第55話 レオンvs頭領 2



頭領が薄ら笑いを浮かべたまま、口を開いた。


「ほらほら、戦いの最中に気を抜いたらダメだろ?爺さんに習わなかったか?……ああ、爺さん雑魚だからそんな事を学ばないか。ごめんごめん、聞いただけ無駄だったわ」


「あ、ああ…………」


何でこんな奴に爺さんは負けたんだ?


こんな奴に……


こんな奴に!!


コンナヤツニ!!


《熟練度が一定に達しました。怒り|9⇨激怒に進化しました》


体が軽くなる感じがしてくる……それと、頭の中にナニカが入ってくるのも…………


……ああ、今なら……何でも出来そうだ…………


「どうしたんだ、急に立ち上がって?大丈夫、そんな状態で立ち上がっても意味がない―――――――ッ!!?」


凄い。さっきまでやられるだけった攻撃が今は簡単に避けれる…………


……もっと、もっとだ!!もっと血を!!


頭の中に知らない人が出てきた。


「モット、モットダ……血ヲ!!」


「……そういう事か。お前、怒りが激怒に進化したのか…………それじゃあ手遅れだな。怒りは使い過ぎると精神が壊れる……激怒は使いすぎると精神が乗っ取られる……今までの激怒の持ち主達にな」


ア?ダマレヨ……


「ウルサイ!!……血ヲ!血ヲ!!」


ヤバい……体が思うように動こない…………


「でもな……それはただ力が強いだけだ…………技術が無いな…………」


何デ当タラナイ!?


……力が欲しいか?


何だこの声は……?


……力が欲しいか?


……ああ、欲しいさ!アイツをぶっ殺せるぐらいの!!


それじゃあ体を貸せ!!


は?そんなのいやに決まって…………いや、もう別にいいさ。アイツを倒せるならな…………


分かった!!


「グッグワアアアアァァァァァ!!!」


「な、何だ!?」


「殺ス、殺ス、殺スウウゥゥゥゥゥ!!」


「チッ、完全に思考を乗っ取られたか!……大幅に強化してるな…………」


殺ス、殺ス、殺ス!!


「死ネ!!」


「グフッ!!」


血、血ガ沢山!!


「死ネ……」


「チッ、もう負けか……最悪だ…………」


「…………じゃねぇ…………」


「ん?」


「勝手に俺の体、使ってんじゃねぇ!!!」


もう散々だ!!


「俺はな、ただお前が死んで満足するわけでは無いのよ!!俺はお前を殺してやっと、満足できるんだよ!!」


「……激怒を振り切るなんてな…………異常だろ…………」


「あいにく、精神力だけが俺の取り柄何でね!!……第二ラウンドだ!!」


「ああ、お前を殺してやるよ」


「それは俺のセリフだよ……青鬼炎化!!」


俺の周りを青白い炎が包んだ……


「暴風装!!」


チッ、暴風装か…………でもそれ、悪手だぞ?


「……?何でこんなに出せる風が少ないんだ?」


引っかかったな。


「クックックッ……何故か教えやろうか?俺はずっと、無駄に火の魔法を使っていた。何故だかわかるか?今の時代、小学生でも分かるぞ?酸素を燃料に燃やしていたからだ……その魔法、結構な集中力がいるよなぁ?こんな酸素が薄い所でそんな大層な魔法、使えねぇよ……」


そんなちっぽけな風……そよ風ぐらいじゃないか?


「すまねぇな、頭領。死んどけカス」


「グファアアァァァァァァァ!!」


ずごおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ……………………


そんな轟音が鳴り響いた…………


やったか!?


「…………クソッ……モロに喰らってしまった…………!!」


「……ん?最強じゃないといけない?」


どういう事だ?


「黙れ!もう、手段は問わない!!ぶっ殺してやる!!」


「手段は問わないって――――ッ!!?」


頭領が小型のナイフを投げてきた。


……これは……毒を塗ってあるのか?


「よそ見をするな!!」


「グハッ!!」


速い…………


「でも、まだ目で追える!うをおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「遅い!」


「グフッ……」


……クソッ、強い…………


「……頭領、お前は強いよ…………でも、ごめんな?俺達、人間には力だけじゃなくて、頭がある。頭領、昨日、この部屋で誰かが居たような気がしないか?」


「ん?何を言って――――ッ!!」


俺は頭領が止まっているスキに鬼の手を召喚していた。


「俺にこんな事が効かないのは分かってるだろう!?何で俺をこんなに押して……」


「頭領。お前、知ってるか?昔、とても協力な爆弾を作った人が居たんだ。ソイツはノーベルって言うんだソイツが作った物がな……いや、知識だけしかなかったけど、決戦前に完成して良かったよ。これはホントに使いたくなかったがやるよ……」


俺は巨大なファイヤーボールを頭領に投げつけた。


……いや、頭領の後ろにある、に……


「こんなの、避けれるに決まって「そうそう言うのを忘れてた」……?」


「ノーベルが作った物を教えてやる………………ダイナマイトだ」


「ダイナマイ――――――――ッ!!!!」


ゴオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……………………!!!


頭領がそう聞いた瞬間、爆ぜた。頭領の後ろから……


……よし、やったな。


「帰るとするか…………」


俺がそう口ずさんだ瞬間、頭領が居た所から、声が聞こえた。


「おれば……じゃいぎょうじゃな…………ぎゃだめなんだ!!」


喉が焼けてしまったのか、まともな発音はできなくなってしまっていた。


「チッ、爆発地点が少し遠かったか」


「こ、殺してやるうぅぅぅぅぅ!!」


「それはこっちのセリフだ!」


これで最後だ!


「暴風豪速!!」


「青炎慶雲ノ太刀!」




















先に膝を着いたのは………………頭領であった。


「グハッ!!」


「グフッ……」


……やっと…………勝てた………………


「……俺は……最強でなければあああぁぁぁぁぁ!!」


「……何で最強でなくちゃいけない?」


一体なんでなんだ?


「それは…………」





ーーーーー





「お前、また一位を取れなかったらしいな…………」


「……はい、すみません」


俺はいつも、一番じゃないと叱られていた……


「いいか?努力を怠るな!」


「……はい」


俺はずっと頑張ってきた……雨の日も、雷の日も…………


けれども俺は一番にはなれなかった……


「……そうか。分かった」


俺の結果をみると次第に親父は俺の事に対して無関心になっていった。


俺は、一番でなくちゃいけない!

俺は、最強でなくちゃいけない!


俺は、最強になるために………………いや、親父にいつか…………


『よく、頑張ったな』


そいってもらえるように、努力してきた。



……………………ああ、俺はその目的を失ってしまったんだな。


大切な親父ザムエルと共に…………


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