欲していたスキルじゃねぇか!!


…………ん?待てよ?

記憶から再生?


前、鬼門法を覚えた時と同じように取得したが、おかしいぞ?


鬼門法はたしかに前世に覚えてきた。

だから記憶から再生って事も納得出来る。


けれど前世の俺のスキルに小型化なんて無いぞ?


うん。絶対ない。


他に記憶があるとすれば……東海秀人の記憶だが……地球ではスキルなんて機能はなかった。


……もしかして、俺の中に他の奴の記憶が眠っている?


…………ハハッ、考えすぎかもな。

ただ、神様が間違えてスキルを送ってきたのかもしれない。


よし、これで小回りの事は考えなくて良くなったな。


そしてもう一つの俺の長所は、魔法だ。


俺は前世の記憶があるため、魔法を早く覚えれるはず。

だってもう四属性魔法のレベルが5もあるもん。


どうだ?俺はまだ生後1ヶ月ちょっとしか経ってないんだぜ?

でも、前世まで行ってたレベルまでいったら成長は一気に遅くなるだろうな……


……まぁ、他のことは深く考えないでおこう!


よし!じゃあレベリングでもするか!!


取り敢えず10歳になるまでに地龍を倒すつもりだ。

10歳までにセラとアテネに会いたいもんね。


うん。最悪ここは迷宮なので魔物経験値には困らない。


……ハッハッハッハ〜!!


俺にはレベルアップに最適なスキルが有るのだよ!!



過食


倒した敵を食べると経験値補正

倒した敵を食べるとステータス向上補正




悪食


倒した敵を食べると経験値補正

倒した敵を食べるとステータス向上補正



このスキル!!


いや〜、意外と経験値を上げれてさ……


ただ敵を食べるだけで経験値が手に入れれるんだぜ?


…………まぁ、けっこうグロいのを食べなくちゃいけないけどさ!

うん。めっちゃしんどかった。

この悪食を手に入れた時悲しかったよ?


だって悪食って言われてるんだから。


俺別に悪食じゃないもん!

だだちょっと酸の味がする魔物を食ってるだけだもん!!


まぁ、いい。

ここは迷宮だから魔物経験値にも、魔物食料にも困らn…………ん?


迷宮?


そう言ったら……ここ、どこだ?


もし、地龍を倒したとして、この迷宮を出たとして、俺はセラやアテネの所にたどり着けるのか?


…………うん!今日はもう考え事はしないでおこう!

こういうのは明日の自分に任せるのだ!!


じゃあ、おやすみ〜

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