第53話 ジャックス・ロスメ



数秒前……


〜ギルファ視点〜


「……一番、お前の事は必ず倒してやる」


「レオンサマノナニカケテ……」


「……一番……か………」


「ん?どうしたんだ?」


急に止まって?


「済まないが俺はもう一番じゃない……一番はだよ」


「……アイツ?」


…………もしかして!?


「……分かったようだな。そうだよ、一番はアイツだ…………


「―――――ッ!!」


ヤバい!レオン様が!!


「……ギルファ……ドコへイコウトシテイル?」


「当たり前だろ!?レオン様のところだ!」


何俺の服を掴んでいる!?

この一番以上の力をジャックスが持っているんだとしたら……


「オマエ……レオンサマノチカラヲシンジテイナイノカ?」


「―――――ッ!!?……………………そうだな。目が覚めた」


俺なんかが何、レオン様の心配をしているんだ!


「一番……いや、元一番。お前を絶対レオン様の所には行かせない」


なので頑張ってください!レオン様!





ーーーーー





「ジャックス……お前…………どういう事だ?何故爺さんを殺した?」


「そんな事簡単だよ……俺がもとから頭領の仲間だっただけさ」


頭領の……仲間だった?


「少し……昔話をしようあれは5年前だった…………」





ーーーーー





俺は昔から顔が良かったので女たちからはいつも優先されていた。そして力もあった。

……まだ数人の前でしか本気を出したことがなかったがね。


そしたら人を嬲り殺しているとき……頭領に出会ったんだ。


「お前をもっと楽しませてやろう」


最初は警戒したよ?でもね……そこでは何もかも許されたんだ。


傷害

殺し

誘拐

強姦

拷問


色んな事ができた。とても楽しかったよ。

でもね、そんな事はすぐ飽きたんだ……


だから俺は作戦を変えたんだ……


まず、俺のファンクラブを作らせる。

そうしたら俺の社会的地位が確保されるんだ……


その後は俺が誰かを助けたり、特別優しくしたりしているんだ。

そしたら、どうなると思う?


勝手にファンクラブの奴等がソイツをいじめだすんだよ!あの女達の顔が歪む瞬間が快感でね……それからずっとこれをしている……そしたら出会ったんだよ君たちにね達にね。





ーーーーー





「……というのが俺の昔話……どう?楽しかった?」


「……胸クソ悪いな…………」


聞いてるだけでお前を殺したくなるよ。


「ホント!?……君の歪む顔を見れて満足だよ♡」


「気色悪いな」


「ホントはいたぶって殺したかったんだけどな……頭領からの命令でね………早く殺して晒しとけって言われたんだよね……だから、ごめんね?」


「フッ、お前なんかが俺に勝てるわけねえだ――――ッ!!?」


は?コイツ………………異常なほど早くなってやがる…………。


「ハハッ、俺の事、弱いと思っていたでしょ?俺はね?天才なんだよ?ちょっと鍛えたらすぐ強くなる……今なんてステータスが平均……2万以上あるんだ…………お前何かが勝てるわけ無いんだよっ!」


「グフッ……」


速さも、重さも、段違いだ………。コイツ、本当に手を抜いていたんだな…………


「ほらほら〜雑魚がぁ!!」


5発……10発……50発……どんどんジャックスの攻撃が速くなる……


「…………」


「どうした〜?手も足も出ないか?」


「…………」


「オイ!反応しろよ!」


「………………


「軽いぃ?俺の攻撃が軽い訳ねぇだろ!!」


一層ジャックスの攻撃が速くなる…………


「軽いんだよな……イオさんのよりも…………爺さんよりも……ギルファよりも……お前の攻撃にはな!力がねぇんだよ!がねぇんだよ!」


「グファアアァァァァァァァ!!」


「俺はな!お前なんかと背負ってる物が違うんだよ!」


俺は、アテネ、ギルファ、俺のために集まってくれた皆……それと爺さん……これ程の物がな!だたの快楽殺人鬼に負ける訳ねえだろ!


