第67話 オーガ



「あ〜、やっぱりまずかったか?」


流石に皆の前でゴブリンキングを一発で倒すのはやりすぎた…………


「いやでも、倒さなかったらアイリーンが死んでたし…………」


いや、俺は人の命の為に頑張ったんだ。そうだ。そういう事だ。


「やっぱりレオンは凄かったんだね!」


アイリーンが大きな声で言ってきた。


「―――――ッ!!……お前、森で大きな声出すな。魔物達に聞かれたら…………クソッ、来やがった」


俺たちの前にオークの群れが現れた。


「……オークキングは居ないな…………」


これならアイリーンも戦えるだろう。


「私!一番強いのもらうね!」


「―――ッ!!馬鹿!」


いくらオークキングが居ないって言ってもアイリーンより少し弱いか、同じぐらいかの奴が数匹居るんだぞ!?


「……人を守るのは面倒くさいな……」


あいにく大きい群れじゃない。


オークが9匹、

ボブオークが3匹。


アイリーンはボブオークを一匹相手していて手が離せない。


……ということは…………


一人でオーク9匹とボブオーク2匹と戦わないと行けないのか…………


「中々きついな……でも」


この魔法なら…………


「青炎豪槍!!」


「「「ブフュウイイイイィィィィィィィィ!!!」」」


俺が今出した青炎豪槍とは、俺の必殺技、爆炎豪槍の改良版だ。


爆炎豪槍の炎を青炎に変えて、火力を上げた技だ。

それでもデメリットがある。


火力が強すぎて…………


「うわー、温かいなー」


森で使ったら木々が燃える。


やっべ!水出さないと!


「ウォーターボム!」


威力を下げて……拡散するように…………


俺がウォーターボムを数個出すと、木に燃え移った炎は消え去った。


……はぁ、早めに消しといて良かった。


「……はぁ!!」


「ブヒイイイィィィィィィィィ!!」


お、アイリーンの所も決着が着いたようだな。


「……レオン、今の技凄いな!」


「ああ……その代わり、MPをすっごく消費するけどな」


一気に半分近く消費した……しんど。


「よし!この調子でガンガン狩っていこうか!」


いや、こっちはアナタの倍、動いて倍、しんどいんですが?


有無を言わさない勢いでアイリーンは突っ走っていった。


「……これでアイリーンが死んだら俺のせいになるんだろうな…………オイ、待てアイリーン!」


そんな突っ走ったら変な敵に出会いやすいだろうが!!


……そうして俺たちは森の中を駆け回った。


時にはスライムに出会い、


時にはゴブリンの集落と遭遇し、


時には知らないおじさんと遭遇した。


「はぁ、はぁ、はぁ………疲れた!!」


何だよ!おじさんと遭遇したって!なんでここにこれたのかなって言うぐらい不思議なおじさんだったからね?腕も細くて、足元もおぼつかない感じだった。ホントのにどうしてこれた?


途中、おじいさんを村まで案内しようってゆうイベント発生してた。

しんどかった〜!おじいさんを守りながら戦うのはちょっと骨が折れた…………


「……アイリーン、後どれぐらいだ?」


「後……1時間ぐらい」


一時間か……多分、俺たちの優勝だな。


これは倒した魔物の量、魔物の強さを競う大会だそうだ。


勿論、制限時間が設定されていて、その制限時間内に戻ってこないと失格だそうだ。どんなに強い魔物を狩っていたとしても。


「そろそろ、帰ったほうがいいだろう。帰りにも魔物に遭遇するしな」


「そうだね」


よし、帰るか。


俺がそう呟こうとしていると、近くから足音が聞こえた。それもとてつもなく大きな。


……ドスン!!……ドスン!!……ドスン!!…………


「……何だ?この足音?」


聞いたことが無いぞ?


「これはもしかして……オーガ族!?」


アイリーンがそう叫んだ。


オーガ!?そんなん、話でしか聞いたことが無いぞ?


けれども、アイリーンの予想は的中していた。


だって森の中から現れたのだ。鬼の顔した怪物が。


「もしかしてこれが―――――ッ!!アイリーン避けろ!!」


「――――――ッ!!」


俺の叫びも虚しく、アイリーンには効かなかった。


オーガの一撃がアイリーンに直で当たったのだ。


いや、直ではない。俺がギリギリで刀を前に出していた。

……その刀はもう、見る影もないが…………


俺がガードしたおかげか、アイリーンはしんでは居なかった。


「オイ!アイリーン!?大丈夫か!!」


間違いなく心臓は動いている……これは気絶しているだけか……


けれども、アイリーンを一撃で倒せるオーガ。力はどれぐらいなほどか……



種族  上級オーガ

職業

レベル 26


HP  13200

MP  7306

筋力  14200

耐久  13900

魔力  5300

速さ  10040

知力  1000

精神力 10000


2


スキル

棒術|7

体術|6

破壊強化|5

打撃強化|6

風耐性|2

土耐性|3

強者覇気|6

HP自動回復|5



「……強いな」


限りなく強い……でも、頭領ほどじゃない。


取り敢えず、強化はすべて掛ける。


身体強化

視覚領域拡張

感覚領域拡張

思考加速

高速演算

青炎鬼化

鬼剣     発動!



「――――ッ!!グウゥ!?」


突然、俺の動きが早くなったのに驚いたのか、オークがおかしな声を上げていた。


……よし、は出来てるな。


俺は今まで、感情によって出せる力の度合が変わっていた。


オークキング、

ジャックス、

頭領などと戦った時は、本気で怒っていた。もしくは、本気で殺そうと思っていたかの二択だった。


それ以外の時は、本気は出しているが、イマイチ物足りない。そんな感じだった。


それがエレンとの訓練で自由にコントロールしようとしていたが…………難しいな。少しは出来ているが頭領との戦いほどじゃない。


よし、終わらすか!


「青炎豪槍!!」


「グフッ……………」


よし、やったか!?


俺がそんな事を思っていると、煙の中から燃えているオーガが突進してきた。


「グハッ!!」


クソッ……………気を抜いていた…………


ヤバい、オーガの力が強すぎてアバラが何本か折れてしまった。


「ググッ…………」


俺の状態を見て、勝利を確認したのか。オーガがゆっくりとこっちに近づいてきた。


「……クソッ。これは完成するまで使いたくなかったんだけどなぁ…………」


俺は2日前、イオさんに見せてもらった技がある。


「見様見真似でまだ荒いが…………!!」


俺がそう叫ぶと、オーガの足元から無数の子鬼が出現した。


「ググ?」


オーガが「コンナ雑魚を出してどうした?」って顔をしている。


違うんだよなぁ。この技の怖さはこれじゃない。


「―――――ッ!!?」


突然、オーガが焦り始めた。


……そうだよオーガ。この技は、動けないんだ。

この技にハマった人の足元に無数の子鬼が張り付いて離れない。

そこを大量の子鬼が攻撃する。


「…………グフッ……………………」


ドスンッ!!……………………


子鬼達の攻撃で死んでしまったのか、オーガが倒れて動かなくなってしまった。


「ということは…………俺の勝ちか」


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