第三章 地元騒ぎ

第57話 え、カテキョ?



チュンチュンチュン……………………


「「「「「おはようございます!レオン様!」」」」」


「うるさっ!……もうちょっと静かにならんかね?」


毎朝これだと思うと夜しか眠れんよ。


「それはレオン様があんな真夜中に帰ってきたからですよ……」


あんな真夜中って……………………


俺は昨日、家に帰ってきた事を思い出した。





ーーーーー





俺達は10数時間かけて家に帰った。


イオさんは自分の家へ。


セラも自分の家へ。


アテネは行く宛が無いのでイオさんの家に行くそうだ。


ギルファは自分の住処を探すらしい。流石俺の配下だ。俺よりしっかりしている。

…………ん?俺よりしっかりしている?


……ギルファに見限られないように頑張らないとな…………


そんな事を考えているといつの間にか俺は家の前に居た。


「…………た、ただいま〜」


「――――――ッ!!!?レオン様!?よくぞご無事で!!!」


家に入ると俺は使用人長に涙の歓迎をされていた。


「レオン様!今までどこにいらしたのですか!?」


「ちょっと下手こいて誘拐されてな。暗殺者の所にだ」


「暗殺者の所!?ちょっとまってください!今、ケイン様を呼びますので!」


え、ケイン〜?またグチグチ言われそうだな…………


そんな事を思っていると向かいの大きい扉から、豪快に扉を開けてケインが出てきた。


「レオン!今までどこに居ていたんだ!?」


「スミマセン父様。ちょっと暗殺者の所に誘拐されていてですね……」


「暗殺者!?もしかしてあのじゃないだろうな!?」


「ん?テルセミス?」


初めて聞いたな……


「レオン様。テルセミスとは大きな暗殺者集団で通称、頭領というものがそこを仕切っていると言われています」


「へー…………頭領ね…………え、頭領!?」


「知っているのか!?」


「知っているも何も……さっきまで俺が壊滅させた場所何だけど……」


「へ?」


「へ?」


「「「「「へ?」」」」」


へ?


…………俺は詳しくその事について問い詰められた。


でも本当の事は言わなかったよ。一応、俺は大群を仕切って頭領を倒したとだけ言った。5歳の俺が頭領を倒したと言われるとびっくりされるだろうからね。


でも捏造したことを話すとケインは…………


「お前は将来この国の軍師になるかも知れないな」


と言われた。


全く……勘弁してくれよ……やっぱり男に生まれたなら一国の王ぐらい目指さなくちゃな!できないと思うが……


そして俺は皆に心配されながら床に着いた…………





ーーーーー





「いや〜、昨日は濃い一日だったな〜」


「濃い一日だったな〜っじゃないですよ!どれだけ心配していたと思ってるんですか!」


「ごめんごめん。取り敢えず料理を用意してくれるかな?説教はその時に聞くからさ」


「……分かりました。料理をお持ちします」


ほっとしたのも束の間、その後俺は1時間ぐらい説教を受けた。


なんか、


「英雄の息子に生まれたなら誘拐者ぐらいはねのけろ」とか


「英雄の息子としての誇りは無いのか」とか


英雄の息子、英雄の息子って馬鹿の一つ覚えみたいに……俺は英雄の息子であって英雄じゃないっつうの!


もうここには居たくないので外に出た……


「いや〜、しんどいな。。前より重くなってるんじゃないか?」


俺は昨日、家に帰る前にコドンの所に寄った。


そしたら腕に付ける5キロのバンド二つ、足に付ける10キロのバンド二つをもらった。

せっかくもらったんだから付けなくちゃいけないな〜と思いながら今泣きかけてる。


なんでこんな事をしなくちゃいけないんだ!


