第41話 いや〜、世界って狭いね。
「オイ、小僧。この扉どうしてくれんだ?」
「い、今すぐ直しますううぅぅぅぅ!!」
こういう時は……
マジックバック!
「マジックバックから木材を取り出して……」
「おい、小僧。どこでマジックバックを手に入れた?一応、ここでも売ってるが、尋常じゃないほど高いはずだ」
ああ、これ?
「これは誘拐される前に持っていたんですよ。毎日、何かあった時のために隠しているんです」
「……ほ〜う…………」
何だ!?もしかして隠し持っていたから機嫌を損ねたのか!?
……取り敢えず扉を修復しないとな。
いい形に切り崩して……
「よし、完成だ」
「随分早いな」
「元々、マジックバックに扉が入ってたんで。それでサイズを整えるだけですんだんです」
「……ほ〜う…………」
ギルファは思った。
(いや、何で扉常時持ってるん?)
だと!
「おい小僧!」
「はいいいぃぃぃぃ!!」
いや、怖い怖い怖い!どした!?
「俺の奴隷にならないか」
「嫌だわボケカス!!」
「……あ゛?」
あ、いつものノリでやっちゃった。テヘペロ♡
ええ〜い!もうこうなったらこのままのノリで行くしか無い!
「俺はあんたを仲間入れるために来た。俺の仲間になってくれ」
「……お前が俺の奴隷ではなく、俺がお前の仲間になれというのか。…………面白い!その気持ち、粉々に砕いてくれるわ!」
「――――――ッ!!」
お前ら一家は急に人を殴る趣味でもあんのか!
「レオン様!ほとぼりが冷めた頃にまた来ましょう!このままだと死んでしまいます!」
「いいや、好都合!俺がある程度力を示したら流石に止まってはくれるだろう!」
「ある程度力を示すって……この人は前代の頭領ですよ!?」
「ほう。力を示すか……今俺はお前より、何倍も強いぞ!!」
クッ、立ってるのもしんどくなってくる。流石前代の頭領か。
「ギルファ!アテネを頼んだ!」
「――――ッ!!戦うのですね?……分かりました。アテネを安全な所に避難させておきます」
「サンキュ、ギルファ。俺はこの爺を……ぶっ飛ばす!」
身体強化
視覚領域拡張
感覚領域拡張 発動!
「身体強化だけでどれだけ通じるかなっと!」
爆拳!
「……全然効かんな。これであんだけ粋っていたなら少し残念だ。じゃあ俺も同じ技を…………爆拳!」
「グハッ!!」
ヤバい。スピードも威力も段違いだ……こりゃあ本気で行かなくちゃ…………
「鬼化発動!」
「……ん?鬼化?どっかで聞いたことがあるような…………」
「それは爺さんの記憶違いじゃないかっ!鬼の手!」
「……鬼の手?」
「鬼の脚!鬼の即拳!鬼の即脚!」
クソッ、全然効かない。どうしてだ?鬼の即拳はギルファでも当たるんだぞ!?
「……ハハッ、思い出したぞ!」
「なんだ?」
思い出したって?何をだ?
「お前、イオを知ってるな?」
「―――――ッ!!」
「オイオイ、俺は名前を出しただけじゃねぇか。急に殴ってくる事も無いだろ?」
「チッ」
防がれたか。
……それよりお前はどっち側だ?
「お前、もしかして、イオさんの敵か?それとも、イオさんの味方か?…………いや、多分違うな。おおよそ、魔王軍に雇われていたタチか」
「おお、大正解だ!俺は魔王軍に雇われていただけだけどな、イオとよく飲みにいったもんだ。まさかここでイオの鬼門法の後継者が来るとはな。……よし、特別に仲間になってやる」
「ホントか!?「ただし」…………なんだ?」
ただし?
「お前がこれから放つ一発によって仲間になるか決める。いくらイオの後継者だからと言って、それだけでは仲間になりたくない。……さぁ、小僧!俺に一発噛ましてみろ!」
「一発か……」
それなら俺の必殺技を!
「
死んどけ!
「……残念だが…………不合格だ」
「オイオイ不合格って……まさかこれだけで判断すんなよ」
「何?」
まだ俺には必殺技がある!
「鬼門法召喚。鬼の手」
潰れろ。
「これは!…………合格だ!!」
バゴゴゴオオオォォォォォ…………
そんな大きな音が鳴り響いた。
「……オイオイ、反則だろそれは!…………鬼の手を引きちぎるなんて!」
「お前は凄かった!これはお礼だ」
「消え――――ッ!!」
「暗殺のプロになったらこれぐらいはできる」
ああ、俺も強くなりたいな……
俺は意識を失った。
ーーーーー
「お、目ぇ醒めたか、レオン」
「俺の名前…………」
さっきまで小僧だったのに……
「俺がお前みたいに有名なやつを知らないわけ無いだろ?いや凄いよ。まだここに来て数日しか経って無いのにもう準1級だなんて。……そうだ、ギルファから聞いたがお前もうそろそろ1級になるなんてな」
「1級!?」
いや知らないんだけど!?初耳だよ!?
「そりゃあそうでしょレオン様。貴方は一日で1級を二人倒したんですよ?そりゃあそうなるますって」
まぁ……そりゃそうか。何気に二人倒しちゃったからな〜。
「それでレオン。なんで俺に仲間になって欲しいんだ?」
「俺はな、ザムエル。ここから脱走したいと思ってるんだ」
「……そうか。お前ならすぐに出れるだろう。でも良いのか?それから逃亡生活が始まるぞ?」
「違うんだよザムエル。俺はここを潰してから脱走したいんだよ」
「―――――ッ!!……潰すか…………そりゃあ俺の協力は必要だな。でも、本当にできるのか?」
「ああ、できる」
いや、やる。やらないとアイツらに会えないからな。
「……分かった。俺はこっちで仲間を集めておく。何人かは、俺に忠誠を誓って、今すぐにでもあのクソ息子を殺したい奴等がいっぱい居るからな」
おー。ヤバいね。
「よくそれで問題にならなかったな」
「それはな、アイツが力を持っているからだ。アイツは俺より強いし、俺の配下より強い配下を持っている。総力戦になっても勝てないんだ」
「へ〜」
意外と頭領の戦力は強いんだな。
「なぁ、レオン」
「ん?なんだ?」
「お前、俺の元で修行を受けてみないか」
「良いのか!?ちょうどさっき俺を倒した技を教えてもらいたかったんだ!」
それは願ったり叶ったりだ!
「取り敢えずお前には一流の暗殺者になってもらう。メニューはな……」
「メニューは?」
焦らさずに早く教えてくれよ!
「まずお前には目で覚えてもらう。毎日、お前が寝ている時に暗殺しようとする。それを気づけるようになれ。昼は俺の元で息の潜め方。暗殺の仕方を学んでもらう」
「うわ〜、これはうかうかと寝てられないな……」
これから、俺のハードな特訓生活が始まった。
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