「死んどけ!爆炎豪槍!」


「グハアアアァァァ!!」


やったか?


「…………チッ」


「お、俺の……ごうげきが………がるいだど?ぶっころじてやる゛!!」


「やって見ろや!クソカスがぁぁぁ!!」


「風遊羅撃ぃぃ!!!」


身体強化

視覚領域拡張

感覚領域拡張

思考加速

高速演算

鬼化

そして……『怒』 発動!


怒鬼滅裂どきめつれつ!!」


「グハアアアァァァ!!」


「……分かったか?これが痛みだ」


「ううぅ……痛いよ〜!!」


「……お前……………アテネにも、やったのか?」


「な、なにを?」


「決まってんだろ!!お前が昔話で言っていた作戦の事だよ!!」


俺は全力で殺気を出した。


「ひいいぃぃぃぃ!!……や、やってません!」


……そうか。


「そうだよな……そう答えるよな……でもな、俺は人の顔で大体の感情を分かるんだ。お前が殺した爺さんから教わって…………もういい、お前は苦しんで死んでくれ」


「や、やめてくれ!!」


「大丈夫、俺、拷問はやったことがないからさ……上手くできないかも知れないけど頑張るよ!」


「ギャアアアアァァァァ!!」


それから当分……ジャックスの悲鳴が鳴り響いた…………





ーーーーー





「チッ、死んだか……」


「…………」


もう、ジャックスは物を言わないように……なっていた…………


「終わったか……ギルファはどうだろうな……」


無事だと良いが……





ーーーーー





ジャックスが死ぬ少し前……


〜ギルファ視点〜


「……ハハッ、こんなものか?」


「クッ……手も足も出ないだと…………」


「クッ……コイツ、レオンサマグライツヨイナ……」


……レオン様がコイツぐらい強いだと!?

失礼だが、レオン様にはそんな強さは感じなかった……


「……もう、出し尽くしたか?それなら……死ね」


「クッ……ここまでか…………」


レオン様……スミマセン…………


「―――――ッ!!」


俺が死を覚悟した瞬間……ルークの気配が変わった。


「コレハ……レオンサマノチカラ……?」


……俺達は知らなかったが、この時、レオン様が『怒』を発動した瞬間だった。


「コノジョウタイナラ……」


王……発動!ルークがそう叫んだ瞬間、ルークの威圧感が格段に上がった。


「ギルファ……コイツを倒すぞ!」


「ルーク……言葉か流暢になったな……なんでこんなに威圧感が上がったんだ?」


「それはスキル、王のおかげだ。ステータスを1.5倍、MPをHPに変換する技だ。その代わり……命を落とすがな」


「―――――ッ!!……今すぐ解け。死ぬぞ?」


「大丈夫だ……レオン様の力のおかげで死にはしない。俺はレオン様の召喚獣だからレオン様の力が入ってくるんだ」


「……そういう事か…………」


ずるい……と思ってしまった俺は嫌な奴だろうか?


「フッ、お前がいくら強くなったって俺にはかなわない。死んどけ!」


「そのぐらいの攻撃……見切れる」


「……凄い」


今まで当たるしかなかった一番の攻撃をギリギリだが避けている。


「頭に来た……死んどけ!爆拳!」


「死ぬのはそっちだ……皇王甲豪斧!!」


両者の必殺技が炸裂した……


霧が晴れたら…………一番の拳がルークに貫通していた……


「―――ッ!!ルーク!」


「……大丈夫だ…………お前は……お前のやることを………しろ」


「…………分かった」


「ハッ、お前ら、ぶっ殺してや―――ッ!!腕が抜けない!?……クソッ!抜けろ!抜けろ!」


「グフッ…………」


一番が腕を外そうとルークを殴っていた。


「やめろ!即脚風剣!!」


「グハアアアァァァ!!!」


「はぁ、はぁ、はぁ…………勝った!」


俺は静かに、喜びを噛み締めた。

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