第81話 ゾンビ先輩



ザクッ……


「ピキ……………」


「ムシャムシャムシャムシャ……」





ーーーーー






ザクッ……


「ピキ……………」


「ムシャムシャムシャムシャ……」





ーーーーー






ザクッ……


「ピキ……………」


「ムシャムシャムシャムシャ……」





ーーーーー






ザクッ……


「ピキ……………」


「ムシャムシャムシャムシャ……」





ーーーーー






ザクッ……


「ピキ……………」


「ムシャムシャムシャムシャ……」


《熟練度が一定に達しました。過食|1を獲得しました》


「ん?過食?」


……そんな食べてた?


俺はムカデを倒しては食って、倒しては食ってを繰り返していた。


だって早くレベルを上げなくちゃいけないんだもん!!


……さ〜て、過食のスキルはどんなのかな〜?



過食


倒した敵を食べると経験値補正

倒した敵を食べるとステータス向上補正



おおお!?

何だこの最高なスキル!?

皆欲しがるんじゃないか?


……でも、そんなに食ったか?


まぁ、腹は満たされた。


倒す時にダメージを受けて体力も消費していたからかな?

もしかして永久機関できた?


うん。自分の体の数倍は食べた感じがする。


ん?そんな入るわけねぇーだろって?

HAHAHAHAHAHAHAHA!!

こんな不思議な世界に言ってる?

スキルが有るならそんな事なんで有るに決まってるだろ!!


だってさ?敵が自分とおんなじぐらい大きいんだぜ?

それを全部食って、自分の体積が倍になったら嫌じゃない?

見たい?そんな小説?


……はぁ、でも最近ムカデ料理にハマっていてな…………





ーーーーー





は〜いはじまりました!『ケダモノお料理』のお時間です♡


※気持ち悪い表現は有るので、いやな人は注意して見てください。


1.ムカデを下茹でしたのち、串に刺します。

加熱すると毒が分解されますので、念入りに。


あら、加熱したら少し青くなった…?


自分は近くの池の水を持ってきて、ファイヤーボールで頑張りました。



2.フライパンにアルミホイルを敷いたものの上にムカデ串をのせ、

中火くらいでじっくり焼きましょう。


自分はファイヤーボールをぶん投げました。



3.醤油、みりんなどお好みの調味料で味付け。

こんがり香ばしい醤油の香りが漂ってきた頃合いで、火を止めましょう。


当然自分に醤油やみりんなどはなく…………近くに棲むカエルの体液をかけました。



4.できあがり。



さ〜て、食べて逝きましょう♡


モグモグモグ

ボリボリボリボリ

ムシャムシャムシャ…………


う〜ん、不味い。


ううぇええええええっぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ〜!!!!!!


まっずっ!!!

やばいやばい!

これ生き物が食べたら駄目なやつだって!!

ああ〜意識が遠のく〜…………


《熟練度が一定に達しました。毒耐性|2⇨毒耐性|3になりました》


《熟練度が一定に達しました。酸耐性|1⇨酸耐性|2になりました》


うん。スキル的には美味しかったみたい。


ハハッ、誰が上手いこと言えと?


そして俺は意識を失った……





ーーーーー





「…………うぅ……」


ああ、クソ不味いもの食ったような気がしたが……まぁ、気のせいだろう。


うん、目の前に食べかけのクソ料理があるけど気にしない、気にしない。


「……ああ、喉乾いたな……池から水持ってくるか」


池の水はとっっっても汚いが、頑張って魔法で煮沸して頂いている。

水飲むにも魔法が必要って……悲しいね。


「よし、池に行くか……って家の近くが池だったわ」


そんな事を考えている内に池までたどり着いた。


よし、水くみ水くみ……


……ん?


ニョロ…………


「………………」


「………………」


………………鑑定さん。お願いします。


『フィッシュ』


「…………ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


きっっしぇえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


なんなの!?俺はただ水を汲みに行っただけじゃん!なんで変な生き物に出会わなくちゃいけないの!?


なんで今俺は魚に足が生えた生き物に追いかけられているの!?


「…………はぁはぁはぁはぁ……逃げれたか?」


…………うん、追ってきている気配は無いな。良かった良かった。


「ヨッ」


「…………」


自分の後ろには……魚に足が生えた気持ち悪い生き物がいた。


「……ヨッ……じゃねぇんだよ!!!!」


クソがっ!!!!


でもコイツ強いんだよなぁ!

さっき放った魔法が全然効いてない。

こういうレベルの差っていやだね。


……俺は、3時間逃げ続けていた。





ーーーーー





「はぁはぁはぁはぁ…………もう疲れたし……ここどこだよ…………」


俺はあの魚?から逃げるあまり、ドコに来たか分からなくなってしまった。


「……うぅ……なんか幽霊が出てきそうな予感…………」


なんか不穏な空気漂ってるもん。


そんな中人影が見えた。


「もしかして誰か居るのか?……お〜い!!」


「うぅ?」


『ゾンビ』


あ、同業者魔物の方でしたか。


ってヤバいじゃないか!!反撃しないと…………ってあれ?


ゾンビは俺に目もくれず、ただ歩いていた。

……なんか食べられるのも嫌だけど、無視されるのも嫌だよね。


キュルルルル………………


あ、お腹なっちゃった。

いや〜、逃げるのに必死でお腹がヤバイよね。

しかも1日以上気絶していたからか、空腹で狂いそうになる。


「……な、なにか、食べるものは…………あ!」


あのゾンビ、何を目掛けて歩いていたんだ?

もしかして……食べ物!?


「……待ってよ!ゾンビ先輩!!!」





ーーーーー





……………え、ゾンビ達ってこれを食べてるの?


ゾンビたちの口元には………紫色の草や、木、石などがくわえられていた。


いや、ゾンビたちそんなもの食ってんの?

……まだ、ムカデという食べるものがあっただけでましだったんだな。


キュルルルル…………


ああ、空腹で力が…………


『大丈夫か?そこのドラゴン?』


そ、その声は!


『俺だぜベイベー』


ゾンビ先輩!!

……俺、どうしたら良いですかね!?


『普通のゾンビは草を食べるが……時代は木だ!木を食べろ!木を!』


木ですか!!分かりました!!


『それじゃあ俺は行くぜ、ベイベー』


くぅ……ゾンビ先輩!アンタの教えは絶対………忘れねぇ!!


ゾンビせんぱ〜い!!!


……よし!木を食うか!!


いっただっきま〜す!!


モグモグモグ

ムシャムシャムシャ…………


「…………草……食べるか」


うん。木は俺の口に合わなかったらしい。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


※ゾンビは普通、喋れません。

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