第54話 レオンvs頭領 1
「よし、ちょっと休んだし、頭領の所へ行くか!」
無事、ギルファ達の戦いも終わったようだしな。
……そうだ、そうだ、いってなかったな。召喚魔法の事。
最近気づいた事なんだが……
自分の力が上がると、召喚獣の力も上がる。これはステータスに表示されないな。
もう一つ、召喚した者が死にかけた場合、なんとなくだが分かるようになっている。あまり離れ過ぎたらわからないがな。今は階層が一つ違うだけだから分かりやすい。
なんとなくだが、ルークが死にかけているのが分かった。だが、その後に治療した奴が居るようだ。ルークが回復しているのが分かる。
「……さて、頭領の部屋はここだよな…………」
今、俺の目の前には豪華な扉があった。
「普通に開けるか…………」
ふと、ジャックスの話が頭に浮かんだ……
『ザ、ザムエルの事は頭領が命令したんだ!俺はと、頭領に命令されただけなんだ!た、助けてくれええぇぇぇぇ!!』
「――――ッ!!」
ばごおおおぉぉぉぉぉ…………………………
貴族の家と同等、いやそれ以上の豪華な部屋に轟音が鳴り響いた……
「……扉を壊して登場するなんて大層な登場だな。レオン」
「なぁに、ノックの仕方を間違えただけさ」
「……今更だけどさ、君。寝返る気は無いか?」
「お前、ふざけてんのか?」
「ふざけてなんかいないぞ。俺は何時だって本気だ」
「そうか。なら……死ね」
俺はありったけの魔力を込めて、放った。
「……子供の遊戯でもやってんのか?いや、子供か」
「まるで俺が今まで魔法の使い方を分かっていない言い方だな」
「そうだ。お前はやっぱり魔法を舐めているようだな。魔法はな、一見誰にも見える様に見えて、ちゃんとした魔法を使える人は一握りだ…………特別に俺が魔法を教えてやるよ」
頭領がそう言った瞬間……
「グフッ……」
俺が壁にめり込んでいた……
今、アイツは何をした?
腹……腹はまだあるよな?……よし、大丈夫だ……
大丈夫、目には追えていた。じゃないと今、腹には大きな風穴が空いているはずだ……
戦える……まだ、戦える…………
「ふぅぅ…………ふぅぅ…………」
息を整えて……
身体強化
視覚領域拡張
感覚領域拡張
鬼化
鬼剣
鬼炎化
そして『怒』 発動!
「はぁぁぁぁ!!!!」
俺は全力で拳を振るった。
「……まるで、鬼だね」
「あ゛?」
何言ってんだお前?殺すぞ。
「君、『怒』を使ってるね?」
「……それがなんだ?」
「……その危険性を、知らない訳ではないだろう?」
「…………知らねぇよ」
俺は鬼気迫る勢いで頭領に襲いかかった。
完全に頭領は防御に遅れをとったはずだった。
それでも俺の攻撃は頭領に当たらない。
「知らない?君は鑑定の力を持っている。知っているはずだ。もし本当に知らないんなら教えてやろう。怒の能力はね、身体能力は上がるが、精神を侵されるんだよ。使ったら、使った分だけね。君みたいな子供ならもう頭がおかしくなっているとこだろう?」
黙れよ…………
「…………知らねぇよ、知らねぇんだよ!!そんな事でな!俺の気持ちが抑えられないんだよ!爺さんは何で死んだんだ?お前が殺したんだろ!お前だけは絶対!許さない!!!」
ぶっ殺してやる!!
「お前が俺に勝てるわけ―――――ッ!!?」
「見せてやる。これが俺の、最大到達点だ」
俺は本当の、本当の奥の手を使った。
「……なんだその……魔法は!!?」
俺の手の上には、青白い炎があった。
「お前に教えるわけ無いだろ?……死んどけゴミが」
俺の全力、喰らいやがれ!!
「青炎ノ骸螺旋!!」
「グファアアァァァァァァァ!!」
やったか?
流石にこの魔法からは――――ッ!!
「あ゛あ゛あ゛!!最悪だ!お前なんかに本気を出すとはな!!お前はボコボコにして、殺してやる!!」
頭領がとてつもないスピードで俺に突っ込んできた。
「暴風装うぅぅぅぅぅ!!」
近距離でもな、俺にも力があるんだ。
「青鬼炎化せいえんきか発動!」
「「クッ」」
よし、この状態なら、鬼化を解かれなくなる。
それでも、体格差か、それとも力の差か、俺の方が着実に攻撃を受けていた。
「もう、終わりみたいだね」
「終わり?まだだ!!」
まだ、負けるわけにはいかねぇ!!
俺はそう、意気込んた瞬間、頭領から信じられない一言が発せられた…………
「そうだ。良い忘れてたんだけど、あのクゾジジイが死んだ時、俺のその場に居たんだ。アイツが死んだ時の顔…………も〜れつに良かったぞ?」
「は?」
その一言で俺の気が一瞬緩んでしまった。
「はい。負け」
「グフッ!!」
頭領の重い一撃がモロに入った。
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