第78話 死亡



チュンチュンチュン…………


「…………うぅ………」


……昨日、遅くまで今日の校外学習の準備をしていたから、寝るのが遅くなったわ。


3時に寝たもんね。


「……二度寝しよ」


「だめですよ。起きてください」


ビート、居たのか。


「よし、ビート。これは命令だ。寝かせてくれ」


「無理です」


「寝かせください。お願いします」


俺は土下寝をしながらそういった。


「……いや、どういう体勢ですか?」


……ちぇ。


「……じゃあ、美味しいコーヒーを持ってきてくれないか?」


「そういうと思って用意しときましたよ」


おお、さすが執事!


「それじゃあ、いただきます」


俺がコーヒーを飲もうとした瞬間、コップの持ち手が取れた。


「うわっ」


「大丈夫ですか!?レオン様!」


「ああ、大丈夫大丈夫。ただコーヒーが掛かっただけだから」


……それにしても、不吉だな…………


俺は密かにそう思った。





ーーーーー





「よし、じゃあ行ってくるわ」


「行ってらっしゃいませ」


ああ、今日はボルト達と初めての校外学習か……せっかくならセラとアテネで行きたかったものだ。


「でもなぁ……ボルトは絶対何かを企んでると思うんだよな…………」


アイツが何かを企まない事なんて無いし。


「ま、どうにかなるでしょ!」


俺がボルトに負けるわけ無いからな!





ーーーーー





「……よし、着いたか」


「時間ギリギリですよ!レオン君!!」


「スンマセン」


いいじゃん。ギリギリ間に合ったんなら。


そんな事をガミガミ言うから婚期を逃すんですよ?先生。


「……レオンく〜ん?聞こえてますよ?」


え、もしかして心の声漏れてた!?


「……テヘ♡…………グハッ!!」


「……ゲンコツ一発で済んだだけで感謝しなさい」


先生はそう言って戻っていった。


……痛い痛い…………もうちょっと手加減出来ないかね?


「……それじゃあ、もうそろそろ出発するので、昨日組んだチームと固まってください」


「「「「「「は〜い」」」」」」


はぁ、ボルトとおんなじグループか…………


「よう、レオン」


「これはこれはボルトさん」


「……別に呼び捨てにしても良いんだぜ?」


…………!?ボルトがそんな事を言うなんて!!


……ああ、明日はきっと槍の雨が降ってくるんだ…………


まぁ、冗談は置いといて。


「分かったよ、ボルト。これで良いか?」


「ああ!」


意外とボルト、良い奴なのか?


俺はそんな事を思って出かけた。





ーーーーー





今回の校外学習では、ダンジョンまで進み、そこから3つ階層を降りた先に先生が居る。そこまで行けたらクリアだ。


まぁ、途中、先生がちょくちょく居るから何かが起きてもすぐに対処できるようになっている。


「……よし、着いたか」


「おお、意外と入り口は小さいんだな」


俺たちはダンジョンの前まで来ていた。


いや〜、ダンジョンっていうぐらいだからどんだけでかいのかと思ったら……思ったより小さい。


「ダンジョンは下に行くものだからな……入り口は小さいのが多いんだ」


「へ〜」


ボルトは親切に教えてくれた。


ここまで来る途中、ボルトと色んな事を話し合った。


どんな修行をしてきたのか。

どんな物が好きなのか。

今日は何を持ってきたのか。


そんな他愛のない話しをしていた。


そして、なぜ俺に親切にするのか。


『俺は、セラに恋をしていてな…………そしてセラとお前がイチャイチャしているのを見て気に入らなかったんだ…………でも、昨日から使用人に恋をしてしまってな。そしたら今までの事が恥ずかしく思えてきて……そして、謝りたいと思っていたんだ。これはほんの罪滅しだ』


ほ〜、恋は人を狂わせるって本当だったんだな〜。

今回はいい方向に狂ってくれて助かったよ。


「よし、レオン!探索に行くか!!」


「……おう!」


俺たちはここに来るまで、仲良くなっていた。





ーーーーー





「へ〜、ここはこんなに整備されてるんだな……」


ダンジョンには、2つの種類がある。


ダンジョン型ど迷宮型だ。


ダンジョン型は、道が整備されていたり、松明が置かれていることがある。

なぜ、道が整備されているのかは不明だ。


迷宮型は、アリの巣穴みたいな、道も整備されていないダンジョンだ。

正直めんどい。


俺が行ったことが有るのは迷宮型だけだ。


「お前はダンジョン型のものは知らないんだな」


「ああ、全くと言っていいほどな」


正直、訓練でそんな事を調べる暇は無かった。


「まぁ、道が整備されている迷宮型だと思えば良い」


「ほ〜、分かりやすい」


うん、分かりやすいけどそんなサクサク進まないで?俺来たこと無いから。迷っちゃうよ?


「おい、置いてくなよ」


「ハハッ、すまんすまん」


うん。そういいながら進むな。オイ、そこの手下A。走るんじゃない。オイ、そのこの手下B。勝手にゴブリンと戦うんじゃない。オイ、そこの手下C。ゴブリンのメスに興奮するんじゃない。気持ち悪いぞ?


「オイ、お前ら!勝手に戦うな!!」


「「「す、スミマセン!」」」


「はぁ……よし、行くか!!」


「おう」


そして俺達はダンジョン探索に乗り込んだ。





ーーーーー





「よし、ここからはトラップが出てくるから用心していけ?」


「「「「はい!!」」」」


俺たちは、1階層、2階層まで、順調に進んでいった。


「今の所……俺たちが一番のようだな」


「ああ、最初の頃は何人か見たが今は誰も居ないな……」


皆も緊張しているのか、静かになっていった。


ただ、ボルトが嬉しそうにしているのは、俺の気のせいだろうか?


「よし、行くぞ!!」


手下Aがそういった瞬間、曲がり角からオークが現れた。


「グフェッ!!」


「オイ、エモブ!!」


あ、ソイツエモブって名前だったのね。


……そんな事に関心している場合じゃない!


「ウィンドランス!!」


「ブヒイイイイィィィィィィィィィィィ!!」


「よし、倒した……大丈夫か?」


「……ああ、大丈夫だ。問題ない」



「よし、行くか…………グフッ」


何だ?


俺の体には、一つの剣が刺さっていた。


「…………ボルトオオォォォォォォォォォ!!」


裏切ったのかぁ!!


「ハハッ!!お前マジで信じてたのかよ!!」


チッ、やっぱりそうだったのか!


魔法で反撃を!……出せない!?


「ああ、この剣は特殊でな……刺された者は魔法が使えなくなるんだ」


「……何が…………じだいんだ……?」


「お前、目障りなんだよ!!!俺のセラに手を出し、そしてアイリーンと仲がいい」


「……セラは……お前の……………もんじゃねぇ」


俺はそう言って殴りかかった。


「おせぇんだよ!!」


俺は脇腹を蹴られた。


「グハッ!」


俺が着地した地面が空いた。

ヤバい!落ちる!!


蹴り飛ばされた衝撃で、ダンジョンのトラップに引っかかった。


「ハハッお前は一生奈落に落ちとけ」


「クソがああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




グチャ……………………




そして俺は…………死んだ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ここで4章完結でございます。


主人公は死にました……そして主人公はどうなるのか。


明日もまた見てね!

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