第73話 通信晶石農家



「…………うぅ……………」


ここは?

確か、兄にボコられて…………


「おお、起きたか!いや〜、心配したんだぞ?死んだかと思った…………」


いや、そんな簡単に死なんよ?

訓練用だから刃が付いて無いからね?


「……今何時?」


「今は…………6時30分かな?」


「え!?やば、いぞがないと!」


ヤバい、ヤバい!!今日はに行く日だった!


「ん?まだ学校までに時間はあるぞ?」


「いや、今日は農園に行かなくちゃいけないから」


「ああ、農園か……気をつけていけよ?」


「うん、行ってきます」


俺は、農園へと急いだ。








「はぁはぁはぁ…………農家のおっちゃん〜?居る〜?」


俺は農園の前で叫んだ。


「ん〜?誰だ、俺の農園に侵入したやつは?…………ああ!レオン様か!さ、こちらに!」


おお、俺だと分かった瞬間、態度が急変したな……まぁ、そうなると思うが……

俺と農家のおっちゃんが出会ったのは数ヶ月前…………





ーーーーー





「レオン様、そろそろ自分の陣営を作っていかがですか?」


ビートが突然言っていた。


「突然どうした?」


「いや、レオン様は8歳になったのに自分の陣営を作らないんだなっと思って」


「ん?いや、居るだろ?」


なに言ってるんだ?


「え?居ましたっけ?」


「ビートだろ?ギルファだろ?イオさんだろ?「ちょっとまってください」……なんだ?」


「……私は執事ですので当然レオン様の陣営です。ギルファも一応レオン様の執事ですので。イオさんに至っては元魔王軍の四天王じゃないですか!!……はぁはぁ…………興奮して申し訳ない」


「いや、大丈夫だ……そうか、やっぱり作らなくちゃいけないよなぁ…………」


う〜ん。どうしよう…………


「いや、別に貴族では無くて良いんですよ?ギルドマスターとか、貴族以外の金持ちとかで良いんです……」


う〜ん。貴族以外の金持ちねぇ……(商業ギルドマスターのおっちゃんは頭の中に無い模様)


何かいい人……


そこで俺はセラが前言っていた言葉を思い出した……


『今日は楽しかったね……あ、さっき歩いていた人が言ってたんだけど、何か、近くのの農業が潰れそうだって』


通信晶石は結構前に話した『黒電話みたいのが栽培されてる〜』やつだ。

ちゃんと通信が出来て、色んな種類のヤツがある。


ノーマル通信晶石…………これはただ相手と通信できるもの。


撮影通信晶石…………これは映像や、写真が取れる。


映像通信晶石…………これは、とった映像や、写真を映す事ができる。


高級通信晶石…………これは簡単に言ったらYouTube見たいなやつだな。

動画を撮って、それを皆が見れる物だ。


この高級通信晶石を使って有名になったやつは多い。


…………いや、なんでこんな物があるの?

この世界って不思議な物が多いな。


まぁ、それはいい。俺が知りたいのは、通信晶石を作っている農家は金持ちかどうかだ。


「なぁビート。通信晶石農家は金持ちか?」


「――――ッ!!……もしかして、当てがあるんですか?」


「ああ、あるが……それがどうした?」


どうした?そんなに驚いた顔して?


「どうしたじゃないですよ!!通信晶石農家なんて……もしかしたら、貴族よりお金を持っているんですよ!」


「へ〜、貴族よりね……え!貴族より!?」


大金持ちじゃあねぇか!!


「通信晶石農家……もし本当にあてがあるなら、すぐ会いに行ったほうが良いと思います」


「分かった。じゃあ…………行ってくるわ」


「へ?」


俺は窓から飛び降りた。


「じゃ、今日には帰ってくるから。オネシャス」


「レオン様!?レオン様〜!」


俺はビートに止められる前に通信晶石農家…………訳して晶石農家の元へ向かった。





ーーーーー





「…………はぁ、はぁ、はぁ…………着いた!」


街の人に教えてもらったが…………こりゃあ……でっかいな……!!


俺の目の前には……大きな畑があった。



「そんなもんは無いに決まってんだろ!!」


ん?どうしたんだ?



「無い?良いから早く渡せよ!!」


「渡さなかったら……この農園、どうなるか分かってるよな!?」


「だまれ!お前らなんかに自由にされてたまるか!!」


……何か言い争ってるな。


「ん?どうしたんだ、お前ら?」


「オイ、ガキ!口を出す―――「……なんだお前?」…………チッ、手遅れか」


何だ?ぱっと見、仲はよくなさそうだが?


「おうおうガキ?俺たちが『ロックバスターズ』だと分かっていってるのか?」


「――――ブファ!!」


ロ、ロックバスターズってwww


「ん?」


「名前ダッサww」


「―――――ッ!!…………ぶっ殺してやる!!」


「逃げろ!ガキ!!」


逃げろ?流石にアイリーンには負けるが、こんなチンピラに負けるわけないぞ?


「剣筋が粗い」


「―――――グファ!!」


俺が相手の事を切ると、相手は吹っ飛んでいった。


「フッ、安心しろ。峰打ちだ」


人生で一度は言ってみたかったんだよな…………


「こ、このガキやべぇ!!大将に報告だ!!」


そうしておじさんを襲っていたチンピラ達は帰っていった。


「…………おじさん、何があった?」


「……一々話すことじゃねぇよ」


「どうしても?」


「……どうしてもだ」


……中々話してくれないか…………


「俺の名字、ドラグノフなんだよねぇ……」


伝わるだろう?ここら辺の人は、全員、英雄 ケイン・ドラグノフの事は知っている。


「―――――ッ!!……そんなお偉いさんが何のようだ?」


「……単刀直入に言う。俺の仲間になってくれないか?」


「ハッ、あんたみたいなお偉いさんの仲間?アテなら他にいくらでもあるだろう?」


いくらでもあるっか。


「いや〜、それがうまいこと行かなくてさ〜…………農家のおっちゃん。ザブル家って知ってるだろ?」


「……ああ、侯爵家のヤツだろ?」


「そ。アイツがホントキショくてさ……ああ、思い出すだけで腹が立ってきた!!」


アイツの妨害のせいで仲間が全然作れないんだよ!!


「……ハハッ!!」


「ん?どうした?」


狂ったのか?


「あんたより階級が上のヤツをキショいだと?面白い奴だな!!気に入った!!」


おお…………俺は農家のおっちゃんに気に入られたようだ。

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