……俺は最近、あそこで暮らしていたからか忘れていた。

アイツの存在を…………


「おはよう!レオン!!」


「―――――ッ!!……あ、ヤバ」


俺は毎朝突進してくるアイリーンの存在を忘れていた。

気を抜いていたし、なによりこのリストバンドのせいでその事を忘れていた。


そのせいで俺は今、池に落ちようとしている。いや、もう確実に落ちるな。


バシャァァァァァァァン!!……………………


そんな大きな音が俺の家の近くで響き渡った。


「あ、ごめんレオン!」


「なんて事してくれてんだ……でも泳げば―――――ッ!!」


クソッ思うように泳げない!……リストバンドのせいか!!

いや、よーく思ってみるとアイリーンのせいだけどな。アイリーン許すまじ!!


「うわぁ〜ん!誰かレオンを助けてよ〜!!」


なんでお前が先に泣くんだよ!泣きたいのは俺の方だっつうの!


……なんかここから上がる方法は無いのか!?


そうだ!風魔法と水魔法で上手く水流を作れば!!


「……はぁ、はぁ、上がれた……」


結構水の中で魔法を使うのは難しいな……ヤバい、意識が遠のく…………


俺はやっと水から上れた所で意識を失った…………





ーーーーー





「…………うっ……ここは?」


俺は目が目が覚めると目の前には豪華な天井が写った……


「ん?俺が知っている天井じゃないぞ?」


ここはどこだ?


部屋を見渡してみると豪華な花瓶。

高そうな絵画。

輝いている家具。

俺が今寝ている寝具だってゴージャスだ。


「……一回部屋の外に出てみるか」


ガチャ…………


さーて、誰か居るかな〜……


お、使用人らしき人を発見!


「あの〜すみません。ここどこですか?」


「―――――ッ!!侯爵様!レオン様が起きました!!」


ん?侯爵様?


「ささ、レオン様。どうぞこちらへ」


俺は言われるがままに従った。


「レオン様。どうぞお入りください」


「おお……豪華だな」


さっき俺が寝ていた部屋より数倍豪華で広い部屋だ……


「レオンくん。どうぞおかけになってくれ」


一応子爵の息子をくん付け呼ばわり……この人が侯爵か…………ただならない気配を感じるな。


「凄いな、想像以上だ。五歳で相手の力量を見極められるとは……流石英雄の息子か」


またでたよ英雄の息子。この肩書きどうにからなんかね?


よ〜く部屋を見渡して見るとウチの使用人長も居た。


「レオンくん。座ってくれないか?話が始められない」


「あ、すみません」


……話とは?


「まず一つ目だがレオン君。私の娘、アイリーンの不祥事でレオン君を命の危機にさらしてしまったこと、謝罪する」


そう言うと侯爵さんが頭を下げた。


「やめてください。侯爵さんの頭は軽くないでしょう?」


「……ハハッ、5歳でそんな事を気にする事ができるとは……これはやっぱりしか無いね」


「……頼む?」


何をだ?


「レオン君。アイリーンの稽古を付けてもらえないか?」


「…………へ?」


「自分でも言うのは何だがここは代々優秀な剣士を排出していてね。自分はここの当主なのさ。自分が稽古を付けたら一番良いんだろうが、侯爵なので忙しくてね、娘にかまってあげられないんだ……お願いだ!稽古を付けてやってくれないだろうか!もちろん、給料は払う!」


「いや、自分はお金に困っておらず、時間に困っていてですね……」


やっぱ、お金より時間が大切だわ。


俺が拒否しようとすると使用人長が……


「これはこことの繋がりを強固にするチャンスです。しかも恩が売れます。これを断る理由はないですよ!」


俺が断る事を見越してか、圧をかけて来た。


クソッ、これじゃあ断れないじゃないか!


「……わ、分かりました…………」


俺は仕方がなく了承してくれた。


「ありがとう!うちの娘に話しておくね!」


今日から俺の家庭教師生活が始まった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


スミマセン!読者様!アイリーンがウザいからって帰るのはやめてください!

いつか、いつか天罰が下りますから!(天罰=作者権限乱用)

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