第65話 大会直前
チュンチュンチュン…………
「…………ああ、憂鬱だ…………」
……え?なんで憂鬱かって?
そんなん決まってるだろ!今日はアイリーンの護衛をしなくちゃいけないんだぞ!?
……ああ、行きたくない。二度寝したい。ゲームしたい。ps5したい…………
「……レオン様。布団に包まらず起きてください。今日はアイリーン……様の護衛でしょう?」
「ああ、そうだよ!けどさ、なんでそんな事で俺が1時間以上早く起きなくちゃいけないんだ!」
ああ、神よ教えてくれ。もうこの際、あの自称神様でもいい。
助けてくれ〜!
「……レオン様、レオン様は極力目立たずに、手柄は全部アイリーンがやったことにしましょう」
「…………ん?なんでだ?」
極力目立たないようにするのは分かる。でも手柄をすべてアイリーンにわたすって?
「まず、レオン様が本気を出したら必ず大事になります。なんてたってまだ6歳児ですもんね。そして手柄をアイリーンに譲る目的はアイリーンを優秀に見立てるようにです」
「……優秀に見立てる?」
なんで?
「もし、アイリーンがレオン様の手柄を取り、表面はレオン様以上の強さを手に入れたらどうなると思いますか?」
いや〜、どうなるったってな…………
「いや、俺には分からな…………あ!もしかして!」
「そうです。アイリーンが優秀になったら…………家庭教師要らなくなりますよね」
ヒャッホーイ!!
「よし、そうと決まれば即出発だ!……ハハッ、楽しみになってきたぞ〜!」
よし、もしかしたら家庭教師生活から開放されるんだ!
(ホントはレオン様が目立たないようにするには他の理由があったんですよ…………もし、レオン様の『邪神の呪い』が無くならなかったら?
普通の人の10倍努力しなくちゃいけません。そんな事できるわけないんです。一日は24時間しか無いんですから。
そうしたらレオン様は秀才止まりになります。
…………なにか、邪神の呪いを解く事ができたら…………)
ビートは密かにそう思った。
「……それじゃあビート、行くか!」
「分かりました」
俺達は馬車に乗って集合場所へ向かった。
ーーーーー
「いや〜、かなり遠かったな」
「そうですね。5時に出発したのに今は9時前ですよ」
俺たちは家から百キロ以上離れた森に居る。
「……なあビート」
「なんですか?」
「道、こっちであってるのか?」
「……多分あってると…………」
そうか。
「もう一度言う。この道であってるんだな?」
「…………多分…………」
そうか。
「俺たちは会場まで行くのに…………ゴブリンの集落を通過しなくちゃいけないんだな!?」
「スミマセン!迷いました!」
だよね。知ってた。
なんか急に獣道を行くし、崖と崖を綱渡りみたいに移動するし、さらに、魔物には大量に遭遇するという、アタオカバーゲンセールだ。
完全に貴族がすることじゃない。うん。絶対に。
「…………はぁ、折角だし、壊滅させるか」
「……え?レオン様のステータスじゃ到底無理が―――――ッ!!」
ビートが俺のことを止めようとした瞬間、俺はゴブリン達を吹き飛ばしていた。
「ふぅ、結構削ったな」
「……なんでそんなに強いんですか?そのステータスでは到底敵わないはず………」
「それは…………身体強化の賜物かな」
「…………そうですか」
一見ビートは納得したように見えたが……
(いや、身体強化にこれ程のパワーアップは無いはず……もしかして、身体強化の影響で邪神の呪いが一時的に解けている?)
ビートはそう考えた。
「……なあ、今から試合開始までどれぐらいある?」
「10時からの開催なので…………1時間ぐらいはありますね。なんでそんな事聞くんですか?」
「それは…………」
俺は一時間で回復する量のMPを使って魔法を放った。
「威力調整の為かな?」
「……以上なほど強いですね。なんの魔法を放ったのですか?」
「これは
流石にそれは真似されたら嫌だから。
「……そうですか…………それじゃあ行きましょうか」
「……ビート、そっち多分俺たちがさっき来た道」
「……………………」
いや、執事なのに迷わないで?ドジっ子属性求めてないから。
「ちょっと地図かして…………あ、すぐそこじゃん」
俺たちは……さっきまで会場を囲むようにぐるぐると探索していたんだな。
「それじゃあ会場に行くか」
俺たちは会場に向かった。
ーーーーー
お、受付が見えたぞ!
「あの〜、受付をしにきまし「キャアアアアアアァァァァァァァァ!!」……びっくりした」
なんで急に叫んだんだ?
「き、君?怪我してない?」
え、怪我なんて……あ!この血の事か!
「スミマセン、これ、返り血なんです」
「返り血って…………何をしたらこんなに……」
いや〜、ゴブリンの集落を壊滅してきまして……なんて言えるわけがない!
ここは……
「たまたまゴブリンの集団に出会いまして、倒して時に着いたんです」
「そうだったのね〜……それで、なんでここに来たの?」
「あ、今からやるヤツに参加するので」
「……この大会はね?4つの貴族と、それの師匠しか参加できないの。だからごめんね?」
「……俺、アイリーンの家庭教師ですけど……あ、レオンと言います」
「…………いくら嘘でも侯爵のご令嬢を呼び捨てだなんて!それにアイリーンの家庭教師は……ん!?ホントにレオンって書いてある!しかも6歳!?」
だからゆったじゃん…………
「し、失礼いたしました!ど、どうぞお通りください!!」
「じゃ、お言葉に甘えて」
変に時間を食ってしまったな。
「危なかったですねあの女」
「ん?なんでだ?」
危ない要素はなかったように見えたが?
「後少しでも足止めを喰らったらあの女を殴っているところでしたよ」
「あ、危なかったってそっち?お前が暴力を振るっちゃうのね?どちらかというと危ないのはお前だよ?」
そう言うとビートは黙ってしまった。
あ、こりゃあ後でビートの機嫌をとらなくちゃな。
俺がそんな事を考えていると後ろから何かがぶつかってきた。
「僕は〜♪それを左へ受け流す〜♪」
「グハッ…………」
俺にぶつかてきたもの、通称アイリーンは見事に木にぶつかった。
「イテテテテ……なんで避けれるの?」
「さあ、なんででしょう?」
そういう気配の読み方は暗殺者の所で習ったからな。
「……レオン、もうちょっとで大会始まるよ?」
「分かった、準備する」
ああ、面倒くさいな〜。でも、もしかしたらアイリーンの家庭教師をやめれるかもしれないんだし、頑張るか!!
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