第60話 専属執事



チュンチュンチュン………………


「……うぅ…………もう朝か……」


……クソッ、アイツの家庭教師で時間を食って訓練ができなかったから夜に練習したんだよな……頭痛い…………


「「「「「おはようございます!レオン様ってもう起きているのですね」」」」」


「そうだよ。朝食を用意して」


「かしこまりました!…………その前に少し言わなくちゃいけないことがありまして……」


「何だ?」


言わなくちゃいけないこと?


「今までレオン様に専属の執事が居ませんでしたよね」


「……そうだな?」


今まで疑問に思わなかったがそう言われたらそうだな……


「今まで我々が執事を極秘で探してたのですが中々見つからなくてですね……」


「ほ〜う」


それで?


「でも先日!いい人材が見つかったんです!」


「ほうほう。ソイツは?」


「ホントは今紹介しようと思ったのですがソイツがここに到着するのが昼ごろでしてね…………今日は家庭教師を早めに終わらしてきてください」


イェ〜イ!今日は早く帰れる〜!!


「よし、今日は豪華な飯で!」


「……料理長に相談してきますね」


今日はいい日だな〜





ーーーーー





「それじゃあ行ってきま〜す!」


「「「「「行ってらっしゃいませ、レオン様!」」」」」


「今日は上機嫌でいられる―――――ッ!!」


「グフッ…………」


……せっかくいい気分だったのに…………


「随分勢いがある歓迎だな」


「……今日こそ吹っ飛ばせると思ったのに…………」


「もう良いから早く行くぞ」


「分かった!!」


俺達はアイリーン宅へ向かった……

けれども、まさかあんな事になるなんて、誰も思わなかった…………





ーーーーー





「…………おい、お前どういう事だ?」


お前は一体何をしたいんだ?


「……戦略の幅を増やしたくて……」


「そうか、お前は戦略の幅広げて味方を殺りたいんだな?」


「い、いやそういうことでは…………」


「じゃあこれは何だよ!!」


ここには、


俺と

アイリーンと…………


血の海があった………………


どうしてこうなった!?





遡る事数分前…………





俺達は訓練を始めようとしていた。


「よし、訓練始めるか!」


「その前にちょっといい?」


「ん?何だ?」


「私、ずっとレオンに負けてるじゃん?」


「そうだな」


そりゃあ年期が違うからな。年期が。


……あれ、前もこんな話した気がするな…………


「それで思ったんだ。もしかして、手数を増やしたらレオンに勝てるんじゃないかなって」


「…………ほう」


「それで考えたの!私、遠距離の攻撃方法を学びたい!」


「……お前、前回この話してどうなったか分かってるのか?」


「……スミマセン…………でも、どうしても遠距離攻撃を学びたいの!」


「何でそんなに遠距離攻撃が好きなんだ?」


お前はゴリゴリの近距離タイプだろ?


「私、昔から遠くから敵をやっつけるのに憧れてて……」


……ああ、自分ができないことに憧れる感じね…………


「お願い!私に遠距離攻撃を教えて!」


「……………しょうがない、教えてやろう」


「ホント!?」


でも教えるにしてもな……何を教えたら良いか…………


あ!


「……お前には弓を覚えてもらいたい」


「……なんで弓?」


「はっきり言うがお前の戦闘中の集中力は凄い。それを弓に活かせたら凄いと思ってな」


「へ〜」


「それじゃあ今から矢を的に当てる練習をしよう」


「やった〜!」


こういう時は年相応に喜ぶんだな。


戦う時は歴戦の猛者見たいな風格なのに……


「それじゃあ弓を構えてあの壁に矢を当ててみろ」


「分かった!」


さ〜て、アイツは弓を打つのがうまいのかな?……まぁ、あの集中力を活かせたら大丈夫だろう……


「ふうぅぅ……………………」


お、凄い集中している!!


「えいっ!」


「おお!」


凄いな!結構速いスピードで弓を射れているぞ!

おお!カーブまでできるのか!!


…………ん?カーブ?


何か、前にもコンナ事が会った気が……


カーブをしている事におかしいと思った時にはもう遅かった。


「―――――グファ!!」


「あ、レオン!!!」


何で目の前に弓を撃って後ろの人に矢が直撃するんだよ…………


ああ、太ももが痛い……しっかり刺さってる……


俺は気づくと一面、血の海ができていた。


クッ、頭がクラクラする。


取り敢えずナイフを抜いて……


「……クッ!!」


「レオン!!……血が……沢山!!」


血なんて魔物を倒した時にいっぱい出るだろ、今更驚いて……


「取り敢えず……キュアル!」


俺がそう唱えた瞬間、傷口がみるみる良くなっていく。


壁に刺さるように小型の鋭い矢じりにしといて良かった。

鋭くて傷口があまり開いてなかった……


でもなぜか体からの脱力感が大きくなってきている。


何故だ?


あ!そうだ!俺実践用のヤツ渡したんだった!!

あれ、矢じりに毒入ってる!!


「え〜っと毒に効く回復呪文は…………あ!思い出した!ポイキュア!!」


そう唱えるとめまい、吐き気、脱力感が徐々に収まっていった。


良かった〜!無事に治って!!…………けれどもな!


「デジャヴュがよクソが!!!」


「誠に申し訳有りません!!!」


それで今に至る…………





ーーーーー





「もうお前、遠距離禁止な?」


「え〜!!何で!?」


「そうか。何でか。この血溜まりを見てもそう言えるんだな?」


俺は笑顔で言い放った。


「それは…………」


「取り敢えず、俺はもう帰るから。また明日な」


「……う、うん。また明日…………」


よっしゃ〜今日は正午で帰れる〜!


よし、執事を雇えるぞ〜!!





ーーーーー





「ただいま!!」


「「「「「おかえりなさいませ、レオン様」」」」」


「それより執事は?」


もう、楽しみで仕方がないんだが?


「そう焦らないでください。まずから紹介しますから」


「…………ん?一人目?」


もしかして複数人居るのか?


「あ、言ってませんでしたね。レオン様専属の執事は2人居るのです。まず一人目から紹介していきましょう。こちらに来てください!」


使用人長がそう言うと廊下から足音が聞こえてきた。


「彼は王宮でも働いていた超エリートでございます」


「おお!」


超エリートか!


「はじめましてレオン様。私はこれからレオン様の執事を務めさせていただきます。ビートと言います。お見知りおきを」


「おお!」


超エリートね……


何か、子供っぽくない?


「話しやすいように歳は近いようにしました。一応11歳です。あと少ししたらレオン様と5歳差になりますよ」


「ほうほう……」


「そして、二人目の登場です」


「今度は誰かな〜?」


できるだけ同年代が―――――ッ!!


「はじめまして……いや、お久しぶりですね。レオン様」


「お、お前は!?」


俺の目の前には、俺何かより、断然早く、暗殺の腕が良い…………


「またあえて嬉しいです。レオン様」


「ギルファ!?」


そこには元暗殺者、ギルファ・エーミールが居た……

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