第59話 家庭教師 2



「グハアアアァァァ!!」




ーーーーー





「グフッ!!」





ーーーーー





「グファ!!」





ーーーーー





「ブファッ!!」


「……また俺の勝ちだな」


これで俺の30連勝だ。


「……強いな」


「……お前とは質が違うからな」


「言ったな!?」


ああ、お前とは質が違うよ……お前の方が高質だ。


俺とお前が戦う度にお前は強くなっている。流石天才だな。


成長の幅が凄い。

俺の十倍近くのスピードで成長している……


俺なんかすぐに抜かされてしまうな…………


「……少し、休憩しようか」


「分かった」


もう、30回連続で戦うのはちょっときついな。

MPも心もとない量になったし……


「よし、俺はレベリングに……「ちょっと待って!」……なんだ?」


俺は早くレベルを上げに行きたいのだが?


「休憩するのにいいところがあるの。着いてきてくれる?」


「やだ」


「何で!?」


そりゃあ……レベリングをしたいからだろう?


「俺はレベル上げをしたいんだ。お前は休んどけ」


「い〜や〜だ〜!私はレオンと一緒に休憩するの!」


アイリーンが泣き喚きながら言ってきた。


そのせいか、周りの使用人達が続々と集まってきている。


ああ〜!面倒くさい!


「分かったよ!行けばいいだろ?行けば!」


「うん!」


まるでさっきの涙が嘘だったかのような満面の笑みでそう返事した。


…………いや、さっきの嘘泣きだったんじゃね?

俺は密かにそう思った。





ーーーーー





「ジャジャ〜ン!!ここが私の家の庭だ!」


「お〜!自然豊かな庭だな」


床に咲いている満開の花

蝶などの可愛らしい虫たち

何より凄いのがこの木!


中央にでっかい木が生えている。


「この木、凄いでしょ?初代の人がこの木を気に入ってここに屋敷を立てたんですって」


「へ〜」


この木目当てで屋敷を立てたのか。よっぽどこの木がスキだったんだな。


「使用人、あれを持ってきて」


「かしこまりました」


「……ん?あれって?」


「フフッ、秘密!」


なんだ?気になるな…………


「……お持ちしました」


「ありがとう!」


「……それは?」


何だそれ達は?


俺の目の前には


飲み物

はちみつ

ロウソクがあった。


「フフッ……これはね、全てこのお花を使って作ったものなんだ!」


「へ〜、凄いな……」


「でしょ?ちょっとこの紅茶、飲んでみて?」


「……じゃあ、お言葉に甘えて……………」


ゴクッ……


「……美味いな」


「でしょ!この蜂蜜も美味しいし、ロウソクもいい匂いがするって評判なのよ!」


「……ん?評判?売っているのか?」


「うん!ここの領地の人達にたまに売ってるわよ。でも、取れる量があまり多くは無いから市場に流通することはあまり無いけどね」


「そうだったのか」


「せっかくだし、持って帰ってよ!」


「いいのか?」


正確な値段は分からないが、結構値が張るものだろう?


「いいよ!私の家庭教師をやってくれてるし……全て無くなったらまた持って帰っていいからね!」


「……ありがとな」


「……うん!」


いや、毎日これを食べれるとしたらいいぞ?

よし、毎朝パンに塗って食べよう。


「……それじゃあほどほどに休憩したし、授業始めるか!」


「分かった!」


やっぱり戦闘時以外は年相応の対応何だよな…………





ーーーーー





「もう、お前の家庭教師なんてやりたくない!」


「なんで!?」


「当たり前だろう!?お前さっき俺に何した!?」


「それは…………」


俺の目の前には……………………血の海ができていた。


なんでこうなったんだ!?


遡ること数分前……





ーーーーー





俺達は訓練を始めようとしていた。


「よし、訓練始めるか!」


「その前にちょっといい?」


「ん?何だ?」


「私、ずっとレオンに負けてるじゃん?」


「そうだな」


そりゃあ年期が違うからな。年期が。


「それで思ったんだ。もしかして、手数を増やしたらレオンに勝てるんじゃないかなって」


「…………ほう」


「それで考えたの!私、遠距離の攻撃方法を学びたい!」


「魔法を学べば良いんじゃないか?」


「……私、魔法が下手でさ…………」


「ああ……」


察せるわ。多分コイツは筋肉馬鹿なんだろう。魔法見たいな小難しいものはできないんだろうな。


「……それじゃあナイフはどうだ?」


「ナイフ?私は遠距離を学びたんだよ?」


チッチッチ、分かってないな……


「ナイフは近距離で使うだけじゃない。投げることだってできる。そのナイフに色々な仕掛けを施したら戦略の幅が広がるぞ?」


「…………それいいね!やってみたい!」


「それじゃあ今からナイフを的に当てる練習をしよう」


「やった〜!」


こういう時は年相応に喜ぶんだな。


「それじゃああの壁にナイフを投げてみろ」


「分かった!」


さ〜て、アイツはナイフを投げるのはうまいのかな?


「えいっ!」


「おお!」


凄いな!結構速いスピードで投げれているぞ!

おお!カーブまでできるのか!!


…………ん?カーブ?


カーブをしている事におかしいと思った時にはもう遅かった。


「―――――グファ!!」


「あ、レオン!!!」


何で目の前にナイフを投げて後ろの人にナイフが直撃するんだよ…………


ああ、太ももが痛い……しっかり刺さってる……


俺は気づくと一面、血の海ができていた。


クッ、頭がクラクラする。


取り敢えずナイフを抜いて……


「……クッ!!」


「レオン!!……血が……沢山!!」


血なんて魔物を倒した時にいっぱい出るだろ、今更驚いて……


「取り敢えず……キュアル!」


俺がそう唱えた瞬間、傷口がみるみる良くなっていく。


壁に刺さるように小型の鋭いナイフにしといて良かった。

鋭くて傷口があまり開いてなかった……でも…………


「もう、お前の家庭教師なんてやりたくない!」


「なんで!?」


それで今に至る…………





ーーーーー





「おねがい!やめないで!!」


アイリーンが今すぐにでも泣きそうな顔をしていた…………


「……分かったよ、やめない。……結局使用人長のせいで辞める事はできないしな」


「ホント!?やった!!」


「でも今日は帰らせてもらうぞ?流石に貧血で疲れたのでね」


ああ、クラクラする……


「……うん。お大事にね…………」


ああ、しんど……





俺はおぼつかない足取りで家に帰った……


「ヒャッハー、お前、英雄の息子だろ?誘拐してや――――グファァ!!」


途中変な誘拐犯に会ったが、傭兵の所に突き出しといて帰った……





一方、アイリーン宅…………



そこでは使用人達が騒いでいた。


「オイ!俺達の癒やしの庭に大量のう◯こがあるぞ!?」


「これをお嬢様に見られたら殺される!早く処理しろ!!」


「ヤバいです!なんか動かないう◯こあります!」


「もう、何でだよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


アイリーン宅では使用人たちの悲鳴が響き渡ったとゆう………………


え?俺の仕業だって?


そんなの知らねえよ♡


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